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ニコンZ7で解像度チャートを撮ってみた
前号(2018年8月25日投稿)ではニコンZシリーズの発表会(同8月23日)のあと開かれたタッチ&トライの会場で触らせてもらったZ7(試作機)で撮った写真が、私がいつも取材に使っているニコンD5500で撮った写真よりも遥かに綺麗だったことを報告した。
多分、あまり参考にならなかったと思うが、説得力に欠けた理由は言うまでもなく、タッチ&トライの会場で撮った被写体が低画素カメラでもよく写る草花だったからだ。しかも、画質を比較したZ7とD5500のスペックがあまりにも違いすぎたからだ。念のため、Z7は35mmフルサイズ・4575万画素、D5500はAPS-Cサイズ・2416万画素だ。だから、Z7の方が綺麗に写るのは当り前なので、今号では、低画素カメラでは、絶対、綺麗に写らない2種類の解像度チャートを被写体にして、殆ど同じスペックのZ7とニコンD850で撮り比べてみた。この両機はセンサーサイズも画素数もまったく同じだ。
両機の解像度チェックに使ったチャートは、当ブログではもうお馴染みの米国・アプライド・イメージ社のモノクロ解像度チャート「QA-77」と電塾のカラー解像度チャートだ。
Z7の出来栄えについては、すでに、色んなユーチューバーたちが、我先にと、したり顔で、あるいは得意げな顔で、あれこれと解説を加えているが、なぜか残念なことに、このフルサイズミラーレス一眼は解像度が高いとか、色再現性が良いとか、形状認識性能が良いとか、そういった画質に対する解説がまったく見当たらない。多分、日本のユーチューバーたちはメカにしか興味がないか、カメラの画質に対する興味がまったくない人たちなのだろう。でなかったら、高画質を追求すべき時代がとっくの昔に終わっていたか、あるいは「撮って出し」で勝負するプロ写真家たちがもうすでに絶滅してしまったと考えるしかないだろう。
今回、解像度チャートの撮影に使用したレンズはZ7用がNIKKOR Z 24-70 mm f/4 S、D850用がAF-S NIKKOR 24-70 mm f2.8G ED。撮影条件は両機とも同じで、撮影感度はISO100、画質モードはJPEG・FINE、撮影モードは絞り優先オート、手ぶれ補正機能はオフ。2秒のセルフタイマーも使った。
参考データとして、フォトキナ2018の前日にLマウントアライアンスが発表されたことによって、突如、注目されることになったライカLマウントを搭載したライカ初のフルサイズミラーレス一眼、ライカSL(2420万画素・2015年11月28日発売)で撮った解像度チャートの写真も紹介した。Z7の普及機、Z6の画素数が2450万で、ライカSLの画素数(2420万画素)とよく似ているからだ。
そして、ついでだが、Z7のタッチ&トライの会場で一緒に撮り比べたAPS- CサイズのD5500(2416万画素・2015年2月5日発売)で撮った解像度チャートの写真も紹介したので、フルサイズのライカSLとAPS-CサイズのD5500と、どちらの解像度が高いか、写真を拡大して、しっかり比較して頂きたい。D5500の解像度のほうが高いことがお分かりになるだろう。
そこで心配になるのが、Lマウントアライアンス加盟3社の足並みの乱れだ。もし、3社のLマウントカメラに画質のバラツキが出るようだと、アライアンスの信頼低下、しいては崩壊に繋がる恐れもあるだろう。ちなみに、これまでに弊社でチェックしたライカのカメラのなかで、解像度が高いと感心したのは、ただの1機種だけ、ライカMモノクロームだけだったので、とても心配だ。
また、Z7やD850とほぼ同じ画素数のフルサイズミラーレス一眼、ソニーのα7RⅢ(4240万画素・2017年11月25日発売)、画素数は少ないが解像度の高さに定評のあるFoveonセンサー搭載のAPS-Hサイズ・ミラーレス一眼、シグマsd Quattro H(3860万画素・2016年12月20日発売)、そしてFoveonセンサーとも違い、最も一般的なベイヤー配列センサーとも違う構造を持つX-Trans CMOSセンサーを搭載したAPS-Cサイズ・ミラーレス一眼、富士フイルムX-T3(2610万画素・2018年9月20日発売)で撮った解像度チャートの写真も紹介した。
これだけ多くの画像比較データをご覧になれば、Z7の実力が大体お分かりになると思う。また、EOS RやパナソニックSシリーズのような発売前のフルサイズ・ミラーレス一眼の画質レベルも、多分、この程度だろうと、想像がつくはずだ。しかし、Z7程度の画質レベルでユーザーは満足するのだろうか。以下に紹介した写真の通り、カラー解像度に関する限り、相変わらず、APSサイズのミラーレス一眼のほうがZ7や既発売のソニーα7RⅢよりも遥かに優れているが、ニコンやソニーは恥ずかしいと思わないのだろうか。
果たして、フルサイズミラーレス一眼は進化なのだろうか、退化なのだろうか。評価は人によって分かれるだろうが、退化だということが誰にでもわかるのは電池寿命が極端に短くなってしまったことだ。しかし、もっと理解に苦しむのは、フルサイズミラーレスメーカー各社がまるで判で押したようにこう言っていることだ。
「レンズマウントの口径を大きくし、フランジバックを短くすることによって、レンズ設計の自由度が増した」
本当に自由度が増したのなら、もっと安いレンズが次々と出てくるはずだが、現実はまったく逆だ。あるメーカーの商品企画担当者は「マウント径をあんなに大きくしたら、レンズの値段は材料費だけで40万円になりますよ」と教えてくれた。話半分としても、真実に近い話だろう。つまり、マウント径を大きくしたために、レンズ設計の自由度が逆に失われてしまったったことになるわけだ。
そして、フルサイズミラーレス一眼の致命的弱点はデジタル一眼レフとまったく同じ要素技術を恥ずかしげもなく、なんの躊躇いもなく、使い続けていることだ。要するに、フルサイズミラーレス一眼もデジタル一眼レフも、着ている洋服がちょっと違うだけで、中身は同じだということだ。
だとしたら、言うまでもなく、フルサイズミラーレス一眼は、どう頑張っても、カメラ業界の衰退トレンドに歯止めをかけることはできないだろう。もし、本当に救世主の登場を願うのなら、要素技術を根本的に見直すべきだろう。例えば、ものすごく薄くて超高感度の有機センサーとか、ボタン電池1個で3000枚くらい楽に撮れるメカとか、要素技術のブレークスルーを急ぐべきだろう。
以下は画像データ。最初の写真2枚は解像度チャートの写真。モノクロ解像度チャート(上)とカラー解像度チャート(下)だが、モノクロ解像度チャートが綺麗に写っても、カラー解像度チャートが綺麗に写らないデジタルカメラが殆どだ。
米國・アプライド・イメージ社のモノクロ解像度チャート「QA-77」
電塾のカラー解像度チャート。殆どのカメラは縦横、斜めのストライプと同心円が綺麗に写らない。
Z7のモノクロ解像度
Z7 絞りF4(開放値)
Z7 絞りF5.6
Z7 絞りF8
D850のモノクロ解像度
D850 絞りF4(開放から4番目のF値)
D850 絞りF5.6
D850 絞りF8
Z7のカラー解像度
Z7 絞りF4(開放値)
Z7 絞りF5.6
Z7 絞りF8
D850のカラー解像度
D850 絞りF4(開放から4番目のF値)
D850 絞りF5.6
D850 絞りF8
ライカSLのモノクロ解像度とカラー解像度
ライカSL モノクロ解像度 絞りF8 レンズ:VARIO-ELMARIT-SL 1:2.8-4/24-90 ASPH
ライカSL カラー解像度 絞りF8 レンズ:VARIO-ELMARIT-SL 1:2.8-4/24-90 ASPH
ニコンD5500のモノクロ解像度とカラー解像度
ニコンD5500 モノクロ解像度 絞りF8 レンズ:AF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3。5-5.6G VRⅡ
ニコンD5500 カラー解像度 絞りF8 レンズ:AF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3。5-5.6G VRⅡ
シグマ sd Quattro Hのモノクロ解像度とカラー解像度
シグマsd Quattro H モノクロ解像度 絞りF8 レンズ:35mm F1.4 DG HSM
シグマsd Quattro H カラー解像度 絞りF8 レンズ:35mm F1.4 DG HSM
ソニーα7RⅢのモノクロ解像度とカラー解像度
ソニーα7RⅢ モノクロ解像度 絞りF8 レンズ:Distagon T*FE35mm F1.4 ZA
ソニーα7RⅢ カラー解像度 絞りF8 レンズ:Distagon T*FE35mm F1.4 ZA
富士フイルムX-T3のモノクロ解像度とカラー解像度
富士フイルムX-T3 モノクロ解像度 絞りF8 レンズ:XF23mm F1.4 R
富士フイルムX-T3 カラー解像度 絞りF8 レンズ:XF23mm F1.4 R
【投稿日(posted date)】2018年10月12日(October 12,2018)
【投稿者(poster)】エイブイレポート社・avreport's diary・編集長:吉岡伸敏(nobchan@din.or.jp)・副編集長:吉岡眞里子(marico@din.or.jp)/ AV REPORT Co.,Ltd.・avreport's diary・Chief Editor:Nobutoshi Yoshioka(nobchan@din.or.jp)・Assistant Editor-in-Chief:Mariko Yoshioka(marico@din.or.jp)
