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avreport’s diary

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          大阪・難波(御堂筋グランドビル)にも

FUJIFILM Imaging PLAZA

 富士フイルムが10月21日、昨年4月の東京・丸の内に続いて、大阪・難波にもFUJIFILM Imaging Plaza(富士フイルムイメージングプラザ)を開設、11月1日には一部の報道、流通、写真家を招いて見学会、その日は併せて、同社・光学・電子映像事業部・飯田年久事業部長による同事業部事業戦略の紹介と同事業部商品企画担当の上野隆氏によるAPS-Cミラーレスの新製品、X-Pro3の詳細説明も行なわれた。以下は富士フイルムイメージングシステムズ株式会社・西村亨社長によるFUJIFILM Imaging Plazaの紹介と富士フイルム・飯田事業部長による事業戦略の紹介だが、上野氏によるX-Pro3の説明は先般、東京・丸の内のFUJIFILM Imaging Plazaで行なわれたX-Pro3の説明会(当ブログで既報)とほぼ同じ内容なので、省略致します。

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 西村「『FUJIFILM Imaging Plaza大阪』は昨春、東京・丸の内にオープンして、大変高い評価を頂いております『FUJIFILM Imaging Plaza東京』をモデルにして、10月21日、ダイバーシティとして活気溢れる難波駅前にオープン致しました。

 弊社イメージング製品の魅力を体感頂けるブランド発信拠点として、お客様満足度をより一層向上させるとともに、Xシリーズ、GFXシリーズのデジタルカメラや高画質プリントなどを紹介し、富士フイルムのブランドの価値をさらに高めて参りたいと考えております。

 具体的には、4つの柱になるサービスがございます。まず一つ目は、カメラ、レンズの最新ラインナップを実際に手にとって体験して頂けるタッチ&トライコーナーです。勿論、専門のスタッフが丁寧にご説明させて頂きます。

 二つ目は有名写真家の作品を高画質な大サイズプリントでご覧頂ける写真展会場、ギャラリーXです。お客様を飽きさせない趣向を凝らした写真展を定期的に開催する予定です。

 三つ目はカメラの使い方を学ぶ初級者向けから上級者向けまでのセミナーやテーマ別撮影教室などをプログラムしたアカデミーXというセミナーを開催する予定です。購入後のカメラライフをさらに楽しく、充実したものにしていくためのセミナーやイベントも多数、実施して参る予定です。

 四つ目は何と言っても,カスタマーサービスでございます。製品の修理、レンタルサービスを行なうだけでなく、XシリーズやGFXシリーズのカメラ、レンズの点検を主にしたXメンテナンスを実施して参ります。

 また、プロ写真家様向けに、東京で展開している会員サポートサービスでありますフジフイルム・プロフェッショナル・サービス、これも大阪で展開をさせて頂きます。機材のメンテナンス、及び、修理サービスを行います。

 併設しているスタジオでは、ライティングやテザーサービスなど、プロ写真家の方々の幅広いニーズに対応して参りたいと考えています。

 以上の4点をサービスの柱として、FUJIFILM Imaging Plaza大阪はカメラのご購入を検討頂いている方々から、ご購入後のアフターサポートまで、また、初心者からプロ写真家の方々まで、幅広いニーズに応えるとともに、X、GFXシリーズから始まる素晴らしい写真の価値を多くの方に届けて参りたいと思います」

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西村享・富士フイルムイメージングシステムズ社長

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FUJIFILM Imaging Plaza大阪が開設された御堂筋グランドビル

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デジタルカメラを始めとするイメージング製品のタッチ&トライが楽しめる

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デジタルカメラだけでなくインスタントカメラのタッチ&トライも楽しめる

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デジタルカメラやレンズのレンタルコーナーもある

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広い写真ギャラリーもある

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スタジオではテザーサービスも提供

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初心者から上級者まで対応できるセミナールーム

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新規参入のプロジェクター(Z5000)のユニークさが体験できるコーナーもある。このコーナーで映される映像や写真はビルの外からも見ることができる。


