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avreport’s diary

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   ソニーの最も新しいレンズ交換式デジタルカメラであるα6400(APS-Cミラーレス・2420万画素・2019年2月22日発売)と、もう1機種、マイクロフォーサーズという小型のフォーマットを選んだばかりに苦汁をなめ続けてきたパナソニックが10年近く前から描いてきた夢を実現するために初めて挑戦する大型センサー搭載のミラーレスカメラ、LUMI X S1R(フルサイズ・4730万画素・2019年3月23日発売)の解像度をチェックしてみました。チェックに使った解像度チャートは写真下の2枚。

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モンクロ解像度チャート

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カラー解像度チャート

 今回のレポートに登場する機種は下表の通り14機種。

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 α6400はこのシリーズでは久しぶりの新製品です。世界最速0.02秒の高速AF、リアルタイム瞳AF、リアルタイムトラッキングといった、なんだか尤もらしいお化粧が施されています。しかし、こと解像度に関しては、お化粧の効果はあまり出なかったようです。とても美人になったとは言えません。

 α6400の先代の機種は2016年12月2日に発売されたα6500(2420万画素)です。大分古い機種ですが、このカメラの解像度も当然チェック済みと思い込んでいましたが、アレレ!漏れていました。フルサイズミラーレスの大攻勢に目を奪われてしまい、多分、見逃してしまったのでしょうね。

 さて、今回、α6400と対決してもらった機種は低画素機から高画素機まで含めて9機種にもなりますが、α6400の8敗1引き分けです。とても、自慢できるようなカメラではありません。前回の当ブログで紹介させて頂きましたリコーのGRⅢ、富士フイルムのX-T30とも対決してもらいましたが、完敗です。

 続いて、S1R(4730万画素)ですが、こちらの対戦成績は意外と良かったので感心しました。対戦相手として、強そうなやつばかり、5機種を厳選して対戦してもらったわけですが、なんと、3勝2引き分けです。ただ、5機種のうち2機種は同じパナソニックブランドのミラーレス、G9(2019年1月25日発売・2033万画素)とGX7 MarkⅢ(2018年3月15日発売・2030万画素)です。2機種とも、去年初めに発売された比較的新しいカメラですが、如何せん、2機種ともマイクロフォーサーズのミラーレスですから、S1Rなら、小指1本でも勝てる相手です。残る相手はニコZ7(4575万画素)、ニコンD850(4575万画素)、EOS R(3030万画素)の3機種です。強敵中の強敵ですが、ニコンの2機種とは引き分け、EOS Rには完勝。画素数の違いが、そのまま、ストレートに反映されたと言っていいと思います。

 ただ、S1R vs Z7、S1R vs D850のチャート写真をよく見ると、かなり、大きな違いがあることに気づくはずです。ズバリ言ってしまえば、ニコンは仕上げが丁寧だが、S1Rは雑、という違いがあるように思います。例えば、ニコンの2機種 は抜けが良いが、S1Rは抜けが悪い。言い換えると、ニコンは明暗がはっきり分かるが、S1Rは明暗がはっきりせず、全体的に濁った感じの画面になります。モノクロ解像度チャートの縦のストライプの間隔も、色の濃さもニコンはきちんと揃っていますが、S1Rは雑。細心の注意を怠らない職人と、注意しなければいけない勘所さえも教育されていない素人との差がもろに出てしまったような感じがします。

    S1Rには、もう一つの勝負もしてもらいました。画像合成で画素数を上げる機能を持っている3機種との対決です。対戦してもらったのは、パナソニックマイクロフォーサーズミラーレス、G9(2033万画素)とオリンパスの最新鋭マイクロフォーサーズミラーレス、OM-D E-M1X(2037万画素・2019年2月22日発売)、そして、もう1機種はPENTAX K-1 MarkⅡ(3640万画素・2018年4月20日発売)ですが、G9は論外の完敗。他の2機種とは僅差の2勝ながら、三脚に乗せて撮る撮影には充分使えそうです。合成は4枚だけなので、時間もあまりかからず、ストレスもあまり感じません。

 ところが、実はこのS1Rはストレス発生装置みたいなカメラだということを、しっかりお伝えしておかねばならないと思います。

 ストレスを感じるのは、メニューバーが余りにも複雑すぎて、素早くセッテイングができないからです。要するに、セッテイングの最中に、次のステップとして、どっちの項目を選んだらいいのか、即断即決できないからですが、メニューバーにある項目が本当に機能しているのかどうかも、途中で信じられなくなることが、しばしばでしたので、もしかしたら、試作中の半製品を見切り発車で発表してしまったんじゃないかと疑いたくなってしまったくらいです。

 なかでも、一番困ったのは手振れ補整機能をOFFに、なかなか、できなかったことです。三脚撮影は手振れ補正OFFが大原則なので、チャートの撮影前にも必ず手振れ補正はOFFにしないといけないわけですが、メニューを開いても、OFFにするステップが全く出てこないという不思議なカメラです。

