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avreport’s diary

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          X-Pro3説明会 詳細報告

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 このX-Pro3説明会は去る10月23日、東京・丸の内のフジフイルム・イメージング・プラザで開かれたものです。説明者は富士フイルム・光学・電子映像事業部の商品企画責任者、上野隆氏。46分余にわたる説明で、X-Pro3のユニークさとか、富士フイルムの自信や情熱のようなものがよく伝わってきましたが、一部、自信過剰と思われる発言もありましたので、長くなりますが、敢えて最初から最後まで、話し言葉の形で極力忠実にご報告することに致しました。 

 上の写真にある富士フイルムの商品開発ポリシーを読むと、殆どの人は感心し、多分、買いたくなるのではないかと思いますが、この報告を最後までお読みになると、逆に、本気かい?自信過剰じゃないのかい?と我に返る方のほうが多くなるのではないかと思います。

 富士フイルムは自社の商品ラインナップの実力を過信しているのかも知れません。上野氏は、Pro3は万人には受け入れられない特殊なカメラだとおっしゃっていますが、なぜ、富士フイルムがPro3のような特殊なカメラを作れるのかというと、Tシリーズのような、万人向けのカメラもちゃんと揃えているからだと、おっしゃっています。しかし、本当に万人向けのカメラも、ちゃんと揃えているのでしょうか。

 私には、揃えているとは思えません。1号前の当ブログをご覧になっても、Tシリーズのハイエンド機、X-T3ですら、実力不足がはっきり分かります。フィギュアスケートに喩えると、フリーの演技は素晴らしいのに、規定演技のショートプログラムは余り評価されていないことに、富士フイルムは気づいていらっしゃらないような気がします。

 言うまでもなく、富士フイルムの万人向けカメラはいまだにAPS-Cの低画素モデルばかりですから、少なくとも、モノクロ解像度については、ソニーのフルサイズミラーレス機、α7R Ⅳ(6100万画素)は言うまでもありませんが、比較的低画素のフルサイズミラーレス機、ニコンZ7(4575万画素)にも、まったく歯が立ちません。

 ところが、上野氏は敗北を決して認めようとしません。

 「このフジフイルム・イメージング・プラザのギャラリーに展示してある作品をご覧になって、Tシリーズが使い物にならないカメラだと思う人がいらっしゃるでしょうか」と、この日のPro3説明会でも、いつも通り、自信たっぷりの反撃を楽しんでいらっしゃいました。

 しかし、上野氏がおっしゃるギャラリーに展示されているのは、写真家の作品ではありません。作例写真作家、いや、作例写真制作業者たちの、写真のように見えるけれども、実は写真ではない作品ばかりですから、ギャラリーの写真もどきを見ただけでは、Tシリーズが使い物になるかどうかは分からないはずです。

 Tシリーズがあるので、Proシリーズが作れるという理屈が通るのは、富士フイルムの社内だけだと思った方がいいと思います。

 以下はX-Pro3説明会の全文です。なお、説明用の写真も沢山用意されましたが、写真より言葉が肝心なので、写真は敢えて使わないことに致しました。機能を詳しく知りたい方はホームぺージから取説をダウンロードしてください。

                ★

「ご覧の通り、Pure Photographyというキャッチコピーを掲げさせて頂いております。今回、本日より開催しております写真展も同じタイトルでやらせて頂きます。昨今、デジタルカメラ、静止画の世界だけでなく、ムービーとの共用ですとか、色々、映像の世界は広がっているかなというふうに思いますが、このX-Proというシリーズにつきましては、あくまでも、写真を第一に考えようじゃないかというところが、このPure Photographyの理由になります。

 富士フイルムは、元々、社内でも、我々はカメラメーカーではないと、写真メーカーだという認識を非常に強く有しておりますので、そういった意味からも、こういったタイトルでXシリーズをやらせて頂いております。

 Proシリーズが目指しているものは常にこれです。闇雲にデバイスや何か表面上の性能を新しくするわけではなく、一つのコンセプトを深めていくという方向に常にモデルチェンジの意識を置いております。

 そのなかでも、今回、Pro3はカメラを持つ喜び、そして撮る楽しみ、また、そういったものが、昨今、写真を撮るとか、映像を楽しむというのは、極論しますと、スマートフォンで全体の80%くらいはもう既に、しかも、ビックリするような高画質でできる時代になっているんじゃないかなあ、というふうに感じております。

 そのなかでも、やはり、じゃ、カメラをわざわざ買う理由は何だろうと、いうふうに考えたときに、やはり、持って嬉しい、使って楽しいというのは、これはやはり、スマートフォンに上回れるポイントじゃないかなと考えております。

 それでいて、それを追求すれば、追求するほど、写真を撮るために必要な性能、必要な形に収斂していって、なおかつ、持ち運びにおいても、スマートフォンのあの携帯性の良さに叶うわけがありませんので、だからといって、カメラは、じゃあ、大きくて重くていいのかというと、そういうことではない、そこを目指す、それがこの、元々、X-Proシリーズというものが