   光学・電子映像事業部の事業戦略

 

 続いて、富士フイルム・光学・電子映像事業部・飯田年久事業部長による同事業部の事業戦略の紹介。

 飯田「富士フイルムは化粧品から医療機器、ヘルスケア、医薬、再生医療と多岐にわたる多角化を進めています。光学・電子映像事業は富士フイルムにある15事業のうちの一つで、レンズと撮像技術をデジタルカメラ、交換レンズのみならず、様々な分野に生かしていくことを目指している事業部です。

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飯田年久・富士フイルム・光学・電子映像事業部長

 実は私が事業部長を拝命しましたのは3年前の11月1日でございまして、丁度、今日で3年目になります。普段はカメラの新製品の発表会で新製品中心のお話をさせて頂いていますけど、今秋の新製品のX-Pro3については、このあと上野のほうから話をさせて頂きますので、私からは富士フイルムの光学・電子映像事業って、こういうことをやっている事業だというお話をさせて頂きたいと思います。カメラの話だけでなく、もう少し幅広く、光を通じてどういうことを、やっているのかということをご紹介したいと思います。

 今日は『技術・商品・顧客価値で新たな市場を創造する』というテーマでプレゼンをつくって参りました。これは光学・電子映像事業の事業ミッションとして、3年前につくったものです。光学デバイス技術、フジノン(Fujinon)は75年以上の歴史があります。富士フイルムは1934年の設立で、今年、85周年です。フィルムの国産化、特に映画用フイルムの国産化を目的につくった会社でございますけど、8年後にはレンズの溶解工場もつくっています。そういう長い間、培ってきた光学デバイス技術と画像処理技術を合わせまして、ものじゃなくて、世の中に感動、便利、安心を提供をしていくことが私どものミッションだと考えています。

 左上の写真はXシリーズです。そして、隣りの写真は4K、8K放送用のレンズですが、こちらのレンズは弊社ともう1社、キヤノンさんしか、つくれない最高峰のレンズです。それから、ハリウッドの映画製作の現場でも使われているシネレンズ、それから、あまり知られていませんが、プロジェクター用のレンズ、ファクトリー・オートメーション用のレンズ、車載用のレンズ、監視・計測用のレンズ、カメラ、こういうものも幅広く作っている事業です。

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 これは主要カメラメーカー5社のカメラ部門、あるいは映像部門の対前年の売上の増減をグラフ化したものです。富士フイルムをご覧ください。昨年度はおかげさまで、市況が悪いと言われながら、対前年は上期+3%、下期+9%の成長ができました。一方、2019年ファーストクオーター(1Q)は我々も残念ながら、マイナスに転じました。ひと言で言いますと、しんどい業界になってきたというのが実感です。各社のこれからの決算発表もかなり厳しい数字になると思います。5社合計でご覧頂きますと、2018年上期は−11%、下期は−15%、2019年ファーストクオーターは−20%。この業界は2割落ちている、しんどい業界です。

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カメラ業界の売上が2割も落ちているシンドイ業界と飯田事業部長

 そういうなかで、各社、色んなことを考えて、いま手を打っているところですけど、2つ、ここからスライドをお見せします。皆さん、この記事、ご覧になりましたでしょうか。今年1月の週刊ダイヤモンドの記事です。キヤノンの御手洗さんの記事です。

 10年後にはコンシューマ用カメラはなくなるんじゃないかとキヤノンのトップが言っています。また、一眼カメラは半減するとも公言されています。結構、ショッキングでした。これは海外でも報道されましたので、海外のカメラ店さんなんかとお会いするたびに、御手洗さんが、こう言ってるけど、ホントにカメラ大丈夫?と言われます。

 じゃあ、弊社のトップは何と言ってるかですが、これは5月23日に晴海で行なったGFX100の発表会の記事です。うちの古森(会長)はカメラが落ちているのは革新的な商品がないからで、革新的商品をつくれば、市場は伸びる可能性があると言っています。これを我々の技術とマーケティング力で実現し、カメラ業界を活性化していこうというのが、私ども事業部の姿勢です。 

