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avreport’s diary

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   10月25日に発売されたキヤノン初のフルサイズミラーレス一眼、EOS R の貸出機が届いたので、早速、モノクロ解像度とカラー解像度のチェックをしてみた。

 解像度のチェックに使用したレンズは2本。標準単焦点の RF50mm F1.2 L USM ( 325,000円 / 月産1500台 ) と標準ズームのRF24-105mm F4 L IS USM ( 155,000円 / 月産15,000台 ) の2本。添付写真の通り、RF24-105mmの解像度はRF50mmよりもかなり悪いが、30年以上にわたってEOSの一眼レフを支えてきたEFシリーズのズームレンズよりは遥かに優秀だ。

 本稿では画素数がEOS R(3030万画素)とほぼ同じフルサイズ一眼レフのEOS 5D Mark Ⅳ(3040万画素)にEFシリーズの24-70mmを付けて解像度チャートを撮ってみたが、EOS RとRF24-105mmの組合せで撮った方が遥かに綺麗だった。だから、RFレンズはEFレンズよりも、かなり優秀なレンズと言っても良さそうだが、実は、そうとも言い切れない解像度チェックの写真もあるので、それもお見せしよう。

 まず、EOS RとRFレンズの組合せで撮った解像度チャートの写真と、EOS 5D Mark ⅣとEFレンズの組合せで撮ったチャートの写真をよく見比べて頂きたい。恐らく、どなたがご覧になっても、優劣がハッキリと分かるはずだ。言うまでもなく、EOS Rの大勝利だが、では、EOS 5D Mark Ⅳが負けたのは、EFレンズの性能がRFレンズの性能よりも劣っているからなのだろうか。

 これはまだ、もうすこし詳しい実証テストをしないとハッキリしないと思うが、EOS 5D Mark Ⅳが負けたのは、実はEFレンズのせいではなく、EOS 5D Mark Ⅳというカメラそのものに原因があるからなのではないかと疑われても仕方がないような証拠写真も出てきてしまった。

 それは、キヤノンの最新APS-Cミラーレス一眼、EOS Kiss M(2018年3月23日発売・2410万画素)にAPS-Cミラーレス一眼専用のEF-Mレンズを付けて撮った解像度チャートの写真だが、この写真は3040万画素のフルサイズ一眼レフ、EOS 5D Mark ⅣにEFレンズを付けて撮った写真よりも綺麗だということが、添付写真をご覧になるとよく分かるはずだ。そればかりか、EOS Kiss MとEF-Mレンズの組合せで撮った解像度チャートの写真はEOS RにRF24-105mmを付けて撮った写真と比べてもあまり見劣りしないことも分かるはずだ。

 としたら、EOS 5D Mark Ⅳの敗因はやはりカメラの性能が良くないからと見るべきだろうし、逆にEOS Rの勝因とEOS Kiss Mの大健闘はレンズではなく、カメラの性能が良いからと見るのが正解だろう。ただし、キヤノンの現行カメラのなかで、比較的綺麗な解像度チャートの写真が撮れるのは、目下のところ、EOS RとEOS Kiss Mの2機種だけだろう。なぜなら、新しいイメージプロセッサーDIGIC 8 を搭載しているカメラはこの2機種だけだからだ。

 ちなみに、この2機種の特筆すべき良さは、カラー解像度チャートがDIGIC 7を搭載したすべてのEOSやEOS Mだけでなく、ベイヤーセンサーを搭載した他社のいかなる一眼レフやミラーレス一眼よりも綺麗に写ることだ。そして、蛇足だが、もし、キヤノンがAFの性能アップに拘らなければ、モノクロ解像度チャートももっと綺麗に写るようになるはずだ。

 現実に、この2機種にしても、他社のカメラと比べると、かなり見劣りすることがあることも、添付写真をご覧になると、よく分かるはずだ。

 としたら、ショートバックフォーカスのメリットなど殆ど何の意味もなかったことになるわけだが、結論を急いではいけないかもしれない。

 実はRF50mmをEOS Rに付けて手に持ったとき、その大きさと重さに仰天し、やがて腹も立ってきたが、数日して、キヤノンがEOS Rに託した、とてつもない夢、いや、願いがずしりと伝わってきた。ミラーレスといえば、小さくて軽い、と考える人が殆どだろうが、RF50mmをちょっとでも持ってみると、キヤノンには最初からカメラやレンズの小型軽量化など眼中になかったことが、ハッキリ伝わってくるはずだ。多分、キヤノンには小型軽量化などでカメラ業界を立て直すことはできないという思いがあるのだろう。そして、レンズが主役になる新しい時代の創造、開拓が必要だと考えたに違いない。これまでのレンズはカメラのアクセサリーだったが、いつの日か、カメラがレンズのアクセサリーになる日が来ると考えたのだろう。だから、キヤノンのエンジニアたちは主役になってくれるレンズをつくれという指令を受けたはずだ。勿論、RFレンズはまだ4本しかないので、4本のレンズにつけるアクセサリーとしてのカメラのバリエーションも限られると思うが、将来的には様々なバリエーションのRFレンズと様々な形のカメラが出てくるはずだ。でないと、カメラ業界の未来はないかもしれないからだ。

 

 さて、再び現実に戻って、これから戦場に出て行くEOS Rの解像度がどの程度のレベルなのかを知るために他社のカメラ5機種で撮った解像度チャートの写真も添付した。次の5機種だ。

  1.富士フイルムX-T3(APS-Cミラーレス一眼・2610万画素)、2.シグマsd Quattro(APS- Cミラーレス一眼・3900万画素)、3.ニコンD5600(APS- C一眼レフ・2416万画素)、4.ニコンZ7(フルサイズミラーレス一眼・4575万画素)、5.ニコンZ6(フルサイズミラーレス一眼・2450万画素)。