持っていた大きなコンセプトになります。

 まさに、奥のほうから、Pro1、Pro2、そしてPro3というふうに並んでおりますが、殆ど違いが分らないかと思います。これが深化、深くなっていく方向だと我々は考えております。

 まず最初に、じゃあ、何が今回、深化なのか、深くなったのか。ボディの材質ですね。まず、チタンを採用しております。チタンの材質をX-ProシリーズのDNAに落とし込むまなければいけないんですね。チタンというのは、実は、加工が非常に困難です。これをProシリーズで、一見、シンプルなデザインに見えるかと思います。ですが、実はこれをチタン材でつくるに当たっては、相当なチャレンジが必要でした。

 チタンと言いますと、やはり、強い、変形しにくい、というイメージがあるかと思います。まさに、その通りです。このように、まず、型を作るんですが、これが、なかなか、この型通りに収まってくれないんですね。専門用語でスプリングバックというらしいんですが、つけた型が戻ろうとする反力といいますか、応力が非常に強いんですね。なので、並大抵の型では、この形状にはならない。それでいて、我々、富士フイルムのデザイナーの非常に良いところでもあって、それでいて、いつも喧嘩の種になるところでもあるんですが、非常にディテール、デザインに拘ります。Proシリーズで言えば、例えば、ファインダーのこのエッジの部分ですね。窓が出ている。鉄板で打ち抜きみたいにすれば楽なんですけど、わざわざ、ここの顎を出すですとか、このフロントにウエーブラインというのがあります。フロントを横切る、こう、斜めの、昔、スカイラインでサーフィンラインなんて呼ばれていて、あれがスカイラインアイデンティティーですって、ニッサンが言ってて、どっかのモデルで無くしたら、えらい騒動になりましたけど、そこまでの伝統はないにしろ、ずーっと、このウエーブラインっていうのをフロントトップカバーに入れるっていうのを、Pro1、Pro2と拘ってきましたし、ダイヤルのところを、シャッタースピードダイヤルを回しやすいように、ここの部分をハの字に削ると、これ、Pro2からなんですが、Pro1はストレートだったんですが、そこをより操作性を改善するということで、ハの字にやって、これも是非やりたいと、これ、全部、チタンでやるには、マイナス方向です。作りにくい方向になりますが、でも、これがProシリーズでしょと、いうところなんで、我々はかなり無理を承知でやっております。

 構造はこのような感じになってまして、勿論、チタン材といっても、フロントやリアパネルまでチタンでやるわけにいかないですし、そもそも、デジタルカメラというのは、センサーであったり、フォーカルプレーンシャッターであったり、マウントであったり、色んなものをボディに締結します。その締結用のボス穴もちゃんと開けなければいけませんから、それを精度よく開けるためには、やはり、キャストを使う必要がある。で、キャスティングでできるものと言えば、やはり、マグネシウムが一番、比重にしてもそうですし、強度、硬さにしても、有効ですので、インナーボディについては、マグネシウムを使っております。そこに表面に出てきて、一番、外界の世界と衝突することになるトップとボトムに非常に強度の高いチタンを入れるという構造体になっております。

 ちょっと、工程の映像を、すみません、音声がちょっと出ないので、私が解説しますが、まず、このような、これはトップカバーの生産工程になります。見て頂くと、何となくPro3の形をしているのが、お分かり頂けるかなというふうに思います。このような型にはめて、チタンをまず成形していきます。これが、なかなか、この形で止まろうとせずに、戻ろうとしちゃうわけですね。その部分をこうやって、機械のグラインダーで成形していきます。非常にここは手間がかかっていて、さらに、そこでも再現できないところは、こうやって人間の手で一つ一つ削って成形をしていきます。で、最後にこのロゴを、社名とモデル名をレーザー彫刻で入れていきます。ま、チタンですから、型押しのような窪み文字ではできません。そうすると、それこそ、スプリングバックもありますし、パネル全体に歪みが入ってしまいますので、このチタンの表面に対してはレーザー彫刻をやっております。

 ご覧頂いたように、非常に今どきのデジタルカメラとしては、ま、Pro2のときも、わたし、同じ台詞を言わせて頂いたんですが、こんなに手のかかっている、拘っているカメラはありませんと言いましたが、さらに、これに輪をかけて、拘り抜いているのがX-Pro3というカメラかなあと思います。人間がやってますので、結果的に、敢えて言わせて頂ければ、全て同じものというのは、多分、2台とないと思います。

 この削り具合、ま、これは例えば、ライカさんなんかの真鍮トップカバーの削りもそうだと思います。あれは微妙に1個、1個比べると、角のアールの感じが違っていたり、少し折り目が残っているモデルもあったりとか、私もカメラ、好きで、ライカ、何台も買うなかでは、こんなに個体差があるんだって思った記憶がありますが、やはり、そういう手作りになればなるほど、そういった違いというのは出てくるかなと、逆に我々としては、それが味ですと、いうふうに捉えて、ま、通常の工業製品で言いますと、1個1個が違うというのは、決して良いことではないという認識もあるんですが、これについては、そういう手加工も入れて、最終的にフィニッシユさせて頂くということで決めました。