 じゃあ、どういう商品を作るか、どういう技術を使うかですが、他社と横並びのことはやりません。横並びの典型がフルサイズです。各社、フルサイズミラーレスを始めましたが、うちはやりません。ほかと同じことをやっても、全く意味がありませんので、富士フイルムAPSで小型軽量、高性能を突き進めます。あるいは、GFXでまったく違う価値を提供していき

ます。これはカメラ分野だけじゃなく、他の分野も同じです。

 その具体的な例ですが、今年、発表発売、あるいは開発発表した商品群をご紹介します。一番上はミラーレスカメラです。1億画素のGFX100です。それから、新しい商品として今日はプロジェクターもご紹介します。そして、長焦点監視カメラにも今年は参入しました。三番目は新しい放送用のシネマレンズです。従来は4K、8Kで107倍、120倍と、ズーム倍率競争をやっていましたが、今年はガラッと変えました。4K放送の分野はAFレンズがあまりありませんので、今年は107倍の箱形レンズにAFを積んで参入します。それから、多少、地味ですけど、新しい双眼鏡にも参入します。この双眼鏡は極めて高精度な防振機能が付いています。±6度の防振によって遠くのイルカやクジラが跳ねるのを船上で見ることができます。ピタッと止ります。世界最高の防振機能です。このように、それぞれの分野でゲームチェンジを起こすことを我々のミッションとして、技術開発、商品開発をしています。

 今日は、このなかで3つ、ご紹介します。皆さん、ご存知の通り、100メガピクセルインパクトあるデジタルカメラを今年5月23日に発表致しました。

 日本カメラさんは、毎年『撮りくらべ』という企画をおやりになっています。今年は高画質カメラ71機種の撮りくらべを9月号でやられました。いま売られているカメラを全部、撮りくらべて、ブラインドで、どのカメラが一番、ピント、解像度、感度性能が優れているかを決める企画です。見て下さい、GFX100がトップです。2位がGFX50Rです。GFX50Sも5位に入っています。まさに、破壊的イノベーションの一例だと考えています。もし、これを我々がこれをフルサイズでやっていたら、これだけの評価は得られなかったと思います。

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日本カメラの撮りくらべというカメラの品質テストで富士フイルムのGFX100が1位になったと飯田事業部長

 GFX100は受注も非常に好調です。カメラ店の皆様にはご迷惑をおかけしていますけど、まだ生産が追いつきません。当初の見込みの1.5倍を超えるペースで受注を頂いておりますので急ピッチで増産を進めています。

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GFX100の受注は当初見込みの1.5倍と好調

 話を変えて、プロジェクターの話をさせて頂きます。ここに置いてあるZ5000というプロジェクターです。今年6月に発売を開始しました。非常にユニークなデザインですが、このプロジェクターはひと言で言うと、いままで置けなかったところに置けるプロジェクターです。富士フイルムのプロジェクター1号機です。プロジェクターの市場はサチッています。ワールドワイドで780万台の市場です。そんなサチッている市場にいまさら、なぜ、富士フイルムが入るのかですが、まだまだプロジェクターを置けるスペースがあるのに、いま世の中にあるプロジェクターだと、置けないからです。

 私はいまZ5000の前に立っていますが、スクリーンに私の影ができません。それは、このロジェクターにシフト機構が付いているからです。しかも、非常に投影距離の短いプロジェクターです。75cm離れたところから100インチで映せます。こういうプロジェクターはいままで世の中に存在しませんでした。これが何故できているかと言いますと、このレンズです。このレンズの中に大型のプラスチックの非球面を含めて約20枚のレンズが入っています。このレンズがこの投射を可能にしています。 