 EOS Rの解像度が30万円以上もする贅沢なレンズをつけても、あまり高くならないことが、他社のカメラの添付写真と比較するとよく分かると思うが、それは仕方がないことだ。よく知られるように、キヤノンは像面位相差AFの性能を上げるために、画像形成用の画素を減らしても、AFの強化を優先するメーカーだからだ。

 念のため、キヤノンはEOS Rの画質が最高だとは、ひとことも言っていない。精々「卓越した高画質」「未だかつて到達したことのない高画質」くらいなので、品質については案外、遠慮深いメーカーだ。

   なお、本稿とは関係ないことだが、ニコンZ6は画素数がZ7に比べると、だいぶ少ないので、解像度も当然のことだろうが、だいぶ見劣りする。もしかすると、という淡い期待を実は抱いていたので、嗚呼、やっぱりか、という結果に終わってしまったのは、とても残念だ。

 

 さて、もうそろそろ、本稿を締め括ることにするが、せっかくなので、9月5日に開かれたEOS Rの発表会のレポートも付録としてつけ加えることにした。

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 以下はキヤノンが9月5日に開いたEOS Rの発表会。まず、真栄田雅也社長が「EOS新システム」について、続いてイメージコミュニケーション事業本部ICB製品開発センターの海原昇二所長が「新システムの特長と技術」について、最後にキヤノンマーケティングジャパンの坂田正弘社長が「新製品の国内販売戦略」について説明した。

 真栄田社長「キヤノンデジタルカメラが次のステージへと踏み出す記念すべき発表会にお集り頂き、誠に有り難うございます。まず、キヤノンのカメラの歴史の振返りと、私たちが新しいスタートを切る、その思いと狙いについて、お話をしていきたいと思います。キヤノンは1936年、国産初の高級35mmカメラとなるハンザキヤノンを発売し、その歴史をスタートさせます。その後、80年以上の歴史のなかで、我々は常に技術革新を続けることにより、写真・映像文化の発展に貢献して参りました。その歴史のなかでも特筆すべきは1987年に誕生したEOSシステムであります。54mmの大口径、完全電子マウント、レンズ内モーター駆動を備えたカメラシステムは当時の常識と技術水準では考えられないほど革新的、かつ合理的なものでありました。

 EOSシステムは快速、快適という開発コンセプトをもとに進化を続け、デジタル時代には高画質を加え、常に時代の要望に応えながら、撮影領域の拡大を目指しております。EOSはフイルムからデジタルに進化し、そして2011年にはシネマEOSシステムで映像制作市場にいち早く本格参入致しました。そして、EFレンズシリーズは世界初の技術を搭載した製品を数多くラインナップして参りました。

 EOSの快速、快適、高画質はレンズ、センサー、映像エンジンの三位一体によって実現されます。これらの全てを自社で開発、生産し、最適な設計ができることがキヤノンの大きな強味であります。高品質な製品づくりには、設計技術に加え、優れた生産技術が必要になります。そのために必要な生産設備、工具を自社で開発し、最新鋭の自動化技術と人の手による裁量を組み合わせた最適な工具の工程設計を実現しています。

 さらに、レンズ加工における匠の技が受け継がれていることも私たちの強味であります。設計技術と生産技術の両輪でキヤノン製品の精度と信頼性は成り立っているのであります。強力な製品群とそれを支える最新の設計技術、生産技術によって、EOSとEFレンズは30年以上の長きにわたり、プロフォトグラファーからカメラ初心者に至るまで幅広いお客さまに支持されて参りました。

 おかげさまで、昨年の9月にはEOSシリーズの累計生産台数、9000万台、またEFレンズは累計生産数量、1億3000万本を達成致しました。また、2003年から2017年まで15年連続でレンズ交換式デジタルカメラ世界シェアNo.1を継続しております。誠に有り難うございます。

 これから先30年、さらにその先を見据えたとき、イメージングシステムにはさらなる柔軟性と発展性が必要であると私たちは考えています。これまで、EOSとEFレンズで積み上げてきた伝統と技術を継承しながらも、新しい可能性を追求し、皆様をより高いレベルの映像表現の世界へとご招待致したいと思います。

 私たちはこのような思いで新しいイメージングシステムを開発致しました。それでは、キヤノンの新しいミラーレスカメラと新レンズをご紹介致しましょう。こちらが本日発表するEOS Rシステムであります。

 私たちは、さらなる高画質を目指すなかで最も重要なのはレンズ、光学性能であると確信しております。これまでEOSシステムでお客様の撮影領域を拡大するため、明るいレンズや超望遠レンズなど、特徴的で魅力ある様々なレンズを提供して参りました。これまでより、さらに一段、光学性能を上げるために、EOS Rシステムを立ち上げます。

 EOS Rシステムは新しい映像表現を実現するため、新開発のRFマウントを採用しております。RFマウントの採用により、レンズ設計の自由度が格段に上がり、光学性能は大幅に向上して参ります。RFレンズとEOS Rによって、高画質、高機能、小型化を実現し、これまでよりも高いレベルの映像表現を提供致します。

 では、ここでEOS Rシステムの特長を簡単にご紹介致します。まずはレンズ設計の自由度を高める大きなマウント径とショートバックフォーカスであります。これによりキヤノンの強味であるレンズ性能を最大限に発揮することができます。これまで実現できなかったレベルの高性能なレンズ設計も可能になります。さらに、レンズとカメラボディ間に新たな通信システムを搭載し、高画質と使いやすさを追求して参ります。

 また、マウントアダプターを介すことで、豊富なEFレンズ資産すべてを活用することができ、様々な映像表現を可能と致します。つまり、EOS Rシステムは理想のレンズ設計とカメラ〜レンズ間の高度な情報通信により、未だかつて到達したことのない高画質と撮影領域の拡大、さらなる使いやすさを実現していくのです。EOS Rシステムの今後にどうぞご期待下さい。