 Pro3というのは3色同時に発表になります。いままでのPro2までのブラックペイント、半艶ブラックペイントが勿論あるなかで、追加で2色、DRブラックとDRシルバーという2色が(加わります)。DRはデュラビリティ(durability)。非常に強度が強いというのが、このDRの名前になります。

 じゃあ、なんで強度が強いのかと言いますと、実はこの2つはデュラテクトという、いわゆる強度を増す施策と言いますか、入っております。デュラテクトはご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、シチズン時計さんの登録商標になります。

 そのデュラテクトのなかでも、二つ、種類がありまして、それぞれ、我々もPro3の色によって変っております。まず、こちらのDRブラックのほうはダイヤモンドライクカーボン、通称DLCと呼ばれる方式でデュラテクトが書かれていまして、これは真空装置のなかでガスをプラズマ化して、化学反応させる、いわゆるコーティングになります。皮膜を形成して強度を増すというやり方がダイヤモンドライクカーボンで、非常に、ガンメタリックというか、鉱石、石のような色合いになるのが特徴です。

 一方、シルバーのほうはMRKと言いまして、こちらも同じく真空装置にガスを封入するんですが、これを熱処理で素材自体に染み込ませる、表層に染み込ませる形で強度を上げるというやり方をとってます。このMRKというのもシチズン時計さんの登録商標です。DLC、ダイヤモンドライクカーボンは一般的な強化コーティング技術として一般化されているそうなんですが、MRKはシチズンさんの特殊技術ということになります。非常に、素材自体が変形しますので、打ち傷、打痕にも強くて、ハードな環境下での使用に向いております。

 もう少し細かく説明しますと、ブラックの半艶塗装は約30ミクロン、下地とブラックペイント合わせて30ミクロンの塗膜が塗ってあります。当然、デュラテクトではございませんので、何かとぶつかれば、傷もつきますし、塗装も剥がれるかと思いますが、むしろクラシックな佇まいで、そういったことによるエージングが好みだという方には、引き続きブラックペイント、魅力的じゃないかなと思います。

 一方で、逆に、とにかくカメラはいつまで経ってもまるで新品のように綺麗でいてほしいという方には、やはりデュラテクトがお奨めかなと思います。ブラックとシルバーで、ブラックは先ほども申しましたが、約2ミクロンの表層コーティング、そして、一方のDRシルバーのほうは表層20ミクロンの素材改質、素材自体を化変させるという処理で強化していることになります。

 じゃあ、どのくらい強いのか、最近流行のヤッテミタ動画。カッターで、ガジガジ、擦ってみようかなという話ですね。これ、Pro2になります。Pro2のブラックペイント。カッターで擦りました。当然、傷つきますね。一方で、Pro3の、これはDLCのほうですね。ダイヤモンドライクカーボン、これもカッターの先端でガギガギ、これ、音、出ていると、逆に背筋が寒くなるような音してます。ギコギコ、ギコゴコ。で、このくらい、差が出ます。基本的にほぼ無傷と言っていいと思います。ホントかっていう人はここに、開発からカッターで削ってもいいよと言われたパーツを二つ用意しましたので、カッター、もしくは硬いものをお持ちの人は是非あとで擦ってみてください。

 勿論、デュラテクト同士をこうやったら傷つきます。なぜなら、硬いもの同士だから。だから、相手が硬いかどうか、自分よりも。これによって、デュラテクトよりも柔らかいものであれば大丈夫。じゃあ、その柔らかいものって何っていうと、ちょっと戻りますが、ここですね。硬度比較です。一番上はやはり、何と言ってもダイヤモンド、これが一番硬い金属です。というか鉱物ですね。そして、勿論、皆さん、ご存知の通り、そして、腕時計の世界とか、ま、カメラにも、一部、シャッターボタンなんかに使われているサファイアという、これもやはり硬い素材ですね。それに対して、それよりも若干落ちるところにあるのがデュラテクト。硬度の幅が広いのは、先ほど言ったDLCとかMRKとか、色んな製法によって若干幅が広くなりますので、こういう書き方をさせて頂いてますが、それでも、例えばステンレススチールだったり、チタン材そのままであったりとか、いま、多くのカメラに使われているマグネシウム、我々もTシリーズなんかでは勿論使っています。に、比べると、非常に表面、ビッカース硬度ですかね、引っ掻き傷硬度、これが非常に強くなるいうのが、このデュラテクトの効果です。だから、チタンが先なのか、デュラテクトが先なのか、というところがありますけど、根本はこういうX-Pro3のようなカメラは持つ喜びと、先ほど、冒頭で言いましたけど、やっぱり、長年、大事に、Pro2のときも、私、10年使えるカメラにしましたと言いました。ま、4年でチェンジしましたけど、いま、Pro2

が、じゃあ、まったく使いものにならないくらい使えないカメラかというと、決してそんなことはなくて、恐らく、あと6年経っても、Pro2でも全然問題ない写真が撮れると、私どもも思ってますが、Pro3もそういったロングライフに適応できるようにということで、チタン、そしてデュラテック。マグネシウムにデュラテックは乗りませんから、ということでチタン材を採用して、Pro3ってものを作っています。