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EOS R5とR6の解像度を検証
キヤノンが8K/30P動画撮影とか、20コマ/秒の高速連写とか、世界最高の8段手ブレ補正とか、より進化した高速・高精度AFとか、諸機能を一段と強化した、オーバースペックと言えなくもないフルサイズミラーレス一眼の新製品として、EOS R5(4500万画素/2020年7月30日発売)と、他にもう1機種、スペックを少し落としたEOS R6(2010万画素/2020年8月下旬発売)の2機種を発表しましたが、私が一番気になっていたのは、機能がどの程度強化されたかではなく、優劣がプロにも素人にも、チャート写真をご覧になれば一目瞭然の解像度です。
多分、私だけでなく、他の多くの人たちも、従来のキヤノンのカメラは一眼レフもミラーレスも解像度がイマイチだと思っていらっしゃったのではないでしょうか。
キヤノンの従来のカメラは画素数がそこそこ高いのに、解像度が案外低いということがよくありました。これは、他のメーカーのカメラでも時々見かけられた事象ですが、その原因は、あるメーカーによりますと、全ての画素を画像形成のために使うわけではなく、機能強化のためにも使うからであり、機能強化のために使う画素の割合が多くなればなるほど、解像度が低下するのだと、おっしゃっていました。
つまり、全てのカメラメーカーの画像形成技術のレベルが同じでも、解像度アップを優先するか、機能強化を優先するかによって、画素数がどんなに高くても、解像度が低くなることが、当然のこととして起こりうるわけですが、さて、新発売のEOS R5とEOS R6は解像度アップか機能強化か、どっちが優先なんでしょう。私は、EOS R5もR6も解像度アップより機能強化を優先したカメラとしてつくられたように思います。なぜなら、EOS R5(4500万画素)とニコンZ7(4575万画素)は、画素数が殆ど変わらないにも関わらず、解像度は明らかに、EOS R5の方がニコンZ7より見劣りするからです。
勿論、解像度が高ければ、良い写真が撮れるわけではないと、おっしゃる写真家もいらっしゃいますが、無知による暴論でしょうね。アンリ・カルティエ=ブレッソンとかロベール・ドアノーを引き合いに出して、解像度と写真のクオリティは関係ないと言いたいようですが、もし、ブレッソンやドアノーのょうな昔の有名な写真家たちがまだご存命だとしたら、どんなカメラをお使いになるか、お聞きしてみたいものです。
本稿でご紹介した6枚のモノクロチャート写真のなかで、もう1枚、納得できない写真があります。ソニーα7R Ⅳのモノクロチャート写真です。α7RⅣは言うまでもなく、ニコンZ7よりも綺麗ですが、画素数が6100万画素もあるのに、この程度かと思った方もいらっしゃると思います。私もその一人ですが、多分、ソニーもキヤノンと同じように、解像度アップより機能強化を優先するカメラメーカーなんだと思います。
因みに、私がブレッソンかドアノーだったら、ここにご紹介した6機種のなかから、どのカメラを愛用機として選ぶでしょうね。多分、Z7かα7R Ⅳだと思います。EOS R5はイマイチ、残り3機種は論外の烙印を押されてしまうと思います。
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さて、カラー解像度の検証結果はどうだったでしょう。ずばり、ガッカリでした。実はEOS RとEOS RPはチャートのストライプも同心円もそこそこ綺麗に写りますから、オッ!キヤノンもなかなか、やるじゃない、と感心したのですが、EOS R5とEOS R6で逆戻りしてしまいました。結局、6機種とも、カラー解像度は落第点です。
【投稿日(posted date)】2020年8月3日(August 3rd, 2020)
【投稿者(poster)】有限会社エイブイレポート社・avreport's diary(avreport.hatenablog.com)・編集長:吉岡伸敏(nobchan@din.or.jp)・副編集長:吉岡眞里子(marico@din.or.jp)/ AV REPORT Co.,Ltd.・avreport's diary・Chief Editor:Nobutoshi Yoshioka・Assistant Editor-in-Chief:Mariko Yoshioka
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6400万画素のスマホ
Huawei P40 lite 5Gの解像度を検証
Huawei(中国)が6400万画素の高画素カメラを搭載したスマホ、P40 lite 5G(以下P40)を6月19日に発売しました。この6400万という画素数はカメラメーカーの高級ミラーレス一眼や高級一眼レフをも凌ぐわけですが、値段は驚愕の39,800円(アマゾン価格)。カメラメーカーの中高級カメラに比べると、タダみたいな値段なので、私もすぐに予約、発売2日後の6月21日の午後には、もう解像度チャートの撮影が可能になっていました。
勿論、P40 lite 5Gを凌ぐ、もっと高画素のミラーレス一眼やスマホもあります。ご存知のように、富士フイルムは昨年6月に1億200万画素の中判カメラ、GFX100を発売しました。また、昨年12月には、シャオミ(中国)が1億800万画素のスマホ、Mi Note 10を発売しました。ですから、P40が発売になったからといって、大騒ぎする必要はないのかもしれませんが、GFX100は値段がボディだけで121万円(価格ドットコム)です。これに対して、P40は39,800円。しかも、白黒解像度に関するかぎり、GFX100とP40との差は殆どありませんから、これはビッグニュースです。
ただ、1億800万画素のシャオミ Mi Note 10は、どの程度の解像度なのか、よく分かりません。値段は52,800円と、比較的リーズナブルなので、すぐに購入して、チェックすべきなのかもしれませんが、私は全く食指が動きません。
実は昨年6月に26,777円で購入したシャオミのRedmi Note 7が当時としては最高画素の4800万画素を謳いながら、解像度が余りにもお粗末だったからです。以来、シャオミブランドは私の選択肢のなかから消えてしまったわけです。
Redmi Note 7の解像度がいかにお粗末かは2019年6月23日に投稿した当ブログをご覧になれば、お分かりになります。
というわけで、本稿ではP40とシャオミMi Note 10との比較はできませんが、1億200万画素のGFX100との比較はして頂けます。
なお、P40と人気のあるミラーレス一眼4機種との比較ができる簡単な検証結果はすでに、私のフェースブックで紹介済みですが、残念なことに、ご覧になる方が殆どいらっしゃらないので、削除してしまいました。もしかしたら、カメラやスマホに興味のある方が、もう、いらっしやらないのかもしれませんが、としたら、カメラ業界の衰退はさらに進み、撤退、売却するメーカーが続出ということになるかもしれませんね。
本稿ではP40と比較できる機種を大幅に増やしました。すでに削除してしまったフェースブックで紹介したのは、高画素のフルサイズミラーレス一眼2機種、ニコンZ7(4575万画素•299,358円)とソニーα7R4 (6100万画素・368,407円)、そして画素数はそう高くないけれども、話題性のある人気のミラーレス2機種、フルサイズのシグマfp(2460万画素・183,995円)とAPS-CのニコンZ50(2088万画素・95,800円)、計4機種ですが、本稿では、あと4機種追加、8機種と比較して頂けるようにしました。
追加したのは、まず、P40と同じ市場で競い合っているスマホ3機種です。この3機種は昨年6月23日に投稿した当ブログで紹介したシャオミRedmi Note 7(4800万画素)とHuawei P30 (4000万画素)、そして、もう1機種、高画素機ではありませんが、私が日常的に使っているアップルのiPhone XR(1200万画素)です。本稿で比較して頂ける残りの1機種は1億200万画素のGFX100です。
使用した解像度チャートは米国・Applied Image Inc製の白黒解像度チャート、QAー77と電塾のカラー解像度チャートの2種類です。
白黒解像度チャートの撮影は簡単ですが、カラー解像度チャートの撮影は白黒チャートの何倍もの時間がかかって、とても面倒です。
カラー解像度チャートの撮影は、指定されたゾーンを縦横各500ピクセルで撮るように、細かく指示されていますので、撮影距離を少しずつ変えながらピクセル数を調節しないといけないからです。
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さて、以下は白黒解像度を比較するために撮ったチャートの写真です。まず、最初に紹介するのは、本稿の主役P40ですが、最も画素数の高い撮影モード、6400万画素のハイレゾモードで撮った写真です。縦のストライプがこのチャートの限界解像度を表す 40(4000本/200mmつまり20本/mm)の位置に達しても、白黒の区別がはっきり分ります。その解像度はニコンZ7やソニーα7R4とほぼ互角、そして1億200万画素の富士フイルムGFX100にも、もう少しで手が届くレベルです。ただ、残念なのは、白黒のコントラストが弱く、少しザラザラした感じがするところです。
GFX100の次は4800万画素のシャオミ Redmi Note 7ですが、解像度が余りにも低いので、何だか詐欺に遭ったような気がしたくらいです。限界解像度の40はおろか、34くらいの位置にくると、もう白黒の区別がつかなくなります。