 さらに、本日はEFレンズ、及びEF-Mレンズの新製品を併せて発表致します。キヤノンはEOS Rシステムを加え、EOSシステム全体を拡充することで、お客様に新しい価値を提供し続けます。キヤノンはこれからも、入力から出力まで、イメージングシステムを進化させ続けます。皆様には撮影領域のさらなる拡大と新しい映像表現の可能性を提供して参ります。どうぞご期待下さい」             ★  

 続いて、海原昇二・ICB製品開発センター センター所長が「新システムの特長と技術」について説明。

 海原所長「私からはEOS Rシステムの概要と新製品の特長をご紹介致します。EOS Rシステムの開発コンセプトは“reimagine optical excellence”です。卓越した光学性能の追求、そこから新しいカメラシステムを創造するという意味を持っています。

 イメージングシステムにおいて極限まで高画質を追い求めた、その根幹をなすのは高性能なレンズだと私たちは考えています。これまでの制約から解放された自由なレンズを設計するために、新たにRFマウントを開発致しました。

 それでは、EOS Rシステムの4つの特長をご紹介致します。EOS RシステムはEFマウントと同様、内径54mmの大口径マウントを採用しています。将来的な発展性を見据えつつ、カメラにレンズを装着した際のサイズや操作性、そして堅牢性、信頼性なども総合的に検討したうえで、マウント径を54mmに決定致しました。

 二つ目の特長はバックフォーカスが短いことです。バックフォーカスとはレンズの最後端から撮像面までの距離を指しています。ミラーレス構造のEOS Rシステムでは撮像面の近くまでレンズを回転できるため、光学設計の自由度を高めることができます。この大口径マウント、ショートバックフォーカスにより、レンズの高画質化、光学系の小型化、ハイスペック化を実現することができます。

 三つ目の特長は新マウント通信システムです。新マウント通信システムの大容量・高速通信により、カメラとレンズの連携を強化し、EOS Rシステムの将来を見据え、映像入力機器としての拡張性と柔軟性を備えています。お客様にご愛用頂いているEFレンズ、EF-Sレンズはマウントアダプターを介してご利用頂くことができます。70本を超える豊富なレンズラインナップはEOS Rシステムを支えます。EOS Rシステムはマウント部位に高品位なデザインを施し、レンズとカメラが×××(聴き取れず)し、かつ強固に作られ、システムとしての先進性と普遍性を表現したマウントコアデザインを採用しています。EOS Rシステムでは、EOSの人に優しいデザインを継承しながら、より先進的かつ精緻な画角対応を追求しました。EOS RシステムとはRFレンズを核とした、さらなる高画質を実現する新しいイメージングシステムです。

 これより、EOS Rシステムの新製品をご紹介して参ります。まずはRFレンズです。私たちは常に理想のレンズというものを考えてきました。それは収差がゼロに近い高画質レンズ。コンパクトで使いやすいレンズ、そして従来にないハイスペックなレンズです。最先端の設計技術と生産技術を積極的に活用し、お客様の価値を拡大するレンズ、それがRFレンズです。

 今回発表する4本のRFレンズをご紹介致します。1本目はRF50mm F1.2 L USMレンズ(325,000円、2018年10月下旬発売、月産1500本)です。F1.2の大口径を開放からの高画質を同時に実現するレンズです。絞り開放での目の覚めるような解像力と色にじみの殆どない気持ちの良いボケやポートレート撮影の世界に新しい表現力を与えます。

 2本目はRF24-105mm F4 L IS USM(155,000円、2018年10月下旬発売、月産15,000本)です。コンパクトで高画質、ナノUSM搭載により高速かつ滑らかなAFを実現したEOS R常用の新標準ズームレンズです。こちらの写真はナミビアの砂漠をフォトグラファーが手持ちで空撮したものです。5段分の優れた手振れ補正効果によりレンズの描写力を引き出すことができました。

 3本目はRF28-70mm F2 L USM(420,000円、2018年12月下旬発売、月産1,000本)です。RFシステムの大口径とショートバックフォーカスを活かし、初めてF2の標準Lズームレンズを実現しました。どの焦点距離においても、絞り開放から従来のF2.8 Lズーム同等の高画質が得られる高性能レンズです。動画撮影を含め、このレンズから新しい映像表現が次々と生み出されることを期待しています。 

 4本目はRF35mm F1.8 MACRO IS STM(75,000円、2018年12月下旬発売、月産5,000本)です。コンパクトでありながら、F1.8の明るさと0.5倍のマクロ、さらにハイブリッドIS機能を兼ね備えたコンパクトな広角単焦点レンズです。スナップ撮影などで初心者からプロまで幅広いユーザーのニーズに応えられる万能レンズです。ときには、EOS Rにこの小さなレンズ1本で、という楽しみ方もあります。小さくても、その実力は本物です。今回発表した大口径単焦点レンズ、F2のズームレンズ。お求めやすい価格で、使い勝手の良いレンズ群に代表されるように、RFレンズシリーズでは、いままでにないスペックで圧倒的な高画質の追求、コンパクトで優れた操作性、快適な動画撮影の提供なども計画しています。EFマウントのレンズ同様に様々な用途をカバーする幅広いラインナップを構築することを計画しています。なお、現在、RFレンズシリーズの新戦力としてF2.8 Lズームシリーズなどの開発を進めています。

 次にRFレンズの優れた描写力と表現力を最大限に引き出すカメラのEOS Rを紹介します。EOS Rの主な特長は高画質、高性能AF、優れた操作性、優れた動画性能の4つです。撮影者がイメージした通りに表現するために、キヤノン独自の光学技術、画像処理技術と結集、さらなる高画質を表現します。