 戻ります。ま、素材と塗装の種類はPro1、Pro2と比べますと、このように変っていると。サイズですが、まったく一緒と言っていいかと思います。厚みが0.2mmだけ厚くなって、重量が2gだけ重くなっていますが、もう、これは誤差の範囲ですので、両方持って、大きくなった、重くなったと思う方はいらっしゃらないかなというふうに思います。

 そして、続いての深化はファインダーです。やはり、Proシリーズ、もしくはX100シリーズと言えば、ハイブリッドビューファインダー、世界唯一、この2つのモデルしか搭載してません。

 今回、ハイブリッドビューファインダーは新規設計になっています。一番変ったのは実はいままでの、いわゆる変倍ファインダーではなくて、単倍化しております。なので、いままでは、丁度、35mmの焦点距離を境にマグニフィケーションが変って0.6倍、それまでは広角用の0.36倍のワイドビューとテレビューが切り替わるという非常に複雑な凝ったファインダーを搭載してました、Pro2では。ただ、それをやることの弊害も幾つかあって、例えば歪曲収差、ファインダー倍率、ファインダーのクリアさ、そういったものが、やはり、若干落ちるんですね。ただ、やはり、光学ファインダーにはEVFにはない魅力がありますので、我々はそれを大事にしてきたわけです。

 翻って、昨今、Pro1当時のファインダー技術と言いますと、EVFはまだまだ144万ドットの世界でした。で、なおかつ、タイムラクグ、これも0.1秒とか、要はシャッターを切った瞬間に被写体の位置が違うじゃないかと、要はタイムラグが遅い世界を見させられているという時代があったので、それでは、スナップカメラであるべきX100やX-Proには、それはそぐわないねということで、OVF、光学ファインダーを付けていたわけですね。

 ところが、2014年の我々で言っても、T-1以降、EVFの遅延は5/1000秒しか、もうなくて、ほぼリアルタイムビューファインダーということができるところまで上がってますし、光学ファインダーが逆立ちしてもできない撮影するべき映像の色再現や階調再現を見ながら撮影できるという、デジタルカメラならではのメリットもEVFにはあるわけで、そういったものがだいぶ深化して、結局、Pro2のプロユーザーにもインタビューを色々かけたんですが、大体、8割から9割の人がEVFオンリーと言いますね。で、OVFを使っている人でも、EVF、OVFは半々かなという、シーンに合わせて、半分、OVFを使うときもあるけど、というくらい、やはり、EVFが非常に重要になってきている、というのが我々の調査でも分ってきました。

 かと言って、じゃあ、ProシリーズはOVFでなくていいのかというと、そこはまた、全然、話が違っていて、やはり肉眼で、対物ガラスを通して、レンズを通して、光学像を見るという何物にも変え難い満足感、そういったものも一つの性能だと思っているので、だからと言って、EVFオンリーでいいとは思っていないということで、今回、単倍化して、スナップを撮るであろう、また、そういったOVFに拘るであろう方が使う焦点距離、フイルムでいうところの35mmや50mmですね。ここの世界に特化した倍率に単倍でやることに引き換えて、先ほど言った変倍化するデメリットを消してEVFの性能を上げるということを今回やっています。

 パネル自体はPro1、Pro2から、ドンドン上がってきまして、Pro2で236万だったものが、369万ドットの、今回、初の有機ELです。

 ここで、皆さん、ちょっとアレッと思うかもしれませんが、T1以降、当社もEVFには有機ELをずっと使ってきたんですが、

実はProシリーズや100シリーズは有機ELを使ってきませんでした。正しく言えば、使えませんでした。なぜかと言うと、ブライトフレームを出さなきゃいけないからですね。例えば、逆光で強烈な太陽の光が前から来ているのに、その状態で白いブライトフレームの枠を浮かび上がらせるためには、有機ELの輝度では足りないんですね。むしろ、それを無理矢理出してしまいますと、ご存知の通り、有機ELには寿命がありますから、その寿命を縮めることにもなりますし、また、焼きつき等も起こすことにもなります。ということで、いままでLCDに拘ってファインダーを作ってきたわけなんですが、100もしくはProシリーズについて、今回、新たに開発された、この超高輝度有機ELを使うことで、非常に低電力な有機ELを部材に使ったハイブリッドビューファインダーが完成したということになります。

 フレームレートも、いままで85、Pro2は、ブーストかけて85でしたが、T3同等の100まで上がるようになっています。

 それ以外に、色の再現比も広がってます。いままでのPro2が、大体、色域がこの三角形だったんですね。これに対して、Pro3はより赤い方向の再現力を上げております。結果、ファインダーがよりリアルに、これもやはり、EVFが主流になっていくという、一つの理由でもあるんですが、しっかり色域も広がってきていますので、よりEVFが活用できるかなというふうに思っています。