シャオミ Redmi Note 7の次は、昨年5月に発売された4000万画素のHuaweiのP30です。画素数は余り高くありませんが、縦のストライプが限界解像度の40本の位置に達しても、P40ほどではありませんが、白と黒の区別が割合ハッキリと分かりますから、きっと優秀なエンジニアを抱えているのでしょうね。
次は私が日常的に使っている1200万画素のiPhone XRで撮った写真です。縦のストライプがP40やZ7、α7R4、GFX100ほど、きめ細かくありません。線の幅が太くなり、線の数が高解像度モデルの半分くらいに減っています。また、白線と黒線のコントラストもハッキリしませんが、限界解像度の40本の位置まで、白線と黒線の区別が分ります。ですから、iPhone XRはそこそこの解像度があると言っていいと思います。
次の写真もP40で撮った写真です。最初にお見せしたP40の写真に比べると、ガッカリするくらい低レベルの解像度ですが、この写真は6400万画素のハイレゾモードでなく、1600万画素の写真モードで撮ったものです。因みに、P40の撮影モードは全部で5種類あります。ハイレゾモードの他に、写真モード、HDRモード、プロモード、文書モードがありますが、ハイレゾモード以外は全て1600万画素の低解像度の写真しか撮れません。
しかし、もっとガッカリするのは、残りの2枚の写真です。話題性も人気もあるシグマfp、ニコンZ50という本格的なミラーレス一眼で撮った写真ですが、両方とも、お粗末としか言いようのない解像度しかありません。ストライプの白線と黒線の区別がかろうじて判別できるのは34〜36本の解像度を表す位置辺りまでですら、P40の写真モードと余り変わらないわけです。
ただ、YouTuberたちは、なぜか、いまもひたすら、fpもZ50も素晴らしいカメラだと、褒めちぎっていますから、解像度以外は優れたカメラなのかもしれません。
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残念ながら、カラー解像度の高いスマホは1200万画素という低画素のiPhone XRだけです。また、カラー解像度の高いカメラメーカーのカメラは1機種もありません。
GFX100は同心円とストライプの一部が微かに写っていますが、とても、カラー解像度が高いとは言えません。
もうお気づきだと思いますが、同心円もストライプもしっかり写っている写真が1枚だけあります。P40のハイレゾモードで撮った写真ですが、この写真はカラーチャート写真の最初にお見せしたP40のハイレゾモードとは別物です。撮影方法が違います。最初にお見せしたボケボケのハイレゾモードの写真は500 PIXELで撮りなさいという指示に従って撮ったものですが、写真モードで撮影するときの2倍くらいの距離から撮っています。しかし、写真モードで撮ったあとに、撮影位置を変えず、撮影モードだけを、写真モードからハイレゾモードに切り替えて撮ると、本来のハイレゾモードならボケボケにしか写らない同心円やストライプが綺麗に写ります。要するに、被写体との距離を縮めて撮れば、カラー解像度の高い写真が撮れるということになるわけですが、ハイレゾモードを写真モードと同じ位置で使えば、縦横各500 PIXELで撮りなさいと言う指示を守ることはできません。P40 のハイレゾモードを写真モードのつもりで撮ると、指定された箇所が500 PIXELでなく、1000 PIXELの写真になってしまいます。
最後に今回の検証の結論ですが、白黒解像度、カラー解像度ともに、カメラメーカーのミラーレス一眼にまだ一日の長があるように思いますが、如何せん、一般的な消費者にとっては、値段が高すぎますから、個人的にはスマホメーカーの成長をもう暫く見守りたいと思います。
【投稿日(posted date)】2020年7月2日(July 2nd, 2020)
【投稿者(poster)】有限会社エイブイレポート社・avreport's diary(avreport.hatenablog.com)・編集長:吉岡伸敏(nobchan@din.or.jp)・副編集長:吉岡眞里子(marico@din.or.jp)/ AV REPORT Co.,Ltd.・avreport's diary・Chief Editor:Nobutoshi Yoshioka・Assistant Editor-in-Chief:Mariko Yoshioka
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フォトキナ2020開催概要説明会
ケルンメッセが2月26日、午後6時半から、東京・永田町のザ・キャピトルホテル東急で第36回フォトキナ(2020年5月27日〜30日・於ケルン)の開催概要説明会を開いた。
もしかすると、CP+2020同樣、新型肺炎を理由に、フォトキナ2020も中止にするのでは?と見る人も多かったようだが、ケルンメッセはなぜか強気。
「現時点ではドイツの健康保険当局が禁止しない限り」そして、また「中国企業の出展も前提に(つまり、中国企業の出展を拒否することなく)」予定通り開催するという意外な発表を、この開催概要説明会で行った。
非常に注目された記者会見だったので、当然、WEBメディアが競ってレポートすると思っていたが、なぜか、私はまだどんなレポートも見たことがないので、ちょっと面倒だけど、クリストフ・ヴェルナー氏(ケルンメッセ・フォトキナ事業本部長)とカイ・ヒレブラント氏(ドイツ写真工業会会長)の挨拶、そして、両氏と記者団の質疑応答を紹介することにした。まず、ヴェルナー氏の挨拶から。
「現在、2020年のフォトキナの準備段階ですが、いま、このタイミングに東京で行う記者会見に、ようこそお越し下さいました。ここ数ヶ月間、フォトキナに関しては多くの新しい情報がありましたが、全てがポジティブな情報ではありませんでした。ですから、今日はドイツ写真工業会のカイ・ヒレブラント会長とクリスチャン・ミュラーリーカー専務理事のサポートを得て、皆様に次のようなメッセージを届けます。
私たちは引き続き、フォトキナを信じています。イメージングの、そして特に写真の世界的見本市であるフォトキナを信じています。
皆さんはこのことを、次の見本市において、生で体験できるでしょう。私たちはフォトキナ2020にも2018年と変わらぬレベルで投資し、フォトキナ成功のために、より大きなチームを投入します。私たちは、1950年のフォトキナ創設以来、この見本市が意味してきたものを、変わらず継承しいきます。それはイメージやイメージング技術に対する情熱であり、世界から来た同じ情熱を持った人々と対話し、刺激を受けること、様々なターゲットに向けた、イメージングに関する新しい知識や新製品情報に触れて、実際に試すこと、業界のリーダーやスターからインスピレーションをもらうこと、そして、写真芸術です。
数10年前から、この見本市が伝えてきたエモーションがフォトキナを特別なものにしています。来場者や出展者が感じるこのエモーションを私たちは準備期間中から感じ取り、特に見本市期間中に強く感じます。
フォトキナはずっと以前から、イメージング産業とイメージングファンが集まる世界で最も重要な見本市でした。私たちは今年もこのエモーションを受け止める場でありたいと思っています。
何点か新しい企画があります。5月26日のイメージング・イノベーション会議や5月27日のオープニング・キーノートでは、イメージング全体に関わる大きな変化に焦点を当てます。
デジタル化は私たち全員に関係し、世界的に重要性をもち、人間のコミュニケーション文化やニーズを大きく変えます。写真は私たちのコミュニケーションの重要な一部です。変化によって新しいものが生まれ、創造性やイメージが生まれる余地が生じます。このため、キーノートのメッセージはグローバルなものになります。
IMAGING LABはさらに発展させ、ホール4.2で開催します。ここにはプレゼンや新コンセプトやテクノロジー、ビジネスアイデアの意見交換をするための理想的な環境が整っています。世界のスタートアップ企業、イノベーションリーダー、大学、開発者やシンクタンクが一堂に会し、イメージング産業の挑戦課題について議論し、写真&動画、モバイルやデジタルイメージング、VR/AR/ミックスト・リアリティ、アプリ、3 D映像、AI、ソフトウエア、クラウドサービスの先進技術を見せ、イメージングのビジネスモデルを発表します。
プロユーザーはメーカーの新製品情報を楽しみにできるだけでなく、プロフェッショナル・ステージやモーション・ステージで行うイベントで仕事に役立つ知識を得たり、価値のある新しいコンタクトを作ったり、インスピレーションをもらうことができます。
また、ドイツ・カメラプライズとの新しい戦略的パートナーシップはフォトキナのビデオと映画の領域をさらに強化します。授賞式は5月29日タンツブルネンという場所で行います。受賞者は土曜日に会場で自分のプロジェクトに関して講演することになっていて、セミプロユーザーやプロユーザーに重要な刺激を与えてくれると思います。
また、若いステップアップユーザーにも新しいプログラムを用意しています。というのも、特に若い人の間でイメージングへの関心が高まり、プロ並みの写真を撮って、シェアしたいと思う人が増えているのです。このターゲットグループが今ほど沢山の写真を撮ったことは、これまで、ありません。数年前から、このグループにマーケテングの焦点を当てたことにより、来場者の構成を大きく替えることができました。今では、30歳未満の人の比率が30%になっています。
2020年は特に25歳未満のターゲットグループに向けて、初めて見本市会場全体にフォトスポットを設け、思い切りカメラを使って、やりたいことを試してもらいます。これは現在、世界中で数千人もの若い人の人気を集めているThe Foto-Experienceのコンセプトにヒントを得ています。