 土曜の朝、王様のブランチという番組をやっていますけど、先週の土曜日に放映された王様のブランチをちょっとご覧ください。

 『こちらは富士フイルムから今年発売になった最新鋭の業務用プロジェクター。至近距離から最大300インチまでの投射が可能です』

 じゃあ、実際、どういうところに置かれているですが、既に、東京タワーのレセプションに4台設置されてます。置かれているのは天井です。いままでは空調のダクトがあるので、プロジェクターを置けなかったのですが、このプロジェクターは斜めにシフトできますので、いままで置けなかったスペースに置けるようになりました。

 これは群馬のカルピスの工場です。非常にユニークでして、

壁の中にスッポリとプロジェクターを埋め込んで、頭の所だけ、出ています。

 名古屋駅のレストランも非常に近距離で天井打ちでプロジェクションを下にという例です。

 これはポルトガルの例ですけど、37台のプロジェクターが導入されました。天井が低い地下の墓地だそうです。天井から床に投影しています。

 これはコンサートに導入した例です。従来は一番うしろの観客席からプロジェクターを打っていましたので、演者が影になりましたが、うちのプロジェクターは演者のうしろに置くことができますので、縁者の影が出ません。

 通常、プロジェクターは、明るくする、専門化する、そういう競争で、各社横並びの競争が行なわれていましたが、我々は近距離から大型シフトで打つという、この1点でプロジェクター市場に参入しました。それを可能にしたのはフジノンのレンズです。このレンズをつくれるのは、うちしかありません。このレンズがないと、近距離の大型シフトはできません。

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 次もガラッと毛色の違う商品です。我々はずっと監視分野はレンズだけを提供してきました。レンズをカメラメーカー、あるいはシステムインテグレイテッドに提供してきましたが、デジカメの技術を使って、レンズとカメラ、一体型の商品にしたのが、これです。

 キャッチコピーは『1km先の車のナンバープレートがクッキリ見える』です。これは、ある建設会社さんの導入事例です。ダムの建設現場です。勿論、車のナンバープレートを見るのが目的じゃなく、ダム工事の建設現場の安全確認のためです。ダム工事の現場で作業されている方がチャンと命綱をしているかどうか、そういうことを監視するための導入例です。

 これは東京タワーです。東京タワーにグッと寄りますと、ほぼ人の顔まで見えます。これ、お台場です。お台場で赤いところを注目してください。私ども、大宮に事業所がありますけど、5階から29km先の東京スカイツリーを近赤外という画像処理を施しますと、こういうふうに写ります。人間の目で見えないものが写ります。

 一番関心がもたれているのは国境監視です。アメリカはメキシコからの不法移民を監視するために、遠くから国境を監視していますが、高いタワーの上に監視カメラを付けますと、風とか、色んな振動要因があって、上に行けば行くほど、従来のカメラですと、ぶれてしまいます。しかし、うちの監視カメラはデジカメの防振技術が入っていますので、ぶれません。そして、AFも速くなりました。従来の監視カメラはAFだけで6秒から7秒かかっていました。その間に対象物が消えてしまいます。デジカメの世界では、いま、AFが0.02秒というような領域に入っています。これもデジカメで培った技術ですが、こういう分野に生かせば、いままで撮れなかったものが撮れるようになります。これはイギリスのチェルシーのサッカースタジアムの導入例ですが、テロリストや怪しい人がいないかを、遠くから監視するための監視カメラです。怪しい人がいると、ズームで撮って、口の動きを読むこともできます。            

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 ここからはデジタルカメラの商品化戦略です。先ほどご覧頂きましたような、しんどい業界で富士フイルムはいま何をやろうとしているのかを少しご紹介します。

 私どもの商品化戦略はまずは当り前のことですが、先ほどご紹介しましたレンズ技術と画像処理技術を使って撮影し、高画質で残す楽しみを提供することです。これは当り前のことです。多分、どこのメーカーさんも、こう言われるでしょう。