 取扱説明書にもなぜか正直に、手振れ補正はOFFにできません、と書いてあるので、呆れ返ってしまいましたが、やはり、S1Rは完成品ではないのかもしれませんね。

 そこで、S1Rのユーザーであることをフェースブックで公開なさっているカメラ博物館の市川泰憲さんに電話で解決法はないか、お聞きしてみました。市川さんもまた別のトラブルでS1Rのテスト撮影を中断中だとのことだったので、アー、やっぱり、S1Rは問題児なんだということが分かったわけですが、さすがは市川さん、問題解決のヒントを教えてくださいました。

  「確か、工場出荷時のデファクトは手振れ補正OFFだと聞いているので、設定をリセットしてみたらどうかな」というヒントでした。

 当然、すぐにリセットして、何度も挑戦してみましたが、やはり、手振れ補正はOFFになりません。そこで、もう一度、取説を開いて見ると、手振れ補正機能付きレンズを付けているときは、手振れ補正をOFFにできません、という説明があることに気づきました。こんな注意書きをしないといけないカメラがあること自体、許しがたいことですが、そこで、すぐに、レンズを外して、セッティングをやり直してみました。すると、OFFにするマークが現れました。もう、ヤッターですよ。ところが、メニュー画面を元に戻すと、手振れ補正はONのままで、OFFに切り替っていません。というわけで、最終的には、諦めて、手振れ補正はONのまま撮影することにしましたが、カメラ背面の液晶モニターで、そのほかのセッテイングを確認しているとき、右肩に小さく手振れ補正のマークが現れていることに気づきました。余にも小さいマークなので、虫眼鏡で覗いて見ると、小さく、小さく、手振れマークの中にOFFというマークも付いています。でも、撮影している最中にこのマークは画面から消えてしまいますし、ディスプレイボタン(disp)で各種セッテングの状態を確かめてみても、手振れ補正がONなのかOFFなのか、確認できません。 

 というわけで、今回は同じ撮影を二度も繰り返さざるを得なかったわけですが、残念ながら、今も手振れ補正がOFFで撮られたものなのかどうか、分かりません。1日も早く、試作品のような仕上げが雑なカメラでなく、ちゃんとした完成品が出てくることを祈らざるを得ません。

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液晶モニターの右肩に手振れ補正OFFのマークが出るが、虫眼鏡がないとOFFの文字が読めません。

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写真上の手振れ補正OFFのマーク。拡大してみましたが、実用性を無視した設計思想には呆れ返ります。

  以下はテスト撮影の結果。

 まず、α6400の対戦結果から。

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両者、改造本数34辺りが限界で引き分け。

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α6400の解像本数は34辺り、D5600は35辺りまで伸びている。

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α6400の解像本数は34辺りが限界だが、ニコンZ6は35から36の中間くらいまで延びているので、Z6の勝利。

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α6400の解像本数は34くらいが限界だが、EOS Rは36を多少上回っているのでα6400の完敗。

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α6400の解像本数は34くらいだが、GR3は36くらいで

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α6400の解像本数は34辺りが限界だが、X-T30は35辺りまであるので、X-T30の勝利。

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α6400の解像本数は34辺りが限界だが、Z7は40本を突き抜けているので、α6400の完敗。

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α6400の解像本数は34辺りが限界だが、S1Rは40を突き抜けているので、α6499の完敗。

[訂正]上のモノクロチャート写真の右側、S1Rの画素数が2450万画素になっていますが、4730万画素のまちがいです。

 続いて、α6400のカラー解像度を他の機種と比較しますが、カラー解像度は画素数を増やしても高くなりません。カラー解像度が例外的に高いのは、シグマのFoveonセンサー搭載カメラと富士フイルムのX-Trans CMOSセンサー搭載カメラの2タイプだけで、いわゆるベイヤー(正しくはバイヤー)配列のセンサーを搭載したカメラは画素数が1000万画素を超えるようになってから、ほとんど例外なく、悪くなっています。ただ、嬉しいことに、DIGIC 8という新しい画像処理エンジンを積んだキヤノンので最新カメラは、カラー解像度がかなり良くなっています。凄いというほどではありませんが。

 以下の写真は特にα6400 vs EOS Rとα6400 vs EOS RPの対決に注意してご覧になってください。

 

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 続いて、S1Rのモノクロ解像度対決。

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続いて、S1Rのカラー解像度対決。

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 続いて、S1Rのハイレゾリューション対決。

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【投稿日(posted date)】2019年4月17日(April 17 ,2019)  

【投稿者(poster)】有限会社エイブイレポート社・avreport's diary・編集長:吉岡伸敏(nobchan@din.or.jp)・副編集長:吉岡眞里子(marico@din.or.jp)/ AV REPORT Co.,Ltd.・avreport's diary・Chief Editor:Nobutoshi Yoshioka・Assistant Editor-in-Chief:Mariko Yoshioka