さらに、私たちはフォトキナのオンラインチャネルと見本市の連携をさらに強化します。多くの若いクリエーターはフォトキナで自分の作品について語ることに強い関心を持ち、フォトキナは”行く価値のある場所”だと考えています。私たちのコミュニティーズ・ステージは予約がほぼ埋まりました。”モバイル・フォトグラフィー”というテーマはステージイベントの約5分の1を占める予定です。
新企画として、これに加えて、Gearflixによるレンタル・ポイントと組み合わせ、クリエーター・ラウンジを開催します。コンセプトは簡単です。様々な国や文化圏のクリエーターが見本市会場でライブ、あるいは見本市のチャンネルを通じて、自分の機材や出展企業の新製品をどのように使うかを説明します。ここでも言えることは、映像言語は世界で通じるということです。どんな場所でも理解されない、言語の壁はありません。クリエーターは世界で活動しています。そして、来場者はレンタル・ポイントで直節、新製品を借りて、新しく得た知識を実際に試すことができます。これによって、私たちは来場者が相互交流できる新しい場を作り、同時にフォトキナとその出展企業はデジタルチャンネルで、より広範囲に情報発信できるようにします。
今日はまた、2020年のフォトキナが少しコンパクトにならざるを得ないことも、隠さず申し上げます。これは世界のカメラ市場を見れば、意外なことではありません。CIPAの情報では、2019年前半の世界のデジタルカメラの売上減少率は2018年比で平均25%、2017年の同期比では45%だったということです。このような市場の変化は業界の主要メッセにも明らかな影響を与えます。
皆様、ご存知のように、いくつかのキーアカウント企業が出展を取りやめています。空いた展示スペースは他の出展企業によって、簡単に埋めることはできません。使用する会場は、展示ホール3.1、3.2、4.1、4.2、5.2を予定しています。この中で、東ゲートのすぐ近くのホール4.2が新しく加わりました。過去にフォトキナで使用していたホール1と2は改装工事のため、フォトキナ2020では使用できません。
今の時点では、5月末に最終的に何社が出展するのかをお伝えすることはできません。見本市の3か月前という現在、特に外国から、まだ多くの申し込みがあることは、ごく普通のことです。経験からいって、スタートアップ企業の申し込みは遅いです。正式な出展企業の数はフォトキナの4週間前から6週間前に発表します。
いま、私たち全員にとって、気がかりなのはもちろん、新型コロナウイルスの感染拡大です。最近、CP+も中止となりました。ケルンメッセはこのテーマを真摯に受け止め、警戒レベルを1段階引き上げました。対策として、保険当局とは、常に緊密な連絡をしています。しかし、WHO、ドイツ連邦保健省、および地域の保険機関の推薦に照らして判断すれば、現時点では、ケルンメッセのような大規模イベントを中止する理由はありません。
すなわち、ケルンメッセの全ての催しとフォトキナの準備は予定通り進めており、皆様のご参加を楽しみにしております。現地の会場では効果のある予防措置を実施する予定です。感染予防に役立つとされる消毒薬をより多く提供し、人が多い場所は清掃の頻度を増やします。感染の疑いのあるケースが出た場合に備えて、救護ステーションには専門の医師や救護アシスタントが待機し、現場での疑問に対応します。
先ほど申し上げた市場の状態に鑑みれば、フォトキナ2020以後の状況に関して”今まで通り”と申し上げるのは軽率でしょう。この意味でフォトキナ2020は全てのステークホルダーとオープンに対話し、この見本市を新しく定義するための出発点となるでしょう。フォトキナはイメージングの主要見本市として、大きく変化するニーズに対応する必要があり、新しいテーマや成長分野、新しいフォーマットに対して、国際的なプラットフォームを提供しなければなりません。
世界中で沢山の様々な見本市を主催する私たちは知っています。見本市は市場を映す鏡であり、市場は変化するものです。何年にもわたって成功を続けてきた他の多くの見本市も市場の変化という挑戦課題に晒されます。課題があるのはフォトキナだけではありません。多くの見本市のコンセプトは更新が必要です。新コンセエプトを決定づけるのは、イベント化、デジタル化、そして社会全体の転換プロセスです。最終的に見本市は常に適応を求められ、時には新しいバージョンが必要となるプロダクトであり、それによって市場とお客様のニーズに対応していくのです。
ケルンメッセのクオリティとは、単に見本市の運営サービスを提供するだけでなく、時代に先駆けて考え、道を開き、伴走者として変化を見極める存在であることです。
私たちは、業界と手を携えて前進し、フォトキナによって新しい刺激を与え、コンタクトを作り出し、新しいマーケットへのアクセスを提供して、出展企業が新しいポテンシャルを獲得し、成長できるようにしたいと思います。
その際の私たちの挑戦課題は、多様なステークホルダーがもつ、見本市に対する多種多様な関心をまとめ上げることなのです。ですから、私たちは、今から、世界中の出展企業、専門バイヤーや個人ビジターと対話しているのです。
メディアを代表する皆様もまた、このプロセスに重要な力を与えることができます。ですから、私たちは、今日、皆様のところに伺うことができ、嬉しく思います。皆様と有益な話ができるのが楽しみです。そして、勿論、皆様とケルンでお会いすることを楽しみにしております」
続いて、カイ・ヒレブラント氏の挨拶。
「本日は写真工業会の代表、そして、伝統ある見本市の代表としてだけではなく、イメージングという素晴らしい産業を代表する立場からもお話しさせて頂きます。
日本語の”写真”という言葉は、再現・反映を意味る”写”と、現実を意味する”真”という2つの漢字でできています。文字通り、ありのままを写し取ると考えると、イメージングが私たちの日常生活に分かち難く結びついていることが分かります。
自動車、医療、セキュリティ、広告、建築など、様々な業界がありますが、イメージングが今日も、そして、これからも、イノベーションと現代生活に推進力を与える要素であることに変わりありません。
しかし、過去からの影響なくして、現代はあり得ません。世界中で日本ほど、伝統と現代がうまく繋がりあっている国はありません。日本では、脈々と受け継がれてきた儀式がもつ正のエネルギーが飛躍的に高まる21世紀の要請と可能性に、たぐい稀なる形で結びついています。
スマートフォンの台頭以来、私たちは大きな挑戦に直面しています。私たちの課題はイメージングという素晴らしい伝統芸術を現代の要求、現代のライフスタイルと結びつけていくことです。映し出された現実に目を向けると、カメラ市場における販売台数の減少という事実を受け入れざるを得ません。
(カメラとスマートフォンの販売台数を比較したグラフをスクリーンに映して)このグラフを見て、私たちの業界が右肩下がりであると解釈することはできます。一方で、世界中でこれだけ多くの人々が写真を撮るために、毎日、カメラを使っていることから、ここにチャンスを見いだすこともできます。
こちらは、ドイツで行ったある調査のデータですが、欧米諸国の傾向を表していると考えられます。カメラと動画撮影の機能がスマートフォンの本来の機能である通話と同じくらい、重要であることが分かります。
2017年に撮影されたデジタル写真の枚数は1兆2000億枚でした。専門家は2020年は1兆4000億枚になるだろうと予測しています。この傾向に乗じて、現在、ブームに湧いているのは、世界のイメージング、あるいはフィニシング業界です。フォトブック、壁掛けパネル、カレンダー、グリーティングカードなどが、贈答用として高い人気を博すようになっています。特に若い人たちは、食事、セルフポートレート、友達、ファッションや建物などを撮影して、日常の些細な思い出を記録しています。知らず知らずのうちに、スマートフォンユーザーには、自覚しているかどうかは別として、写真撮影に対する興味が芽生えているのです。
私たちの課題は、この小さな種から、健やかで、力強い植物を育てることです。人々の興味、関心を、手早く、手軽に撮れる写真から、表現力豊かな高品質イメージングへの情熱へと変えていくことです。
製品に対する興味、関心を喚起することは、広告や私たちの情報発信によって可能です。しかし、主要見本市であるケルンのフォトキナでは、実際にカメラで撮影するという体験などを通じて、イメージングの品質、そこに流れるゆったりとした時間、そして、被写体と様々な場面への敬意を実際に感じて頂くことができます。
とりわけ、頻繁に写真を撮るスマートフォンユーザーにとっては、本物のカメラを手にとって撮影することは、特別な体験になります。
日本には三本の矢という格言があります。私たちはフォトキナにおいて、カメラ産業だけではなく、イメージング産業全体を取り上げたいと、強く思っています。なぜなら、これまで述べてきた課題を克服するためには、強力なネットワークという視点と、分野横断的なアプローチが必要だからです。
長期的には、私たちの製品とサービスの将来に関わってくることなのです。求められているのは、新しい思考と行動です。今から、既に明日のこと、さらに、その先のことを考えておく必要があります。未来に目を向けると、ボタンとタッチスクリーンに代わって、音声入力、ジェスチャー、目の動きが活躍するようになるのは確実でしょう。人型ロボットが高齢者や病人の介護の場で、人間をサポートするようになるでしょう。
未来のビジョンは他にも沢山ありますが、そこには共通点があります。カメラとセンサー無くして、実現は難しいということです。私たちのイノベーションを他の産業の創造力と組み合わせることで、未来への道が開けていくのです。