 このレンズのテレビCMを見られた方もいらっしゃると思いますが、関東平野にゴルフボール1個分の凹凸もないというCMです。20cmの直径にわずか30nm(0.00003mm)の面精度です。野球中継をご覧になると思いますが、バックスクリーンにこういうレンズが置いてあります。これでバッター、キャッチャーミットがくっきり写ります。皆さんが観られる映像は107倍とか、100倍を超えるズームレンズで撮られています。いま、ご覧頂いているのは、1枚目のレンズ玉です。直径が200mm、研磨誤差が30nm、0.03μ、0.00003mmです。この面精度で私どもの工場の職人が磨いています。私どもの交換レンズで前玉の径が一番大きいのは、この約半分、99.5mm、XF200mmF2の頭のレンズですが、面精度30nmの技術があるからこそ磨けるレンズです。

 それと、私どもが自慢できるのは何と言っても、撮って出しの技術です。今回、X-Pro3で新しいフィルムシミュレーションを開発致しましたが、RAW現像に頼らないで、なぜ撮って出しに拘ったかと言いますと、RAW現像をしている暇があったら、もっと写真を撮ろうよということです。これが私どものメッセージです。

 カメラは非常に嗜好性の高い商品です。ですから、今度のX-Pro3は、持つ喜び、デザイン、質感、スタイル、そこに拘り抜いています。

 我々のカメラにはXシリーズとGFXシリーズ、2つの軸があります。XシリーズはAPSの特性を生かして、高速性と小型軽量化を極めるシリーズです。そしてGFXシリーズは高画質を極めるシリーズです。フルサイズはむしろ中判くらいの感じじゃないかということで、GFXをラージフォーマットと呼び、APSがミラーレス時代のベストバランスのシステムということで展開しています。

 スタイルはセンサーファインダーのスタイルとX-Pro3に代表されますレンジファインダーのスタイルのマトリックスで商品を展開しています。

 他のカメラメーカーさんの商品構成はピラミッド式です。ピラミッドはセンサーの大きさで決りますが、私どもは撮影スタイルとお客様の嗜好に合わせた商品展開をしています。

 今日は2つのテーマでお話します。一つはX-Pro3です。ピュアフォトグラフィーというキャッチコピーで展開していますが、写真の本質に迫るということです。そして、スマホを超える感動体験をして頂いたいということですが、大事なのは2割落ちている総需のパイを各社が奪い合うんじゃなくて、どうやって新しい市場、新しいユーザーを創造していくか、クリエイトしていくかということだと思います。

 まず、エントリーの話をさせてください。なぜ、エントリーは落ち続けているのでしょうか。まず、一眼レフのエントリーが落ち続け、続いてミラーレスのエントリーも落ち始めました。これはGFKの売筋トップ10のなかに入っているエントリー機です。キヤノンさんを除きまして、全部、発売が2014年、2016年、2017年と、基本的に型落品が多いわけです。型落品が安くなって、値段で売られているという状況です。

 直近の2018年、2019年、この2年間に出されたミラーレスのグラフです。エントリーはわずか3機種、ハイエンドは11機種です。やはり、エントリークラスのイノベーションに力を入れていないから、というのが私どもの見方です。

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エントリーモデルが売れないのは力を入れていないからと飯田事業部長

 当然、型落品はセンサーもプロセッサーも古いわけです。そうすると、スピード、AF、動画性能も見劣りします。従来のセンサーはマイクロレンズがあって、カラーフィルターがあって、フォトダイオードがあって、この間にアルミ配線がありましたが、私どもはエントリーでは初めて、この配線を銅配線に変えました。銅の良いところは、電気シグナルを伝えるスピードが速いことです。アルミに比べて1.6倍くらい速くなります。その結果、AFが速くなります。それから、抵抗がありませんので、ノイズが少なくなります。暗所性能が上がります。4K動画の性能が上がります。従来、この銅配線はX-T20とかX-T30といった中級クラスに入れていましたが、これをエントリーのX-A7 にも入れました。

 エントリークラスの富士フイルムのシェアはアジア地区で非常に高く、タイ辺りでは4割を超えています。その原動力はこのX-Aシリーズです。アジアではX-Aシリーズをスマートミラーレスというコンセプトで訴求をしています。何がスマート