 高速フレームレート、100フレ出ますので、当然、動体撮影なんかにも充分向いてます。また、ただ100にするだけではなくて、残像低減機能というのを入れております。これは何かと言うと、左下の、連写をこうしていくわけですね。これが秒間100コマあるのが100フレーム、フレームレート100ですけど、この間に実はブラックフレームをすべて投入していきます。こうすることで、フレームレートは計算上、あくまでも100なんですが、見え方としては倍速の200にしたのと同じくらいの残像を低減する効果があります。これを入れることで、非常に激しく動く被写体に対しても、非常にクリアで明確な像を見ながら、被写体を追いかけることができる、というふうになってます。これも、このPro3からの新しい機能です。

 そして、このPro3を9月20日のXサミットで開発発表させて頂いたとき以来の、一番、物議を醸し出しているのが、このヒドゥンLCD(hidden LCD)かなというふうに思います。このヒドゥンLCD自体は特段、新しいものでもないと思いますし、ライカさんに至ってはLCD自体をとってしまってますし、古くは、エプソンさんのR-D1sというのが、こう、ひっくり返して、閉じられるというのを、やってらっしゃいました。ま、面白いのは、どれもやっぱり、レンジファインダースタイルのカメラで皆さん、やっているということですね。

 我々も実は、このLCDは相当前からやりたいという話は実はしていて、その証拠というわけじゃないですが、2月にドバイでやったXサミットでも、GFX50Rのコンセプトモデルを、モックアップを披露させて頂いたときに、やはり、このように、液晶が反転する、というか、液晶がこう被さるというコンセプトを出させて頂いてます。それを今回、Pro3で初めて採用したというのが経緯です。ま、恐らく、直接聞いたことはないですが、ライカさんも、エプソンさんも、やはりレンジファインダースタイルで瞬間を狙うスナップカメラということからすると、常にファインダーを覗いてシャッターチャンスに備える、撮った写真を見るなんてのは、家へ帰ってからでもいいし、移動中の電車のなかでもいいでしょと、見てる暇があったら、写真撮りなさい、ということだと思うんですね。我々、富士フイルムからのメッセージもやはり、そこに尽きます。どうしても、いまのデジタルカメラの世界は、撮って、見る、撮って、見るの繰り替えしになっていて、やはり、見るという行為が入ることで、人間はやはり見てしまうと、安心しちゃいます。フイルム時代ってのは、どうしても、その安心が無いから、ましてや、ポジで撮ってたら、露出だって、どれだけ当たっているか分らないから、露出もずらすし、構図も変えるし、徹底的に追い込んで写真を撮っていた。だから、我々が感動するような写真が一杯、世の中には出てたと思うんですよね。それが、やはり、撮りました、見ました、撮れてます、露出も合ってます、ピントも合ってます、ここから先、さらに追い込めと言われても、やはり、人間、想像力に蓋されちゃいます。なので、やはり、そういったところを、もっと、ストイックに追いかけるには、むしろ、勿論、液晶OFFにしとけばいいじゃん、というの、ありますよ。ありますけど、それよりも物理的に見えなくしちゃうほうが、やはり、より強制力も働きますし、カメラとしてのスタイルというのも上がってくるのかなあと、いうふうに思っています。ただ、我々にはライカさんほどの勇気というか、外しちゃえというまでの発想はないので、また、スナップに合うウエストレベルファインダーというのが有効だというのは、勿論、写真家を含め、皆で納得するところでありますから、それと、ウエストレベルでも構えられますというのを両方、同時に実現しようと、ファインダーのストイックさとウエストレベルの利便性、これを両方、実現するための仕組み、これがヒドゥンLCDですね。

 これ、デバイスの一覧表になります。Pro2と比較して頂くと、すべての面で深化しているのが、お分かり頂けると思います。唯一、変化がないのがここです。輝度。これは先ほど説明しました。液晶だからできたんです。これ、OLEDにすると、もう3桁の下のほうです。いままでは。それを、ここまで上げることができたというのは、新しいパネルのおかげ、ということになります。

 続いて画質系ですね。Proシリーズはどちらかというと、作家のための、ま、プロと言っても、色んなプロがいます。コマーシャルカメラマンもいれば、営業写真館さんもいれば、色んなプロがいます。報道カメラマンもいます。Proシリーズはやはり世界中を渡り歩いて作品を撮るというところを常に、そういった方たちを意識しているカメラであります。なので、表現力を強化するというのが、とても大事だと考えています。その表現力でも、我々の表現力の武器は何と言ってもフイルムシミュレーションです。こちらは新しく、今回、クラシックネガ(Classic Neg.)というものを入れております。それ以外に新しい単色表現、モノクロマチック(Monochromatic)というのを入れたりですとか、富士フイルムの色を使って、さらにそこから、ご自身なりの個性を加えたいんだという人のために、TIFFの強化、16bitTIFFですね。これを入れたりとか、粒状感を足すのに、グレインエフェクトというのを、我々、これはPro2のときに初めて提案させて頂いたんですが、デジタルの粒状とやはりフイルムの粒状はどうしても違います。違うんですが、やはりフイルムメーカーとして、何とかそれを近づけたいという想いがありますので、今回、サイズだけではなくて、いままでは強弱だけだったんですけど、そこに対して粒状の大小も複合的に加味して、よりリアルなグレインを出せるようにしております。