5月末のケルンにて、皆様を業界の主要見本市であるフォトキナでお迎えできますことを楽しみにしております」
質疑応答
★大手メーカーのなかで出展を明言しているメーカーとか、絶対出るぞと言っているメーカーはありますか。逆に、出展を見合わせると、明言しているメーカーはありますか。
「ディテールに関しては、フォトキナの4週間ほど前にリリースしたいと思いますけど、現時点では、富士フイルム、ニコン、オリンパス、ライカが出展しないということであります。ただ、ライカはまた違う枠組で出るというふうに言っています。私どもは、ライカがどうするのかということを、いま、見守っているところです」
「いま申し上げたキーカウント以外は出展します。勿論、大きなアカウントが出ないというのは、非常に悲しいことでありますけれども、しかし、流通、写真工業会は私どもを最大限に支援をしておりますし、また、出展してくれる出展者、企業に対して、私どもも投資をしていきたいというふうに思っております。そして、また、この企業がその出展を成功裏に行なって頂けるように、私どもとしては、していきたいというふうに思っています」
★ソニーは割と直前に出展をしないというふうな話をしますが、いまのお話のなかに出てこなかったなかで、出展を見合わす可能性がある企業は何社くらいだと思われているでしょうか。
「いま、その質問にお答えするのは、凄く難しいです。なぜならば、皆さん、報道でもお聞きになるように、毎日、新しいニュースが出ていますし、新型肺炎の問題もあります。私がスピーチでお話したように、健康保険当局とは常に話をしておりますので、いまのところは、フォトキナを中止するという理由は見つからないということなんですが、それに関して、出展者側からも、コロナのために出展をやめるというようなお話はまだ頂いておりません。ただ、フォトキナまでは3ヶ月あります。なので、いまの状況で予測を申し上げるのは難しいということを、ご了承頂きたいと思います。また、業界としても、やはり、企業さん、それぞれ、1社1社の決断だと思っています。本当に、保険当局が例えば、見本市に関してはヨーロッパでは基本的に中止すべきだというような話をしない限り、企業さん、それぞれの判断に委ねられると思っております」
★中国の企業は、事実上、現時点で稼働していません。ですので、出展を見合わせる可能性が高いと思うのですが、現時点では影響が出ていないと考えてよろしいのでしょうか。
「それも、先ほどお答えした質問と同じでありまして、回答するのは難しいわけですけれども、まだ、フォトキナまでは3ヶ月あるわけで、5月の末のことでありますので、まだ、予測が難しいと思いますけれども、中国企業の出展を前提として、いま、計画中であるということであります」
★前回、スマートフォンのメーカーを積極的に招致するというお話があったと思うのですが、今回もスマートフォンに関連する話が、結構、いまのスピーチにも出ていたと思うんですが、具体的にスマートフォンメーカーが出展に対して明言しているというふうなところは、現時点であるのでしょうか。
「モバイル・フォトグラフィーというのは、実際、我々にとって、戦略的にも重要になっています。ステージプログラムの割合で考えると、ご参考に申し上げますと、20%はもう、そういうモバイル・スマートフォンなんですね。我々の課題としては、やはり、ステップアップユーザーに働きかけるということ。で、そのためには、やっぱり、イメージングだけではなくて、やはり、スマートフォンが非常に大事であるということなんです。モバイル・フォトグラフィー、イメージングというのが非常に重要です。それは分野を横断的にステージプログラムだけではなく、じゅうそうていおん(意味不明)として、我々にとって重要なんです。クリエーターズ・ラウンジの話もしましたけれども、そういったところでも、内容的なお話をしたいと思いますし、インスタグラマー・アカウントに関しても、そういうターゲットグループを意識したプログラムを色々考えています。ただ、実際、お話にあったように、やはり、大手のスマートフォンメーカーが出展するのが非常に大事なんですね。ファーウエイが前回は出たということで、非常に大きな反響を呼んだんですが、しかし、いま、ご存知のように、OSとしてファーウエイを導入するかどうかというのが、大きな問題になっていますし、現状では、いま出展をするかどかということについては、明言できない状況です。いま、交渉中でありまして、交渉中のところもありますが、具体的なメーカー名までは、今日のところは、ちょっと申し上げられないので、ご了承頂きたいと思います。重要なのはソニーのような大企業が、やはり、スマートフォンをイメージングのコンピタンスを使って作っているということです。さらに重要なのはメーカー、作ること、そして、やっぱり、コンセプトも大事だと思います。やはり、ユーザーに対して、どういうふうに働きかけているか、そのクイックフォートというのは、品質的にはそれほど高い写真ではありません。ですから、いま、クイックフォートを撮っている、そういうユーザーの方にもっと働きかけて"写真撮るの好きでしょ、スマートフォンで、でも、実際にイメージング、写真を撮るって、もっと面白いんだよ、もっと高品質なものができるんだよ"ということを働きかけたいと思っています。ま、イメージングメッセとして、勿論、最終的には非常に高品位なカメラを、我々は紹介していくわけですから、スマートフォンユーザーにも、そういうものに興味を持って頂きたい、そういう方向性に働きかけていきたいと思っています」
★スマフォの世界では、5Gという新しい通信のフォーマットが広がってくるということで、スマフォの利用のなかでも、動画というジャンルがもっと拡大してくると言われていますけれども、皆さんにとって、こういう変化は、新しい定義として、どういう具合にお考えになるんでしょうか。
「そうですね。おっしゃることは理解致します。そして、5Gが始まりますので、携帯電話は保存するキャパシティ等も問題になってくると思います。私たちが、そこですべきことは、そもそも、写真業界において、ま、写真というの静止画から来たわけなんでありますけれども、しかしながら、動画が重要になってきたということはトレンドであるわけです。多くの消費者がスマートフォンでビデオを撮ったり、ビデオを送ったりしていますが、そういう新しい分野に関しても、高品質なビデオが作れるようなスマートフォンを対象にして、新しい市場に対応していくことが重要だというふうに思っています。そして、この写真工業会というのが、コンサバティブであって、保守的なために、そういった新しい分野に対してオープンになれない、というようなことにならないようにしたいというふうに思っています。そういった分野に関しても、フォトキナではモーション・ステージですとか、そういった分野で、モーション・ステージだけではなく、他のプログラムにおいても、高品質の一眼レフカメラだけではなくて、そういったスマートフォンにおける高品質な写真であったり、あるいは動画なども焦点を当てていきたいというふうに思っているわけでございます。ということで、フォトキナに来て頂ければ、新しい何らかの技術が、多分、発見できるのではないかというふうに思っております」
★フォトキナに参加されないメーカーさんに個人的にお訊きしましたら「毎年、春なら、出ないよね」と言われたんですけど、皆さんは、富士フイルム、ニコン、オリンパス、ライカが出展しない理由はどこにあると、お考えですか。
「写真工業会としては、グラフ(売上実績の)によって分ったのは、実際にカメラの売上が落ちているということです。やはり、コストのプレッシャーもあるということですね。売上が落ちれば、やはり、コストを削減しなければならない。写真業界というのも、やはり、伝統的な業界ですので、なかなか財政的に難しいと、投資をするのが難しいと、いうこともあるのかと思います。やはり、財務的な理由ではないかなと、私たちは考えています。私たちが、やろうと思っているのは、ケルンメッセとして、ドンドン、投資をしていって、このような見本市に出展することが不可欠だというふうに、メーカーの皆さんに思って頂くことだと思っています。9月の開催は良かったかも知れませんが、しかし、いまのビジネス界はめまぐるしく変っていますから、2年に1回、9月だけということでは、なかなかトレンドに追いつけていけないということがありました。やはり、出展できないというのは、それぞれの企業さんの独自の理由があって、ま、とりあえず、今回は出ない、ただ、フォトキナに今後ずっと出ない、ということではない、というお話を大体伺っておりますので、それぞれ、一つ一つの企業さんの理由であると、私たちは考えています」
★フォトキナは来年以降も毎年開催する予定なんでしょうか。それから、今回は展示ホールがかなり少なくなるということなので、それに伴って、今まで2カ所にあったプレスルームの場所の変更もあるのでしょうか。
「まずは、2020年にフォーカスを当てて考えておりますので、ま、市場はいま大きな変化に晒されているということで、メッセ、見本市自体も新しく考え直さなければいけない時代であるということを、先ほど、おっしゃっていらっしゃいましたけれども、ということで、様々なステークホルダーと話をしまして、写真工業会であったり、あるいはお客様、出展企業などとお話をして、今後、どのような形でフォトキナを続けていくかということを考えたいと思います。
そして、出展ホールでありますけれども、ホール1と2は使わないということでありますので、少し小さくなったわけでありますけれども、4.2というのが新しく加わりました。いまの広さというのは、次のフォトキナ(フォトキナ2020)には非常に適切な大きさだというふうに思っています。