 新マウントのもたらすRFレンズの優れた描写力、これを高画質な映像に昇華させるのがEOS RのフルサイズCMOSセンサーと最新の映像エンジン、DIGIC 8です。光を正しく取り込み、再現するために高精度なAFやISの技術で光を正確に伝え、さらにデジタルレンズオプティマイザやレンズ光学補正で光学設計の限界値を超えていきます。

 EOS Rでは高い解像感、美しいボケ味、好ましい色合いをイメージした通りの表現で、高いレベルで実現します。EOS RはフルサイズCMOSセンサーと映像エンジン、DIGIC 8によって、RFレンズの実力を最大限に引き出します。加えて、デジタルレンズオプティマイザなどの補正技術により光学設計が理想とする高画質を実現しています。  通信システムを一新することにより、カメラとレンズの連携を強化し、映像入力機器としてのポテンシャルを大幅に向上させます。

 最新の映像エンジン、DIGIC 8による高速連写時でも瞬時にカメラ内で各種補正が行なえます。高画質な映像を記録します。

 続きまして、EOS Rを支える高性能AFについてご紹介します。デュアルピクセルCMOS AFは現時点で考えうる撮像面位相差AFの究極の姿です。EOS Rには新マウント通信システムによるリアルタイムにレンズ情報を受け取り、映像エンジンで高速処理することで、高速・高精度なAFを可能とします。

 EOS Rの高性能AFについて具体的にご説明致します。応答性に優れたデュアルピクセルCMOS AFは高速AFを可能にし、RF24-105mm F4 L IS USMとの組合せにでは世界最速のAF測距0.05秒を実現しています。被写体の一瞬の動きも捉えやすくなります。

 さらには、世界初となるEV-6の低輝度限界も達成し、肉眼では被写体を確認できないほどの暗いシーンでも電子ビューファインダーはその姿を捉え、AFを可能にしました。AFエリアは約88%×100%と広いことで自由な構図設定ができます。さらに、最大5655ポジションのAFポイントを任意選択できます。これにより撮影者の意図を汲んだAFを可能にします。

 続いて、操作性能についてご説明します。今回、EOS RとRFレンズはこれまでのEOSの使いやすさはそのままに、電子ビューファインダーを覗きながら、撮影に没入できる操作性とファインダー表示を実現しています。EOS Rの電子ビューファインダーには快適な見えを表現する優れた光学系を採用しています。 電子ビューファインダーには約369万ドットの高精細パネルを採用し、アイポイントも約23mmを確保しています。

 また、レンズにはコントロールリング、ボディ背面にはマルチファンクションバーを配し、最大40機能をカスタマイズ設定することができます。なお、バリアブル液晶も搭載していますので、ローアングルの縦位置や動画撮影なども快適に行なうことができます。  

 EOS Rでは静止画だけでなく、動画撮影時の快適性にも配慮しています。動画性能について3つのポイントをご説明します。EOS RはRFレンズにより高解像感やボケ味の表現を活かした4K映像の撮影が可能です。シネマEOSシステムで実績のあるCanon Logを搭載し、暗部の潰れやハイライトの白飛びを抑え、ディテールの豊かな映像が得られます。滑らかなフォーカスを実現するデュアルピクセルCMOS AF、そして優れたIS性能と、これまでは静止画でしか実現しなかった歪曲補正を動画撮影時にも可能にし、繊細かつ自然な描写を表現しつつ、EOS RではHDMI端子から4K映像を出力し、外部機器での記録や表示を可能にしています。また、Canon Log設定時には高品位な動画制作に必要な豊富なダイナミックレンジ、豊富な階調、広い色域が得られます。

 EOS Rにはバッテリーが2つ入るバッテリーグリップも用意しております。縦位置で撮影を快適にします。また、USB接続で充電も可能です。

 さて、EOS Rシステムでは4種のマウントアダプターをご用意しています。スタンダードなタイプの他にRFレンズ同様、コントロールリングを搭載したタイプ、ドロップイン方式で濃度が可変のNDフィルター、または円偏光フィルターを装着できるタイプがあります。これらにより、従来のEF、EF-Sレンズ群の資産を活かせるだけでなく、新たな使い方を提案し、価値を提供します。

 こちらは円偏光フィルターの作例です。このアダプターの良い点はマスターレンズのフィルター径に関わらず、一つの特殊フィルターでその効果が得られることです。また、超広角ズームやフィッシュアイレンズのようにレンズ先端にフィルターが装着できないレンズでも特殊フィルター効果が得られます。

 円偏光フィルターには青空の色に深みを与え、水面からの光の反射を抑えることができます。濃度可変のNDフィルターでは日中の長時間露光、明るい屋外で大口径レンズを使う場合や動画撮影のシャッタースピード選択に便利です。

 このように、EOS Rではマウントアダプターを使うことで、EFレンズに新しい価値を付加することができます。EF-Sレンズを含めたこれまでのEFレンズが魅力を増して生まれ変わるのです。ここまでご紹介したEOS RシステムはRFレンズを核とした撮影領域を拡大する新しいイメージングシステムです。

 さて、本日はEOS Rシステムの他に新製品をご用意しております。まずは、デジタル一眼レフカメラ用の交換レンズとして大口径超望遠レンズ、EF400mmF2.8 L IS Ⅲ USMとEF600mmF4 L IS Ⅲ USMです。この新しい2本が超望遠レンズでは、新光学タイプの採用と同時に鏡筒体状も見直すことで、大幅な軽量化を達成しました。例えば、新しい400mmでは3kgを切り、2840gを達成しました。超望遠レンズでは、これまでも炎天下でのレンズ鏡筒の温度上昇を抑えるため、白い塗装を採用しました。今回は新開発した遮熱塗料を採用し、さらに温度上昇を抑え、過酷な撮影状況での信頼性をより高めています。    さらに、ミラーレスカメラ、EOS Mシリーズ用交換レンズとして、大口径標準単焦点レンズ、EF-M32mm F1.4 STMも発表します。EF-Mレンズに共通の60.9mmの外径寸法を維持した上でLレンズに迫る光学性能とF1.4の大口径を実現しています。このレンズはフルサイズ換算で約50mmの画角に相当します。F1.4の大口径に本格的にボケ味を活かした表現ができます。

