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avreport’s diary

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    富士フイルムが本年6月28日に発売した1億200万画素の中判ミラーレス一眼「GFX100」のモノクロ解像度とカラー解像度をチェックしてみました。GFX100はご存知の通り、日本製カメラとしては、初めて1億画素を超えたカメラです。フェーズワンやハッセルブラッドも1億画素とか、1億5000万画素とか、4億画素のカメラをもっていますが、いずれも、アマチュアには手が届きそうにない高額なカメラなので、当分は近づかなくてもいいかな、と思っています。フォトキナへ行けば、10数億画素の機材やそれで撮った写真も見ることができますしね。

 今回のGFX100の解像度チェックでは、GFX100よりも先に発売された先輩格の中判高画素カメラ3機種とフルサイズ高画素カメラ3機種、そしてもう1機種、APS-Cの低画素カメラなので、モノクロ解像度はGFX100よりも遥かに見劣りしますが、カラー解像度はGFX100よりも遥かに優れているFUJIFILM X-T3、この7機種の解像度と比較してみました。 

 さて、チェックの結果ですが、意外にも、モノクロ解像度、カラー解像度ともに、1億画素のGFX100と中判やフルサイズの高画素カメラの間に、それほど大きな差はないように思いました。

 勿論、これは、あくまでも撮った画像サイズを同じにして、公平さを期したテスト撮影の結果です。つまり、テスト撮影では、同じ被写体を、同じ距離では撮っていないということです。当然、GFX100で撮るときは、他の高画素カメラで撮るときよりも遥か遠くから撮ります。例えば、中判やフルサイズの4000〜5000万画素クラスのカメラで電塾のカラー解像度チャートを撮るときは、2〜3mくらいの距離から撮りますが、GFX100で撮るときは7〜8mくらい離して撮ります。つまり、GFX100はかなり不利な条件で撮っているわけです。

 それで、1億画素のカメラで撮っても、4000〜5000万画素のカメラで撮っても、あまり大きな差が出ないのだと思いますが、実際の撮影現場では、多分、1億画素のカメラも5000万画素のカメラも同じ距離で使われているのではないかと思います。その場合は、当然、1億画素カメラの圧勝になる思います。多分、今回の解像度チェックでは敗北を喫したX-T3にも、撮影現場で負けることはないと思います。GFX100を5000万画素のカメラと同じ場所にセッティングして電塾チャートを撮った場合は、目を疑いたくなるくらい綺麗に、縦、横、斜めのストライプや同心円が写ります。

 要するに、GFX100は狭い室内で使ったり、近くの物を撮ったりするのは勿体無いカメラだと言っていいと思います。遠くのものを撮ってこそ、GFX100の強みが生きるのではないでしょうか。しかし、GFX100で何を撮ったらいいのか、理解している写真家はどこにもいないようです。最近のGFX100の雑誌広告には森の中の大きな古木を撮った写真が使われていますが、この写真はGFX100の強みを生かした写真と言えるでしょうか。GFX100でないと撮れない写真でしょうか。私のD5600でも撮れる写真のような気がしてならないくらいです。

    GFX100と対決したカメラ

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         今回のテスト撮影に使った解像度チャート

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モンクロ解像度チャート

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カラー解像度チャート

 モノクロ解像度対決の写真から紹介します。左側は全てGFX100、右側は比較のために対決してもらった既発売の高画素カメラです。

                              富士GFX100 vs 富士GFX50S

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 双方とも解像本数が40本を軽くクリアしていますが、GFX100の方がコントラストが高く、爽快感があります。

            富士GFX100 vs 富士GFX50R

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 GFX50RはGFX50Sの後継機です。画質はまったく同じはずですが、コントラストはGFX50Sよりもだいぶ良くなったように思います。もしかすると、GFX50Sは撮影時のライティングが悪かったのかもしれません。

   富士GFX100 vs PENTAX 645Z

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  双方とも解像本数が40本を軽くクリアしていますが、コントラストがGFX50Sと同じように、やや低い感じがします。いわゆる抜けが悪いということです。

   富士GFX100 vs EOS 5DSR

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 EOS 5DSRもGFX50Sと同様、コントラストでGFX100に負けています。

   富士GFX100 vs LUMIX DC-S1R

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 S1RもやはりコントラストでGFX100に負けています。

    富士GFX100 vs ニコンZ7 

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 Z7のコントラストはS1Rより遥かに優れていますが、それでも、GFX100には敵いません。

                富士GFX100 vs 富士X-T3

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 X-T3の解像本数は40本をクリアしていません。画素数が2610万画素しかないので、36本くらいしかありませんが、X-T3が搭載しているX-Trans CMOSセンサーの画素数はベイヤーセンサーの1.5倍に相当しますので、解像本数は3030万画素のEOS Rと同じくらいあります。

                  ★

続いて、カラー解像度対決です。左側はモノクロ解像度と同じく、全てGFX100、右側は既発売の高画素カメラです。

                             富士GFX100 vs 富士GFX50S

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 GFX50Sの方がGFX100よりも綺麗です。GFX50Sは縦、

横のストライプがかすかにですが、識別できます。

                              富士GFX100 vs 富士GFX50R

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 GFX50Rはノイズがかなり出ていますが、GFX100には見えないストライプが、一応、識別できます。

   富士GFX100 vs PENTAX 645Z

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 PENTAX 645Zは同心円も縦、横のストライプもかすかながら識別できますが、GFX100はノイズが入った縦のストライプとかすかな同心円しか見えません。

   富士GFX100 vs EOS  5DSR

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  GFX100は同心円がなんとなく見えるような気がしますが、EOS 5DSRは同心円が十字形になっているうえに、縦横のストライプも全く見えません。だから、GFX100の勝ち。
   富士GFX100 vs LUMIX  DC-S1R

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 LUMIX DC-S1RもEOS 5DSRと同様、同心円が十字形になっているうえに、ストライプが全く見えません。だから、GFX100の勝ち。

       富士GFX100 vs ニコンZ7

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 Z7は同心円が十字形になっているうえに、ストライプも見えません。ストライプであるべきゾーンが格子柄になっています。いわゆるモアレです。だから、GFX100の勝ち。

            富士GFX100 vs 富士X-T3

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 説明の必要はありませんね。GFX100の完敗、X-T3の圧勝です。X-T3の勝因はX-Trans CMOSセンサーを搭載しているからです。逆に、GFX100の敗因はベイヤーセンサーを搭載したからです。ただし、前文でも書きましたように、GFX100と被写体の距離がX-T3と被写体の距離と同じなら、GFX100でも綺麗な同心円とストライプが写るはずです。要はGFX100の強みを生かした撮り方ができるかどうかですが、まだまだ、宝のもちぐされ的な撮り方をしている人が多いように思います。

【投稿日(posted date)】2019年8月2日(August 2 ,2019)  

【投稿者(poster)】有限会社エイブイレポート社・avreport's diary・編集長:吉岡伸敏(nobchan@din.or.jp)・副編集長:吉岡眞里子(marico@din.or.jp)/ AV REPORT Co.,Ltd.・avreport's diary・Chief Editor:Nobutoshi Yoshioka・Assistant Editor-in-Chief:Mariko Yoshioka