それから、プレスルームでありますけれども、まずはコングレスセンター東、あるいはコングレスセンター西に作る予定です。ということで、連絡通路が西と東にありますので、5分ほどで両方、行けるということであります。そして、色々なイベント関係や、あるいは様々なプロダクトをそこで紹介する予定になっています」
★今回、5つのホールを使いますが、その5つのホールのテーマのようなものは、もう決められているんですか。
「ハイ、あります。クリアなフォーカスがありまして、ソニーさんはフルラインナップなので、モーション、動画、それを5.2、4.1と4.2、イメージングラボはプレゼンティング、キャプチャリングというテーマなんですけれども、そして、4.1ではコミュニティーとプロフェッショナル・ステージを考えています。私たちが、いつもやろうとしているのは、ユーザーの方々にとって、1カ所にお店の方が集まらないようにしよということなんです。なので、うまく導線を組めるような形で、色々なポイントで楽しめるポイントを作っていくということなんです。で、いまのところ、今年、それは凄く巧くいっておりまして、ビジターの方々には非常に喜んで頂けると思っています」
通訳が下手過ぎ!日本語を忘れたのかな。何を言っているのか、さっぱり分かりません。
【投稿日(posted date)】2020年2月28日(February 28th, 2020)
【投稿者(poster)】有限会社エイブイレポート社・avreport's diary(avreport.hatenablog.com)・編集長:吉岡伸敏(nobchan@din.or.jp)・副編集長:吉岡眞里子(marico@din.or.jp)/ AV REPORT Co.,Ltd.・avreport's diary・Chief Editor:Nobutoshi Yoshioka・Assistant Editor-in-Chief:Mariko Yoshioka
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富士フイルムの最新 APS-C
コンパクトデジカメ、X100Vの
解像度チェック
富士フイルムの最新APS-Cコンパクトデジカメ、X100Vのモノクロ解像度とカラー解像度をチェックして、正直、マサカ ! 嘘だろー!と思いました。言うままでもなく、チェックの結果が余りにも、お粗末だったからですが、実は、このお粗末さには、早くから、富士フイルム自身も気づいていたような気配があり、また、これを隠そうとしたような気配もあったことに皆さんは、お気づきになりましたか。多分、お気づきになった方が大勢いらっしゃると思います。なぜなら、不都合なことは隠したいというふうに見えてしまう言動が、第1回目のX Summitが中東のドバイで開かれた頃から、我々、メディアの目には異様に感じられるようになっていたからです。
つまり、なぜ、ドバイで重要な発表会を少数の写真家だけを対象に開かなければいけなかったのか、不思議で仕方がない訳です。何かを隠すための隠れ蓑的な存在が、X Summitという、名前だけが大袈裟な見掛け倒しのイベントではないのか、という疑いを抱いてしまった訳です。
ところで、皆さん、このX100Vが発表されたのは、いつですか。多分、殆どの方は日本時間の2月5日、午前5時、つまり、英国ロンドンでX Summit LONDON 2020が開かれた時間 ( 現地時間2月4日午後8時 ) だと思っていらっしゃるんじゃないでしょうか。
違います。正しくは、日本時間の2月4日。つまり、富士フイルムの光学・電子映像事業部にとっては、令和2年初のビッグイベント、第3回X Summit がロンドンで開かれようとしていた前日ですから、呆れます。X Summitを完全にコケにした暴挙です。しかも、X Summit ロンドン2020に主催者代表として出席するはずだった飯田年久・光学・電子映像事業部長がドタキャン欠席ですから、常識では考えられません。
しかも、飯田氏は2月4日の東京の発表会も欠席ですから、要するに、富士フイルムにとって、X100Vは余り重要な商品ではない、ということなのかも知れません。
ちなみに、2月4日に開かれた発表会の会場は東京・丸の内の富士フイルムイメージングプラザ東京です。開催時間は知りません。私には案内が来なかったからです。もしかすると、当ブログの辛口レポートが嫌われたのかも知れませんが、辛口レポートを良薬に変える前向きな気持ちがなくなってきたのかも知れませんね。本物の応援団と偽物の見分けがつかなくなってきたのでしょう。
結局、X100Vはデビューの仕方からして、おかしかったわけですが、最近の富士フイルムの言動で特に気になるのは、カメラボディのデザインに対する異常な拘りと、極端な画質軽視です。ところが、X100Vのプレス資料や宣伝用のWEBサイトを見ると、X100Vの画質の良さを謳った目の眩むような宣伝文句で一杯です。
例えば「機能美溢れる洗練されたデザインのボディに、新開発の高性能レンズを搭載。最新のイメージセンサー・画像処理エンジンも備え、独自の色再現による高画質を実現します。・・・」。
多分、最新のイメージセンサー・画像処理エンジンとは2610万画素の裏面照射型 X-Trans CMOS 4とX-Processor 4のことだと思いますが、ご存知のように、この2つのデバイスは決して最新ではありません。2018年9月20日に発売された古いAPS-Cミラーレス一眼のX-T3に搭載されたデバイスです。決して「最新のセンサーとエンジン」ではありませんから、むしろ「古いセンサーとエンジンを使っていますが、画質には自信がありますので、心配ご無用」と、プレス資料には書くべきでしょうね。
最近、偶然目にしたユーチューバーもこう言っています。「富士フイルムのマーケティング担当者は以前から自分の言葉に酔いすぎる傾向があるように思います。言うことがデカすぎると思います」
つまり、謙虚さに欠ける発言が多いと言っている訳ですが、私も同感です。
ついでに、もう一つ、プレス資料やWEBサイトの中身をチェックしてみたいと思います。新開発のレンズの性能です。プレス資料には「従来のX100シリーズのレンズは開放絞りではボケボケの写真になりますが、X100Vの新レンズは絞り開放から高い解像力を発揮し、・・・」、また、WEBサイトには「究極の写真画質を引き出す新レンズ」と書いてあります。
しかし、以下に紹介する解像度チャートの写真をご覧になれば、プレス資料は大嘘だということが、すぐに分かります。むしろ、開放から最小絞りまで、ボケボケのレンズだということが、よく分かると思います。
ちなみに、2月4日に富士フイルムイメージングプラザ東京で開かれたX100Vの発表会では、新聞の株式欄のようなページをX100VとX100Fの両機で撮り比べた写真が紹介され、それを鵜呑みにしたアホな応援団メディアがX100Vの解像度は凄いと絶賛して、大恥をかきましたが、ご存知のように、X100Vは2610万画素、X100Fは2430万画素ですから、X100Vの方が綺麗に写って当然です。ですから、本稿ではX100Vと全く同じセンサーとエンジンを積んだ富士フイルムのデジタルカメラ3機種、X-T3(2018年9月20日発売)、X-T30(2019年3月20日発売)、 X-Pro3(19年11月28日発売)にスナップ用の名機として定評のあるリコーのGRⅢ(19年3月15日発売)を加えて、X100Vの解像度と比較してみました。
以下に紹介した解像度チャートの写真は液晶画面で拡大して見て頂きますと、解像度の優劣がよくお分かりになると思いますが、この拡大作業はかなり面倒ですから、X100Vとその他4機種との対戦成績を「何勝、何敗、何引分」という形で、予めご紹介しておきたいと思います。
★X100V 対 X-T3
モノクロ解像度は13戦、3勝、7敗、3引分
カラー解像度は13戦、8勝、3敗、2引分
★X100V 対 X-T30
モノクロ解像度は13戦、0勝、13敗、0引分
カラー解像度は13戦、8勝、3敗、2引分
★X100V 対 X-Pro3
モノクロ解像度は13戦、3勝、4敗、6引分
カラー解像度は13戦、0勝、10敗、3引分
★X100V 対 GRⅢ
モノクロ解像度は10戦、0勝、10敗、0引分
カラー解像度は10戦、10勝、0敗、0引分
★X100V 対 4機種
モノクロ解像度は49戦、6勝、34敗、9引分
カラー解像度は49戦、16勝、26敗、7引分
結局、X100Vはトータルで49戦しましたが、モノクロ解像度では、わずかに6勝、カラー解像度でも16勝しかできなかった訳ですから、ボディデザインの自慢はできても、画質の自慢はできないはずです。
ですから、X100Vの開発担当者たちは、X100Vをどうやってデビューさせるか、困り果ててしまったのだと思います。それで、X100Vのような平凡なカメラを宣伝するには、非常手段に訴えるしかないと考えたのでしょうね。そして、変質者のようなスナップカメラマンにプロモーション動画の制作を依頼してしまったのだと思います。危険を十分承知の上で、危ない橋を渡ってしまった訳です。
そういえば、X100Vの切り札的なキャッチコピーは「The One and Only, X100V」です。唯一無二のX100Vという意味みたいですが、もしかすると、私がお借りしたX100Vこそ、いわゆる個体差からたまに生まれる希な不良品、まさに、唯一無二の不良品だったことを、切に願います。
次の2枚の表でX100Vの対戦成績を確かめてみてください。上の表でモノクロ解像度、下の表でカラー解像度の対戦成績が分かります。
本来なら、開放絞りから最小絞りまで、全ての絞り値で撮った写真を紹介したかったのですが、かえって、退屈なレポートになるのではないかと思いまして、F2.8、F5.6、F8の3点で撮った写真だけ、ご紹介することに致しました。