 その他、最近流行の明瞭度補正ですとか、ホワイトバランスも、我々、ミレッド値に従って、ホワイトバランスを変えられるようにしてたんですが、そうすると、パッと見、ケルビン値で言うと、一定レベルではないんですね、変化の幅が。これ、log、対数とって頂くと一定なんですけど、これ、かなり難しいので、ま、要望がありましたので、非常に細かく設定できるようにしてます。いままでのに慣れてた人は逆にちょっと、もしかしたら使いにくいかもしれないですけど、そういったホワイトバランス設定の微細化ですね。それと、カラークロームエフェクト、これも富士フイルムの元々はVelvia 100Fというフイルムに使った、いわゆるシャドウイングという技術を使った、色の濃淡を強調するエフェクトですね。これ、いままで、レッド、イエロー、グリーン、この辺が効果的な色だったんですが、青には効かなかったんです。これに対して、今回、青に効くカラークロームエフェクトというのを、いままでとは別にメニューで設定していますので、カラークロームエフェクトが2種類できたので、青を強調したい場合と、それ以外を強調したい場合に分れています。勿論、両方合わせて使うこともできます。

 クラシックネガはフイルム名で言いますと、代表的なのはスペリアという、我々の、ま、一番代表的なカラーネガフイルムですね。アマチュア感材といえば、アマチュア感材ですが、むしろ世界で最も使われているカラーネガと言えるかなというふうに思います。ポジショニング的には、彩度低めですが、階調高めというところに入ってきます。クラシッククロームになると、もっと彩度、低くなりますね。それよりは若干、彩度はありますね。

 例えば、プロビアがセンター。これは、もう富士フイルム、フイルム時代から、ずっと、全ての色の基準はプロビアなので、メニューを見て頂いても、プロビアのところにはスタンダードと書いていますね。これに対して、ベルビアにしますと、当然、非常にオレンジ色と言うか、赤が乗ってくる。で、階調も彩度も一番上に貼り付くというのがベルビアになります。

 そんななかで、今回、クラシックネガがどうなるかというと、この肌が非常に変るのを、ほら、このくらい変ります。実際、どんなものを撮ればいいのかなあというので、色々、試して、撮ってきたりしたんですが、こういう、多分、古い建物なんかは、しっとり落ち着いて、彩度低め、階調硬めなので、どちらかというと、こういうような、ちょっと重厚感出したいなあなんていうときは出るかと思いますし、色も過度に乗らない、これ、ベルビアで撮ると、ここの赤も、向うの黄色も、ガーッと出てきてしまいますので、これ、実は曇天の日に、若干曇りで撮ってますけど、その曇りの雰囲気が出るように、ベルビアで撮ると晴れにすることができますので、そのくらい違いが出るかなと。なので、こういったような、まさにファミリースナップ的な写真が撮れて、ま、昔、フイルムで撮ってた頃の写真の色表現に近いというのが、このクラシックネガかなというふうに思います。

 カラークロームエフェクトブルーですが、比較を撮ってきました、一目瞭然ですね。向って右側がカラークロームエフェクトブルー ONにしております。なので、フイルムシミュレーション、まったく一定、露出もまったく一定で、カラークロームエフェクトブルーだけ、ON、OFFにすると、この差が出るわけですね。だから、これと、フイルムシミュレーションを掛け合わせることで、ベルビアに使って、ただでさえ青いやつを、より青くして、なおかつ、カラークロームエフェクト風というやり方もありますし、敢えて、これは実はクラシックネガで撮ってますので、敢えて、例えば下の、この自転車の写真なんかそうですが、クラシックネガを使ってますので、背景の倉庫街とか、この辺は曇天だったこともあって、非常に地味というか、落ち着いた色になっていますね。落ち着いた色なんですけど、青だけクッと前に浮き立たせるような効果があるかと思います。これ、ベルビア使って青を強調しようとすると、こっち側も派手になってきます。この辺に赤みが乗っかって、少しピンク、ピンキュッシュな倉庫の色になっちゃったりしますから、全体にかかっちゃいます。なので、色だけを、これだけ反対側の向うに比べて濃く強調することができるということで、また、表現としては一歩深まったかなあと、いうふうに考えております。そうすると、作品撮りにしますと、こういう青空ですね。やはり、青と言えば青空を強力に訴求したりとか、非常に印象的な青空とともに写真を撮ることができます。これがカラークロームエフェクトブルーの力です。

 続いて、モノクロマチックですが、これ、何のことやら、よく分らないかなあと、いうふうに思いますが、いままで、T3以降、実はモノクロに対して、温黒調、冷黒調という、普通、印画紙と現像液で制御する、あの操作を実はXは入れております。で、それに対して、その上下方向、温黒、冷黒だけではなくて、それを色側に振るようにできたのが、このモノクロマチックになります。