なのかと言いますと、 スマートな背面液晶、スマートなタッチ操作、スマートなフォーカス、スマートな色再現です。そして、いまSNSの動画の市場がアジア地区で大きく盛り上がりつつあります。ここに対して、非常に小型、軽量で、お求めやすい価格のものを投入したのがX-A7です。日本市場でも10月末から発売になっています。

 2つ目のテーマは何故レンズがどんどん重く、大きくなるのかです。最近、各社から発表発売されたレンズはとにかく大きくて重い。何故でしょう。従来、F1.8の50mmのレンズは大体150gから170〜180gくらいの重さでした。これがF1.4になりますと、若干重くなります。これは私どもの50mm相当ですが、187gです。35mmのF1.4という非常に小型のレンズがありますけど、大体、150g前後です。F1.2になりますと、私どもには56mmがございますけど、これが405gです。

 これに対して、最近出てきたレンズはF1.4で800gです。いままでの常識の何倍も重いということです。フイルム時代のレンズは小型でした。何故かと言いますと、フイルムというのは非常に優秀な撮像メディアなので、光線が多少斜めから入ってきても、ちゃんと受光できたからです。しかし、今のセンサーは先ほどご覧頂きましたような溝があったりしますので、光線をまっすぐ取り込まないと、フォトダイオードまで届きません。そうすると、ドンドン、ドンドン、レンズの枚数を増やさないといけません。折角、ボディを小さくしても、レンズが大きくなって、ドンドン、バランスが悪くなります。これでは、ミラーレスもいずれ、お客様の心から離れていくと思います。

 私どもは真のミラーレスのメリット、小型軽量を外しちゃいけないと思っています。ですから、APSに拘ります。左側がご好評を頂いております16-80mm、5倍ズームのF4通しです。右側はフルサイズの24-70mm、3倍ズームです。ワイド端は同じですけど、私どもの16-80mmはテレ端が120mm相当まで伸びます。APSの5倍ズームとフルサイズの3倍ズームがほぼ同じ大きさ、重さです。APSだから120mmまで焦点距離

伸びるわけです。これはX-T3とのコンビですけど、これ1本で充分というシステムができあがったと考えています。

 『スマホを超える感動』これが今年秋の新製品、X-Pro3のコンセプトです。ただ、商品の良さを知って頂くには、お客様の感動体験が必要です。その体験をして頂くのが富士フイルムイメージングプラザです。加えて、先日、東京・上野では『フジフェスト(FUJIFEST)』というお祭りも開催して、感動を体験して頂きました。

 メーカーのダイレクトのイベント、そして常設のイメージングプラザ、ギャラリー、タッチ&トライ、アカデミー、それからアフター、レンタルサポート、サービス、こういうお客様の感動体験があってはじめて、我々のものがことに繋がって行くと感じています。

 もう一つ大事なのはカメラ店様との連携です。これは先日行ってきた上海の地域別旗艦店の様子です。先ほど、GFXの販売の数字を見て頂きましたけど、一番売れている市場は中国です。この旗艦店は1店で月に25~30台、GFXをお売りになっています。その最大の秘訣は店づくりです。どんな店頭をつくるかです。店に入りますと、GFXの専用コーナーがあります。ここで実機に触ることができます。ここには、センサーサイズが比較できるGFXのセンサーとフルサイズのセンサーのダミーが置いてあります。高画質プリントやサンプルプリント帳もあります。こちらでGFXをお買い上げ頂いたお客様が私どもの上海のショールームに来て使いこなして頂くという連動が益々重要になってくると考えています」

【投稿日(posted date)】2019年11月24日(November 24th, 2019)  

【投稿者(poster)】有限会社エイブイレポート社・avreport's diary(avreport.hatenablog.com)・編集長:吉岡伸敏(nobchan@din.or.jp)・副編集長:吉岡眞里子(marico@din.or.jp)/ AV REPORT Co.,Ltd.・avreport's diary・Chief Editor:Nobutoshi Yoshioka・Assistant Editor-in-Chief:Mariko Yoshioka