ところで、リコーの GRⅢですが、評判通り、あの小さなボディからは想像できないほど、高い解像度を発揮してくれる名機です。ただし、感心させられるのはモノクロ解像度のみで、カラー解像度はバイヤーセンサー機の宿命か、お粗末すぎて全く評価できません。それで、GRⅢの愛用者はモノクロ写真に凝るのかも知れませんが、いずれ、バイヤーセンサー搭載のカメラからもカラー解像度の高いカメラが出てくると思います。キヤノンの新しいカメラを見ていると、その可能性を信じたくなります。
【投稿日(posted date)】2020年2月15日(February 15th, 2020)
【投稿者(poster)】有限会社エイブイレポート社・avreport's diary(avreport.hatenablog.com)・編集長:吉岡伸敏(nobchan@din.or.jp)・副編集長:吉岡眞里子(marico@din.or.jp)/ AV REPORT Co.,Ltd.・avreport's diary・Chief Editor:Nobutoshi Yoshioka・Assistant Editor-in-Chief:Mariko Yoshioka
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ニコンZ50の解像度チェック
ニコンZ50(2019年10月10日発表・同11月22日発売)の貸出機が年明けの1月9日に届きました。貸出しのお願いをしたのが昨年11月26日と遅かったので、なかなか順番が回ってこなかったようですが、貸出しのお願いが遅くなったのは、昨年10月10日に発表されたZ50のスペックが余りにもお粗末で、使ってみたいという気が全く湧いてこなかったからです。一番ガッカリしたのは、Z7やZ6に搭載されている素晴らしいボディ内手振れ補正が搭載されなかったことですが、食指が動かなかった理由は他にもあります。例えば、画素数(2088万画素)が少なすぎる、1回の充電で撮影できる撮影枚数(280枚・シグマfpと同じ)が少なすぎる、小型軽量化が中途半端、などですが、Z50の応援団の皆さんは例外なく、Z50の小型軽量化を絶賛していらっしゃいます。これは別表の「Z50と比較したカメラ」をご覧になれば、Z50の小型軽量化が中途半端であることが、すぐにお分かりになるはずです。そして、よせばいいのに、多くの応援団のみなさんが「小型軽量なのに画質も良い」といった、すぐにバレる嘘までついて、褒めまくっていらっしゃいます。それで、これは看過できないと思い、急遽、貸出をお願いして、本当に画質が良いのかどうかを確認しないといけないと思った訳です。だって、APS-Cの2088万画素で良い画質など期待できる訳がないじゃないですか。
Z50を絶賛する応援団の質の悪さはシグマfpの応援団とあまり変わりません。まさに、なりふり構わずの観がありますが、落日間近のニコンを、すぐにばれる嘘で一時的に救うことができたとしても、長続きなどする訳がなく、ユーチューバーの皆さんは末代まで、嘘つきの汚名を残すだけになると思います。Z50の画質が良くないことを、早速、見てみましょう。いずれも、ISO100、F8で撮影。
★ニコンZ50
★シグマfp
★ニコンD5600
★フジフイルムX-T30
★ニコンZ6
★ニコンZ7
★ニコンZ50
★シグマfp
★ニコンD5600
★フジフイルムX-T30
★ニコンZ6
★ニコンZ7
以上の写真はモノクロ解像度チャートと電塾のカラー解像度チャートを撮影したものです。Z50につけたレンズは16-50mmのキットレンズです。16mm、24・5mm、36mm、50mmで撮ってみましたが、16mmのワイド端の解像度が最も綺麗でしたので、上の写真は16mmで撮っています。なお、解像度=画質ではないことは言うまでもありませんが、解像度は画質の基本だと思います。
【投稿日(posted date)】2020年1月10日(January 10th, 2020)
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シグマfpの解像度チェック
世界最小最軽量のフルサイズミラーレス一眼として話題になったシグマfp(2019年10月25日発売)ですが、肝心の解像度が余りにも低くて呆れてしまったということは、11月10日投稿のFacebookで既に報告済みですが、そのFacebookで紹介したのは、一目で優劣が分かるモノクロ解像度の検証写真だけでしたので、本稿ではモノクロ解像度より優劣が分かりにくく、また、モノクロ解像度よりも更にお粗末なカラー解像度チャートの検証写真も合わせて紹介することにしました。なお、本稿でもFacebook同様、シグマfpだけでなく、ニコンD5600や同Z6、同Z7の検証写真も紹介しました。
シグマfpを使ってみた感想ですが、ボディに突起物がないせいか、どうやったら安定した持ち方ができるのか、どんなに時間をかけても答えは見つかりそうもありませんので、手持ち撮影は想定外の設計なのかも知れません。ですから、カメラというより、動画撮影専用のモジュールという感じです。ただ、撮影条件等の設定はパナソニックのフルサイズミラーレスより簡単なので、取説を読まなくても使えます。やはり、家電メーカーとはひと味違います。
因みに、ミラーレス一眼の売れ筋ランキングで10月下期にシグマfpが1位になったお店が何店かあったようですが、11月に入ってからのランキングを見ると、fpの人気はほんの一瞬だったことが分かります。
ニコンD5600はシグマfpよりも解像度は遥かに高いのですが、イメージセンサーが小さなAPS-Cなので、ノイズが目立ち、シグマfpの画面よりもザラザラしているのは一目瞭然です。ですから、ニコンZ50を買う勇気がなかなか湧いてこないわけですが、画質優先のフルサイズをとるか、小型軽量のAPS-Cをとるかで迷っている方が沢山いらっしゃるはずです。
シグマfpとニコンの3機種を比較してカラー解像度の優劣を決めるのは、かなり難しいと思います。RGBをきちんと再現できるカメラは左下隅の同心円が丸い奇麗な円となって写りますが、RGBを再現する力のないカメラは十字架のように写ります。ご覧のように、4機種とも同心円がちゃんと写っていません。また、右下隅の正方形のゾーンには斜めの細いストライプが写らないといけませんが、4機種とも斜めのストライプが太すぎます。また、斜めのストライプゾーンのすぐ上の正方形のゾーンには縦のストライプ、更にその上の正方形のゾーンには横のストライプが写らないといけませんが、4機種ともストライプがまともに写っていません。ニコンの3機種の解像度チャート写真に写っているのはストライプではなく、格子縞、チェック模様、つまりモアレですから、RGBをちゃんと再現しているわけではありません。バイヤーセンサーのカメラでカラー解像度を無理やり上げようとすると、かえって画面が汚くなってしまうようです。一方、シグマfpは縦のストライプと横のストライプがほんの微かですが写っていますので、カラー解像度を無理やり上げるような悪あがきはしなかったのだと思います。因みに、バイヤーセンサーを使っているにも関わらず、シグマfpより遥かに縦、横のストライプがよく写るカメラがあります。新型の画像処理エンジン、DIGIC8を搭載したキヤノンのカメラですが、富士フイルムのX-Trans CMOSセンサーを搭載した Xシリーズのカメラのカラー解像度には叶いませんし、言うまでもなく、Foveonセンサーを搭載したシグマのカメラにはもっと叶いません。
【投稿日(posted date)】2019年11月25日(November 25th, 2019)
【投稿者(poster)】有限会社エイブイレポート社・avreport's diary(avreport.hatenablog.com)・編集長:吉岡伸敏(nobchan@din.or.jp)・副編集長:吉岡眞里子(marico@din.or.jp)/ AV REPORT Co.,Ltd.・avreport's diary・Chief Editor:Nobutoshi Yoshioka・Assistant Editor-in-Chief:Mariko Yoshioka
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大阪・難波(御堂筋グランドビル)にも
FUJIFILM Imaging PLAZA
富士フイルムが10月21日、昨年4月の東京・丸の内に続いて、大阪・難波にもFUJIFILM Imaging Plaza(富士フイルムイメージングプラザ)を開設、11月1日には一部の報道、流通、写真家を招いて見学会、その日は併せて、同社・光学・電子映像事業部・飯田年久事業部長による同事業部事業戦略の紹介と同事業部商品企画担当の上野隆氏によるAPS-Cミラーレスの新製品、X-Pro3の詳細説明も行なわれた。以下は富士フイルムイメージングシステムズ株式会社・西村亨社長によるFUJIFILM Imaging Plazaの紹介と富士フイルム・飯田事業部長による事業戦略の紹介だが、上野氏によるX-Pro3の説明は先般、東京・丸の内のFUJIFILM Imaging Plazaで行なわれたX-Pro3の説明会(当ブログで既報)とほぼ同じ内容なので、省略致します。
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西村「『FUJIFILM Imaging Plaza大阪』は昨春、東京・丸の内にオープンして、大変高い評価を頂いております『FUJIFILM Imaging Plaza東京』をモデルにして、10月21日、ダイバーシティとして活気溢れる難波駅前にオープン致しました。