 どういうことかと言うと、普通のモノクロが、これのコントロールパネルですね。このセンターにいま置いてます。で、上下に振ると、このモノクロのまんま、温黒、冷黒、いままで通り変ります。これを上下ではなくて、左右方向も交えて変化させる。例えば、このポジションに置くと、若干、紫がかった色になりますし、一方、上側にもっていくと、レッド、オレンジがかった表現にもなります。ま、こういう映像っていうのも、いま、SNS等で上がっているのをご覧になった方も多いかなあと思います。こういったものをカメラ内で整理をして、ま、やりすぎると、こうなっちゃうんですけどね。いま、表現というのが非常に多彩になってますので、ま、そういったところに、一つ、対応するエフェクトというふうに思ってます。

 今まで通り、温黒、冷黒は上下に振って頂ければ、プラマイ9段ずつ、18段、行きます。それに対して左右方向、マゼンタ-グリーン、これも同じく18段、制御できますので、ここでちょっと印象的な表現をしたいなというときに使えるようになっております。

 フイルムシミュレーションの各Proシリーズごとの、あり、なし表と言いますか、非常に当然ですが、Pro3は全てありますので、こういったところの表現力というところが強化されているかなあと思います。

 カメラの基本性能ですね。まず、オートフォーカスが−6EVに対応しております。画素の読み出し、位相差別読みと、我々、言ってますけど、位相差画素と映像の露出を別々に読み出すことで、非常に低輝度なところでも、多少、どうしても時間をかけざるを得ないですが、速度は落ちますが、しっかりと位相差を働かせて、距離を検知することができるようになっています。

 EV−6と言いますと、F1.4のレンズで絞り開放、シャッタースピード1秒、しかも感度は12,800まで上げるという、実際には、なかなか、人間の眼で見たら、ほぼ真っ暗と言える状況ですね。この状況で位相差AFがかけられる仕組みになっております。

 それ以外に、映像化してお見せできるのはHDRですね。これが、当然、3枚合成になりますが、Dレンジ800%ということで、実現しております。連写で1、2、3と撮って合成すると、これになる。なので、シャドー、例えば、この岩の手前側ですね。これ、普通にハイライト基準で写真撮ったら、ここ、真っ黒、今度、シャドー基準でやったら、空、飛んじゃいますという、それを全部撮って、このように合成すると。当然、3枚合成ですので、三脚は基本的には必要かなと思いますが、こういった写真が撮れるようになっています。

 それと、多重露出も強化されてまして、いままでは2枚しか、我々のカメラは合成機能がなかったんですが、複数枚合成というニーズが非常にありまして、今回、最大9枚まで合成できるようになってます。

 これは、今回、ギャラリーの写真を撮ってもらうに当たって、写真家の内田ユキオさんにカメラをお渡しして撮って頂いたところ、早速、新しい機能を使って、こんな写真が送られてきたんですね。これ、どうやって撮ったか、お分かりになりますかね。ちなみに、私は一発で分りましたけど、当り前です、作っているから。これは、さっきのモノクロマチックを色を変えて合成しているわけですね。そうすると、ま、パッと見、内田さんにも返したんですけど、これは何か、まるでアンディ・ウォーホルの世界みたいですねという話をしたら、彼もウォーホルのファンなんで、いや、もう、まさに、そういったテイストを出したくて、こういうふうにやってみましたということで、ま、先ほどのモノクロマチックにしても、この多重露光にしても、本来、X-Proのようなカメラがやるべき表現ではないかもしれませんね。X-Proというのは、やはり、キャンディデットフォトと言いますか、スナップ、ドキュメント向けにつくっているんですが、先ほどEVFを強化したという話もありましたけど、こういう非常にアーティスティックな、創る写真についても、勿論、充分、適応力と言いますか、を付けるというのが、この機能たちになります。

 また、フォーカスブラケット。これもT3以降、搭載している機能ではありますが、今回、これも同じように搭載してます。こういった絞り開放の絵をフォーカスをずらして109枚に渡って合成して、絞らないでいいので、レンズの回折現象の影響を受けないということで、1枚、1枚、高画質なものを重ね合わせることで深度合成している。ただ、これをカメラ内でやると、非常に処理が重くて、カメラにも負担がかかって、カメラが動かなくなっちゃいますので、一応、この合成自体はいまのところ、当社はカメラ内ではやってないです。フォトショップ内のソフトウエアに一旦入れて頂くことにはなりますが、ホントに2クリックくらいで深度合成ができますので、それほど負担にはならないかなというふに考えております。

 これが基本性能、デバイスの旧モデル比較になります。赤いところが、今回、深化したところかなあと思います。で、見て頂くと、殆ど、1カ所を除いて、全部、赤くなっているので、充分、深化しています。ただ、その深化というのは、何ていうんでしょうね。非常に数字とかで分りやすい深化というよりは、使っていて、表現をしようとすればするほど役に立つ、そういったところに振っていることになります。特にメインデバイスの2大巨頭でありますセンサーとプロセッサー、これについてはT3をそのままキャリーオーバーしてますので、もう既に定評のあるX-Trans ⅣとX-ProcessorⅣを搭載、それを基準にソフトの新規開発によって、先ほどから説明しているような色んな表現というのを身につけることができたのが、このPro3というカメラかなあと思います。