 EOSシステムを構成するのはカメラとレンズだけではありません。本日は新しいスピードライトも発表致します。従来のEOSアクセサリーをEOS Rシステムでもご使用頂けます。本日ご照会した新製品の登場により、ますます充実したEOSシステムはお客様に撮影領域の拡大と映像表現の広がりをご提供致します。卓越した光学性能の追求、そこから生まれたEOS Rシステムはレンズ、カメラともに新しい価値を生み出して参ります。EOSシステムの今後の展開に是非ご期待下さい」             ★  

 続いて、坂田正弘・キヤノンマーケティングジャパン社長が「新製品EOS Rの国内販売戦略」について説明。  坂田「こちらはミラーレスカメラ、EOS Kiss Mです。強いブランド力を持つEOS Kissシリーズに初のミラーレスとして今年2月に発表し、3月末に発売致しました。競争の激しいミラーレス市場において満を持して発表、発売を致しましたカメラであり、当社だけでなく、関係者の皆様からも市場の活性化に大きな期待を頂きました。

 EOS Kiss Mは大変素晴らしいスタートを切ることができました。売上ランキングでは、レンズ交換式カメラのカテゴリーで発売後5ヶ月連続1位を継続、日本国内ではミラーレスカメラの人気が非常に高いことを改めて実感致しました。また、発表・発売時のみならず、現在でも多くのメディアで取り上げて頂いており、本日お越しの皆様には、この場を借りて厚く感謝申し上げます。

 さて、こちらは国内のレンズ交換式カメラの出荷台数ベースの市場規模推移であります。2018年はここまで当初の予測通り、全体としては若干前年を下回って推移している状況でありますが、一方、ミラーレスカメラ市場は大変活況であります。この2018年上期は対前年107%と伸びており、そのなかでキヤノンは1月〜3月に対前年124%、4月〜6月に対前年147%と大きく伸ばすことができました。

 EOS Kiss M及び昨年発売のより若年層を想定したEOS M100が市場を大きく牽引していると言われております。おかげさまで、キヤノンはミラーレスカメラにおいても、お客様から最も多くの支持を頂いております。

 EOS Kiss Mの購入者調査によりますと、従来からのお客様でありますファミリー層、ママ層は勿論、加えて写真コミュニケーションを楽しみたいという若い女性のお客様にもご支持を頂いております。当社の施策が的確にお客様の心を掴み、レンズ交換式カメラの世界に新たなお客様層を、呼び込むことができたと捉えております。これはカメラ業界としても大変大きな意義があると考えております。

 さて、先ほどの真栄田(キヤノン社長)の説明にもありました通り、キヤノンはエントリークラスだけでなく、ミドルクラス以上でも豊富な製品ラインナップを取り揃えております。こちらは日本国内におけるレンズ交換式カメラのミドルクラス以上に限定した市場シェアの推移でありますが、当社は大変高い支持を頂いております。優れた製品は勿論でありますが、写真を楽しんで頂くための様々な活動にも取り組んでおります。非常に多くの熱心なカメラファンに支えられているわけであります。このような点もキヤノンの大きな強味だと考えております。

 EOS Kiss Mは新たな顧客を開拓して参りましたが、一方で熱心なカメラファンからは早くキヤノンのフルサイズミラーレスカメラを使いたいという声を多く頂いております。本日発表のEOS Rは圧倒的な高画質と新次元の写真映像表現を可能にする新システムであり、お待ち頂いている多くのキヤノンファン、カメラファンの皆様の期待に応えられるカメラだと確信しております。

 それではここで、想定するお客様像をご説明致します。まずはフルサイズ一眼レフカメラを既にお持ちの方です。多くのEFレンズやアクセサリーをお持ちで、本格的な写真撮影をされている方が多くいらっしゃいます。EOS 5D Mark2など、ベストセラーモデルをお使いの方もいまだ多く、そういったお客様にEOS Rの性能の高さや表現力だけでなく、これまでのレンズ資産を活かしたシステム移行が可能なことを伝えていきたいと考えております。

 そして次にAPS-Cカメラをお使いで、フルサイズのカメラにステップアップしたいと思っている方、当社のEOS 70Dや80Dなど、APS-Cセンサーを使用したミドルクラスカメラをお使いのお客様はフルサイズのカメラの2倍いらっしゃます。EOS Rはフルサイズカメラでありながら、APSカメラと同じスタイル感と操作性でお使い頂けます。今回のカメラでより大型センサーを使用したより高画質のカメラへのステップアップを後押ししたいと考えております。

 こちらは当社カメラをお使いのお客様アンケートの結果でありますが、次はフルサイズセンサーのカメラを買替え、買増ししたいと考えている方が既にフルサイズをお使いのお客様で何と82%、ミドルクラス・APS-Cセンサーのお客様で約7割いらっしゃいます。ミドルクラス以上をお持ちの皆様はアンケートの結果の通り、大変高い購入意欲をお持ちの方であります。EOS Rでこうしたた多くのカメラファンの皆様を新たな映像表現の世界へお招きしたいと考えてております。

 さて、新システムの発表にあたり、著名写真家の方々にこの新しいEOSの世界を事前に体験頂きました。いずれの方々もEOSを長年お使いで、新たなEOSの世界を皆様にお伝えするのに最も相応しい写真家と考えております。広告写真の第一人者であり、スナップ撮影でも長年第一線で活躍されておられます立木義浩さん、ドキュメンタリー写真の第一人者の野町和嘉さん、そして風景写真で活躍の米美知子さんであります。ここで、この3名の写真家の方からのメッセージをご紹介致します。それではご覧ください(キヤノンのHPを参照して下さい)。

 如何でしたでしょうか。このカメラが紛れもなく、EOSの流れを汲みつつも、新たな可能性を秘めたカメラであるということが伝わってきたと思います。本日はただいまご紹介した3名の方をはじめ、新システムをご紹介頂く14名の写真家の方々が作品とメッセージを“EOS Rブランドブック”にまとめ、皆様方のお手元にご用意致しました。さらに、立木義浩さんがヨーロッパで撮り下ろした作品をご覧頂ける冊子もご用意致しました。是非、ご覧下さい。

 さて、EOS R発売までの間に新しいEOSの素晴らしさを伝える多くの施策を考えております。その一つが実際にカメラを手にとって試して頂ける“EOS Rシステムプレミアムセッション”であります。写真家の方の新製品セミナーや撮影体験など、このカメラの大きな可能性を感じとって頂ける内容であります。先ほどご紹介したブランドブックも配布し、EOS Rの情報をいち早く皆様にお届け致します。この体験会は全国11カ所で開催し、多くの方に体感頂きたいと考えております。

 また、当社運営のキヤノンフォトサークルでは多くのキヤノンファン、カメラファンの皆様が、日々、フォトライフを楽しんでおられます。サークル会員の皆様にもEOS Rを体験頂くため、著名写真家によるEOS Rスペシャル撮影会や会報誌でしか書けないEOS Rの魅力を発信してもらいます。気の合う写真仲間とともにEOS Rでより豊かなフォトライフを楽しんで頂きたいと考えております。

 また、写真教室、EOS学園では進化した快速、快適、高画質を実際に手に取り、撮影を通じて実感して頂く“EOS R使いこなし講座”を開設致します。EOS Rをご購入頂いた方や購入を検討されている方に総勢50名を超えるプロ写真家がEOS Rの魅力をお伝えするほか、購入検討の方には講座中にカメラの貸出しも行なう予定であります。さらに、ネットで学べる“EOS学園オンライン”においても動画の講座を準備しております。

 そして、発売と同時に発売記念キャンペーンを実施致します。新しいEOSをお買い求め頂きやすく、前向きに購入頂けるよう、バックアップしたいと考えております。

 キヤノンではご愛用のカメラ、レンズのトラブルを防ぎ、安心してお使い頂けるよう、“安心メンテシリーズ”と称したメンテナンスサービスをご用意しております。2016年7月のサービス開始以来、延べ5万台以上のメンテナンスを実施し、お客様からも好評を頂いております。従来の安心メンテ、オーバーホールは一部のデジタル一眼レフカメラ向けサービスでありましたが、EOS Rにつきましては、これまでにない新しい価値を提供すべく、オーバーホールが実施できるサポート体制を整えました。新たな可能性を持つこのカメラをより長く安心してお使い頂けるよう、安心メンテを是非ご利用頂きたいと考えております。

 以上のように、販売会社として、この新しいEOSのスタートダッシュを様々な施策で徹底的に行なっていきたいと考えております。キヤノンはこれまで、お客様の撮影ニーズに対し、そのときどきの最高性能のカメラで応えて参りました。また、製品だけでなく、プロフォトグラファーから初心者の方まで、お客様に寄り添い、写真活動を幅広く支援して参りました。このような取組みをお客様とともに長く続けてきたことが写真文化の醸成、そしてトップブランドとしての評価に繋がっていると自負しております。

 今回のEOS RはEOSが新たなステージへ向う新システムであります。“写真は進化する”まさにこの言葉の通り、キヤノンファン、カメラファンの皆様とともに、写真の楽しみを一層広げ、進化させていきたいと考えております」            

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 最後に質疑応答。  

 質問(朝日新聞)「これまでの御社のミラーレスカメラはどちらかというと、エントリーと言いますか、APS-Cが中心だったと思いますけど、今回、フルサイズを使われた、この戦略の転換について、お伺いします。また、一眼レフとの食い合いについても、併せてお伺いできればと思います。それと、もう一点、これは今後の話になるのですが、EOS Rにおけるフラッグシップのようなもの、プロ向けのモデルなんかの開発も検討されているかどうかも、併せてお伺いしたいと思います」

 真栄田・キヤノン社長「戦略転換というご指摘がありましたけれども、基本的に私どものカメラに対する戦略は変っておりません。一貫して我々はカメラの進化はそのカメラの撮像領域を広げていくんだっていうことを前提に自分たちの×××(聴き取れず)に対する発信をやってきたつもりでおります。それで、今回、このミラーレスをフルサイズセンサーで新しい機種を起こした目的についてでありますが、まさに撮像領域の拡大であります。ミラーレスの特長であります、先ほど開発者の説明のなかにもありました通り、バックフォーカスが非常に短いっていうのは、いままで作れなかったレンズを作れる、例えば28-70 mm F2通しっていうのを、以前のバックフォーカスが大きな、いわゆる一眼レフで作ると、とてつもない大きさになってしまいます。で、このミラーレスのショートバックフォーカスを徹底的に利用して新しい撮像領域に踏み出せるレンズを起こしたいというのが基本的な考えで、まさに今回発表させて頂いた50mm F1.2、28-70mm F2通し、これらのレンズはいままでに無かったレンズ、世の中に存在しなかったレンズだと自負しております。私も実際に商品を使ってみて、その画質を確認しましたけれども、やはりその圧倒的な画質は想像以上でありました。是非、こういった画質を皆さんに使って頂きたいというのが、今回の商品のコンセプトであります。