 最後になりますが、我々、富士フイルムのカメラに対する考え方をちょっとお話させて頂ければと思います。我々、常に考えているのは、撮るカメラによって、作品の価値というのが変ることはないでしょ、というふうに思ってます。それは、ましてや、画素数とか、センサーのサイズとか、そういったことでカメラの価値は変らないでしょと、もし、そんなことでカメラが変るんだったら、例えば、アンリ・カルティエ=ブレッソンのあの有名なサン・ラザール駅裏の、あの写真、殆ど、そんなシャープじゃないですよね。ロバート・キャパのノルマンディー上陸もそうです。こないだ亡くなられたロバート・フランクのジ・アメリカンズ(The Americans)だって、そうです。あれが、じゃあ、いま現在の、例えばフルサイズの6000万画素、5000万画素で撮ったら、あの写真の価値は上がりますか、といったら、1ミリも上がらないですよね。勿論、必要最低限の性能がないカメラは、それは駄目です。やはり、そういうことで、カメラの価値も魅力も変ることはないでしょと。そんなことよりも、我々としては、このカメラ、今回で言えばPro3を使って欲しいシーンだとか、被写体で、何よりもユーザー、このカメラを良いと思ってくれるユーザーのことだけを考えて、そこに対して要らないものって、あるんですよ。他の条件だったら必要なものでも、この条件だったら、このカメラだったら要らないもの、ていうのがある。それを削ぎ落として、いわゆる引き算ですね。を、することで、個性を際立たせる、そうやってコンセプトを決めて作ったカメラがX-Pro3です。

 9月20日のXサミット以降、まあまあ、それはそれは、ネット上で、世界中で、色んなことが議論されてますね。色んなコメント欄を見ると、300件というのもあります。大体、海外は、まあ、7割、8割がネガティブですよ。ハッキリ言って。ところが、面白いことに、日本は逆で、7割、8割がポジティブなんですね。これ、非常に、やはり面白くて、大体、皆は、一旦、呆れるんですね。コメント的には、何だ、この変態カメラはとか、こんなカメラ、よく企画、通ったなとか、でも、必ず、そのあとに、欲しすぎるとか、もう買うしかないじゃんとか、何か、そういう、一旦落としといて、でも、何か、欲しいねというコメントが、ホントにツイートとか、色んなところで我々も見ることができて、ま、それ考えると、この、何か、引き算の美学って、色んな人と、そのあとも話したんですけど、ものづくりをやっている人たちに聞くと、引き算の美学って、やっぱり、日本独特だよと、削ぎ落としてって、何て言うのかな、実力よりも若干弱いものが強いものを負かすことに対する美学と言いますかね。で、海外は凄く合理的なんですね。何でデジタ

ルの最大のメリットである撮った画像がすぐ見れるという背面液晶を隠すんだと、もう理解できんと、絶対、Pro3なんか買わない、というコメントがやっぱり海外は凄い多いです。

 でも、我々、ある程度、それは本当に覚悟してました。なぜならば、これは我々も万人に受け入れられるカメラだと思ってないです。全然、思ってないです。そのためのカメラはちゃんとTシリーズとかを、ちゃんと用意している。我々がもしProシリーズしか作ってないんだったら、こりゃ駄目ですよ、やっちゃ。事業を潰す気ですか、という話になります。だけど、Proというのは、そういうカメラではない。なので、道具って、やっぱり、私が商品企画をやるうえで、いつも自分の頭に置いているのは、絶対に専用の道具に叶う万能の道具はないと思っているんですね。だから、やっぱり専用、このカメラで言えば、やっぱりスナップ、ドキュメンタリー、ポートレート、ま、ここ専用に機動力を上げて、小型軽量で撮っていく、そのためのものを作っているんで、そういう写真が純粋に好きで、そういうのを撮る、いわゆる研ぎすまされたカメラが好き、そういう人向けに作った特別なカメラ、だからチタンであり、デュラテクトであり、ということをやっている、ということですね。ま、そういうカメラがこのX-Pro3だということが、最後にお伝えさせて頂ければと思います。いま、昨今、そうですね、色んな、性能的に素晴らしいカメラというのが、他社さん含めて、本当に一杯出てて、そこと戦っていかなければいけない富士フイルムとしては、ホントに、なかなか辛い時代になっているなと思います。ただ、そんななかで、だからこそ、人と同じものを作っても、しょうがないでしょ、というところで、特にX-Pro3というのは、そういうことが許されるカメラというふうに、我々の位置づけでもありますので、それを作った次第です」

【投稿日(posted date)】2019年10月31日(October 31 ,2019)  

【投稿者(poster)】有限会社エイブイレポート社・avreport's diary(avreport.hatenablog.com)・編集長:吉岡伸敏(nobchan@din.or.jp)・副編集長:吉岡眞里子(marico@din.or.jp)/ AV REPORT Co.,Ltd.・avreport's diary・Chief Editor:Nobutoshi Yoshioka・Assistant Editor-in-Chief:Mariko Yoshioka