 で、カニバリ、食い合い等々、皆さん、異口同音に質問されるんですけれども、色んなところで申し上げている通り、弊社は色んなカメラシステムをフルラインナップでお客様に提供していきたいと思っています。で、最終的にはそれぞれのプロダクトに対して、お客様にチョイスして頂く、いうのを前提にしておりますので、そこで結果的にカニバリが起るかも知れませんし、起らないかも知れません。ということで、基本的にはフルラインナップシステムを継続するというお答えになります。  

    で、将来のハイエンド機はどうかということについては、×××(聴き取れず)の商品をここで答えると、私、叱られますんで、残念ながらお答えできません。ご容赦下さい。回答は以上になります」

 質問(東洋経済新報社)「海原さんと真栄田社長にお尋ねします。一点目は今回のEOS Rの開発や企画に関して苦労なさったことです。二点目の質問は今回のカメラに関して、現在、御社、カメラ事業に関しては単価の下落等で少々苦戦をされているというなかでの、ミラーレスは伸びしろがあるので、ここに注力をしたいというようなことが見受けられるのですが、カメラ全体では縮小のなかで、ミラーレスでとりあえず時間を稼ごうというような発想があるようにも感じられます。全社の、いま、ポートフォリオを展開しているなかでの戦略で、今回のEOS Rの投入の位置づけは、どういったところにあるのか、お伺いしたいと思います」

 海原「ちょっと想定してなかった質問なので(笑)・・・。ま、正直にお答えするべきかと思います。エッとですね、やっぱり、ミラーレスを開発していくために、何をやりたいのか、そういったものをレンズ開発等、それからカメラのボディ開発で議論が白熱しました。EFレンズは30年以上継続してきたシステムですけれども、これから新しいRFレンズのマウントを設計するにあたって、将来どういうことが考えられるであろう。で、光学設計からは、いままでミラーが動いてた。そこにレンズをレイアウトすることができなかった。その制約がなくなったら、こんなレンズができる、そういったときに、例えば、よく言われている大三元レンズとかありますけれども、それをショートバックフォーカスでここまで持ってったときに、こんだけ魅力があるのかと、ま、小型化もできる。でも、そこのスペースをさらに使うと、もっとこういうレンズ展開がある。例えば、今回の28-70mm F2ですね。F2の固定ズームとか、そういった提案が一杯出まして、ところが、ボディ側からすると、ショートバックで撮像面の手前にこれだけの径のレンズを置きたいという話があります。じゃあ、それを許した代りにフランジバックは幾つにするか。当然、カメラの構造は堅牢性とかそういったものも考慮しなければいけないですし、それから、そのレンズが入ってくるためのマウント径を幾つにするか、そういった新しいマウントシステムにおける我々の憲法って言ってるんですけど、破っちゃいけない部分、そこをお互いのせめぎ合いというのが結構ありました。で、カメラ側からすると、マウント径を大きくしてしまうと、カメラの小型化っていうのに制限がかかってしまいますので、それが先行されている他社に対して不利ではないかとか、そういったのが結構長きに渡って続きました。でも、今回は先ほどの説明にありましたように、光学性能の追求っていう、新たな領域を拡大するっていうことから、やっぱりレンズにあまり足かせをしてはいけないと、そういう判断をしました。ま、レンズだけが進んでいても、カメラがサクサク動かないと、そりゃ、お客様に使って頂けませんので、高感度機能とかも含めて技術のレベルを上げていかなきゃいけないということで、レンズ開発が宇都宮にあって、ボディ開発が東京にありまして、何度も行き来して、その辺を激論というか、議論してやってきました」  

 真栄田社長「ご質問の二つ目にお答えさせて頂きます。EOS Rシステムは時間を稼ぐために投入した商品ではありません。あくまでも、先ほど申し上げた撮影領域を徹底的に広げていくんだと、その繰り返しで、我々、いままで来たんですけども、そのなかでも大きな×××(聴き取れず)になる商品になると思います。海原の説明にもありましたように、制約を解かれた光学設計、レンズ設計者は僕が見ている範囲においては、極めてモチベーションが高く、このカメラの開発に当たっていたと思っております」

 質問(週刊ダイヤモンド)「真栄田社長に二点お伺いします。あと2年で東京オリンピックというタイミングで、他社さんもフルサイズミラーレスを揃えてくるようですが、御社はもう一眼レフカメラには注力しないのでしょうか。それから、EOS Rはプロ向けというよりは、ハイアマチュアなど、かなり裾野が広いお客さんを対象にしているような印象がありますが、そういった捉え方で正しいのかどうか、お伺いします」

 真栄田社長「EOS一眼レフシリーズ、それから今回のRシリーズ、それからミラーレスMシリーズ、この3種類のカテゴリーについては、これも繰り返しになりますけれども、フルラインナップ戦略をこれからも継続して参ります。その証左と言っては変ですけど、今日も極めて軽量化した400mm、600mm、あるいはMの大口径レンズの新製品投入の発表をさせて頂いております。お客様のチョイスの幅をこれからも狭めないように、プロダクトを揃えていきたいというふうに思います」

 坂田・キヤノンマーケティングジャパン社長「先ほど、ちょっとお話しましたように、ミドルクラス、APS-Cセンサーを使ったカメラの80Dとか70Dのお客様がこのフルサイズのカメラにステップアップしやすい値付けをしようというふうに考えまして、いまお話があった通り、少し幅を広げた形でこのフルサイズを浸透させていきたいということで、こういう値付けをさせて頂きました」

 質問(ホットショットジャパン)「二点お伺いします。今回のカメラの機能のなかでCanon Logや可変NDを搭載したことで、動画という部分に対するアプローチがこれまでのミラータイプの頃に比べると、よりシネマEOS寄りになってきたのかなあ、というようなイメージを捉えたんですけども、今後のシネマEOSとの関係性、そういった点をどのように考えていらっしゃるのかというのがまず一点です。あと、以前、熱暴走とか、そういったところがあったと思うんですども、熱に対する体制というのは、どのような状態になっているのかなあというのが気になるので、その辺りも教えて頂ければと思います」

 真栄田社長「一般的な話になるかも知れませんけれども、ミラーレスカメラというのは極めて動画機能に対して相性の良いシステムであります。そのなかで、我々はさらに映像表現領域を広げたレンズを提供できるという製品になりましたので、ここでもう一度さらにシネマEOSシステムそのものではないんですけども、シネマEOSを使っているユーザーにかなり近いレベルのスペックを今回、Rのなかに盛り込まさせて頂きました」

 海原「鋭いご指摘というか、厳しいご指摘。熱に関しましては、こういったミラーレスにとっては最大の課題です。最近ではシミュレーション技術が結構進歩してきておりますので、熱の逃がし方とか、使い方とか、分散とか、我々はクリアしなきゃいけないという自覚を持っています。熱は当然出てくるんですけども、熱を生むのは何かというと、各デバイスの消費電力です。で、消費電力をとにかく、できるだけ下げて、電力を下げた結果、熱をいかに分散するか、そのためには筐体の構造とか外観の構造に金属は熱伝導率の良いものを使うとか、あとは、お客さんが構えたり、そういったことをするところで巧く遮断するとか、そういった技術はいま発展途上というか、かなり進んでおりますけど、進歩はしております。当然、それを無視して実は撮影していると、こんな機能があるのに全然撮れないじゃない、ということが言われないように最大限努力して参ります。これからも、しっかり努力して参ります」

 質問(フリーランス)「EOS Rのレンズロードマップについて、もう少し詳しく教えて下さい。それから、今回のシステムはフルサイズのみのものかどうか、今後、例えばAPS-Cも出すとか、そういう可能性があるのかどうかを確認させて下さい」

 真栄田社長「レンズロードマップは・・・、お答えできないですね(笑)。二番目の質問にお答えしますと、これ、間違っていたら教えてください。今回のシステムはフルサイズに限ったシステムに対応したレンズで宜しいですか、海原さん?違う?(笑)」

 海原「エッとですね、今後どういった展開があるかですけど、いままでEFレンズがあって、Cサイズにも対応していました。ということで、Cサイズもできないわけじゃありません。そういった意味で、いまから制約をかけようという気は全然ございません。そういったなかで、要は今回のマウントで将来、何ができるか、色んなことを考えておりまして、当然、Cサイズでも、やろうと思えば、できます。そういうシステムです。で。いま、その計画があるかという話になると、ちょっとそこはお答えできません(笑)」

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EOS R ( フルサイズミラーレス一眼 3030万画素)

 F8 (RF 24-105 mm F4)ISO100  JPEG

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EOS R ( フルサイズミラーレス一眼 3030万画素 )

 F8(RF 50 mm F1.2) ISO100   JPEG

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EOS 5D Mark Ⅳ (フルサイズ一眼レフ3040万画素)

 F8( EF 24-70 mm f/4 )ISO100  JPEG

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EOS Kiss MAPS-Cミラーレス一眼 2410万画素)

F7.1 ( EF-M 15-45 mm F3.5-6.3 IS STM )  ISO100  JPEG

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FUJIFILM X-T3APS-C ミラーレス一眼 2610万画素)

 F8( 35 mm F1.4 ) ISO100  JPEG

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シグマ sd QuattroAPS-Cミラーレス一眼 3900万画素 )

F8( 35mm F1.4 DG HSM )ISO100  JPEG

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ニコンD5600APS-Cミラーレス一眼 2416万画素)

F8 ( NIKKOR18-55 mm f/3.5-5.6 G VR )ISO100  JPEG

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ニコンZ7(フルサイズミラーレス一眼 4575万画素)

F8( NIKKOR Z 24-70 mm f/4 S )ISO100  JPEG

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ニコンZ6(フルサイズミラーレス一眼 2450万画素)

F8( NIKKOR Z 24-70 mm f/4 S )ISO100   JPEG

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EOS R ( フルサイズミラーレス一眼 3030万画素)

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EOS R ( フルサイズミラーレス一眼 3030万画素 )

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EOS 5D Mark Ⅳ (フルサイズ一眼レフ3040万画素)

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EOS Kiss MAPS-Cミラーレス一眼 2410万画素)

F7.1 ( EF-M 15-45 mm F3.5-6.3 IS STM )  ISO100  JPEG

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FUJIFILM X-T3APS-C ミラーレス一眼 2610万画素)

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シグマ sd QuattroAPS-Cミラーレス一眼 3900万画素 )

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ニコンD5600APS-Cミラーレス一眼 2416万画素)

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ニコンZ7(フルサイズミラーレス一眼 4575万画素)

F8( NIKKOR Z 24-70 mm f/4 S )ISO100  JPEG

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ニコンZ6(フルサイズミラーレス一眼 2450万画素)

F8( NIKKOR Z 24-70 mm f/4 S )ISO100   JPEG

 

【投稿日(posted date)】2018年11月23日(November 23,2018)  

【投稿者(poster)】有限会社エイブイレポート社・avreport's diary・編集長:吉岡伸敏(nobchan@din.or.jp)・副編集長:吉岡眞里子(marico@din.or.jp)/ AV REPORT Co.,Ltd.・avreport's diary・Chief Editor:Nobutoshi Yoshioka(nobchan@din.or.jp)・Assistant Editor-in-Chief:Mariko Yoshioka(marico@din.or.jp)