弊社イメージング製品の魅力を体感頂けるブランド発信拠点として、お客様満足度をより一層向上させるとともに、Xシリーズ、GFXシリーズのデジタルカメラや高画質プリントなどを紹介し、富士フイルムのブランドの価値をさらに高めて参りたいと考えております。
具体的には、4つの柱になるサービスがございます。まず一つ目は、カメラ、レンズの最新ラインナップを実際に手にとって体験して頂けるタッチ&トライコーナーです。勿論、専門のスタッフが丁寧にご説明させて頂きます。
二つ目は有名写真家の作品を高画質な大サイズプリントでご覧頂ける写真展会場、ギャラリーXです。お客様を飽きさせない趣向を凝らした写真展を定期的に開催する予定です。
三つ目はカメラの使い方を学ぶ初級者向けから上級者向けまでのセミナーやテーマ別撮影教室などをプログラムしたアカデミーXというセミナーを開催する予定です。購入後のカメラライフをさらに楽しく、充実したものにしていくためのセミナーやイベントも多数、実施して参る予定です。
四つ目は何と言っても,カスタマーサービスでございます。製品の修理、レンタルサービスを行なうだけでなく、XシリーズやGFXシリーズのカメラ、レンズの点検を主にしたXメンテナンスを実施して参ります。
また、プロ写真家様向けに、東京で展開している会員サポートサービスでありますフジフイルム・プロフェッショナル・サービス、これも大阪で展開をさせて頂きます。機材のメンテナンス、及び、修理サービスを行います。
併設しているスタジオでは、ライティングやテザーサービスなど、プロ写真家の方々の幅広いニーズに対応して参りたいと考えています。
以上の4点をサービスの柱として、FUJIFILM Imaging Plaza大阪はカメラのご購入を検討頂いている方々から、ご購入後のアフターサポートまで、また、初心者からプロ写真家の方々まで、幅広いニーズに応えるとともに、X、GFXシリーズから始まる素晴らしい写真の価値を多くの方に届けて参りたいと思います」
光学・電子映像事業部の事業戦略
続いて、富士フイルム・光学・電子映像事業部・飯田年久事業部長による同事業部の事業戦略の紹介。
飯田「富士フイルムは化粧品から医療機器、ヘルスケア、医薬、再生医療と多岐にわたる多角化を進めています。光学・電子映像事業は富士フイルムにある15事業のうちの一つで、レンズと撮像技術をデジタルカメラ、交換レンズのみならず、様々な分野に生かしていくことを目指している事業部です。
実は私が事業部長を拝命しましたのは3年前の11月1日でございまして、丁度、今日で3年目になります。普段はカメラの新製品の発表会で新製品中心のお話をさせて頂いていますけど、今秋の新製品のX-Pro3については、このあと上野のほうから話をさせて頂きますので、私からは富士フイルムの光学・電子映像事業って、こういうことをやっている事業だというお話をさせて頂きたいと思います。カメラの話だけでなく、もう少し幅広く、光を通じてどういうことを、やっているのかということをご紹介したいと思います。
今日は『技術・商品・顧客価値で新たな市場を創造する』というテーマでプレゼンをつくって参りました。これは光学・電子映像事業の事業ミッションとして、3年前につくったものです。光学デバイス技術、フジノン(Fujinon)は75年以上の歴史があります。富士フイルムは1934年の設立で、今年、85周年です。フィルムの国産化、特に映画用フイルムの国産化を目的につくった会社でございますけど、8年後にはレンズの溶解工場もつくっています。そういう長い間、培ってきた光学デバイス技術と画像処理技術を合わせまして、ものじゃなくて、世の中に感動、便利、安心を提供をしていくことが私どものミッションだと考えています。
左上の写真はXシリーズです。そして、隣りの写真は4K、8K放送用のレンズですが、こちらのレンズは弊社ともう1社、キヤノンさんしか、つくれない最高峰のレンズです。それから、ハリウッドの映画製作の現場でも使われているシネレンズ、それから、あまり知られていませんが、プロジェクター用のレンズ、ファクトリー・オートメーション用のレンズ、車載用のレンズ、監視・計測用のレンズ、カメラ、こういうものも幅広く作っている事業です。
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これは主要カメラメーカー5社のカメラ部門、あるいは映像部門の対前年の売上の増減をグラフ化したものです。富士フイルムをご覧ください。昨年度はおかげさまで、市況が悪いと言われながら、対前年は上期+3%、下期+9%の成長ができました。一方、2019年ファーストクオーター(1Q)は我々も残念ながら、マイナスに転じました。ひと言で言いますと、しんどい業界になってきたというのが実感です。各社のこれからの決算発表もかなり厳しい数字になると思います。5社合計でご覧頂きますと、2018年上期は−11%、下期は−15%、2019年ファーストクオーターは−20%。この業界は2割落ちている、しんどい業界です。
そういうなかで、各社、色んなことを考えて、いま手を打っているところですけど、2つ、ここからスライドをお見せします。皆さん、この記事、ご覧になりましたでしょうか。今年1月の週刊ダイヤモンドの記事です。キヤノンの御手洗さんの記事です。
10年後にはコンシューマ用カメラはなくなるんじゃないかとキヤノンのトップが言っています。また、一眼カメラは半減するとも公言されています。結構、ショッキングでした。これは海外でも報道されましたので、海外のカメラ店さんなんかとお会いするたびに、御手洗さんが、こう言ってるけど、ホントにカメラ大丈夫?と言われます。
じゃあ、弊社のトップは何と言ってるかですが、これは5月23日に晴海で行なったGFX100の発表会の記事です。うちの古森(会長)はカメラが落ちているのは革新的な商品がないからで、革新的商品をつくれば、市場は伸びる可能性があると言っています。これを我々の技術とマーケティング力で実現し、カメラ業界を活性化していこうというのが、私ども事業部の姿勢です。
じゃあ、どういう商品を作るか、どういう技術を使うかですが、他社と横並びのことはやりません。横並びの典型がフルサイズです。各社、フルサイズミラーレスを始めましたが、うちはやりません。ほかと同じことをやっても、全く意味がありませんので、富士フイルムはAPSで小型軽量、高性能を突き進めます。あるいは、GFXでまったく違う価値を提供していき
ます。これはカメラ分野だけじゃなく、他の分野も同じです。
その具体的な例ですが、今年、発表発売、あるいは開発発表した商品群をご紹介します。一番上はミラーレスカメラです。1億画素のGFX100です。それから、新しい商品として今日はプロジェクターもご紹介します。そして、長焦点監視カメラにも今年は参入しました。三番目は新しい放送用のシネマレンズです。従来は4K、8Kで107倍、120倍と、ズーム倍率競争をやっていましたが、今年はガラッと変えました。4K放送の分野はAFレンズがあまりありませんので、今年は107倍の箱形レンズにAFを積んで参入します。それから、多少、地味ですけど、新しい双眼鏡にも参入します。この双眼鏡は極めて高精度な防振機能が付いています。±6度の防振によって遠くのイルカやクジラが跳ねるのを船上で見ることができます。ピタッと止ります。世界最高の防振機能です。このように、それぞれの分野でゲームチェンジを起こすことを我々のミッションとして、技術開発、商品開発をしています。
今日は、このなかで3つ、ご紹介します。皆さん、ご存知の通り、100メガピクセルのインパクトあるデジタルカメラを今年5月23日に発表致しました。
日本カメラさんは、毎年『撮りくらべ』という企画をおやりになっています。今年は高画質カメラ71機種の撮りくらべを9月号でやられました。いま売られているカメラを全部、撮りくらべて、ブラインドで、どのカメラが一番、ピント、解像度、感度性能が優れているかを決める企画です。見て下さい、GFX100がトップです。2位がGFX50Rです。GFX50Sも5位に入っています。まさに、破壊的イノベーションの一例だと考えています。もし、これを我々がこれをフルサイズでやっていたら、これだけの評価は得られなかったと思います。
GFX100は受注も非常に好調です。カメラ店の皆様にはご迷惑をおかけしていますけど、まだ生産が追いつきません。当初の見込みの1.5倍を超えるペースで受注を頂いておりますので急ピッチで増産を進めています。
話を変えて、プロジェクターの話をさせて頂きます。ここに置いてあるZ5000というプロジェクターです。今年6月に発売を開始しました。非常にユニークなデザインですが、このプロジェクターはひと言で言うと、いままで置けなかったところに置けるプロジェクターです。富士フイルムのプロジェクター1号機です。プロジェクターの市場はサチッています。ワールドワイドで780万台の市場です。そんなサチッている市場にいまさら、なぜ、富士フイルムが入るのかですが、まだまだプロジェクターを置けるスペースがあるのに、いま世の中にあるプロジェクターだと、置けないからです。
私はいまZ5000の前に立っていますが、スクリーンに私の影ができません。それは、このロジェクターにシフト機構が付いているからです。しかも、非常に投影距離の短いプロジェクターです。75cm離れたところから100インチで映せます。こういうプロジェクターはいままで世の中に存在しませんでした。これが何故できているかと言いますと、このレンズです。このレンズの中に大型のプラスチックの非球面を含めて約20枚のレンズが入っています。このレンズがこの投射を可能にしています。
土曜の朝、王様のブランチという番組をやっていますけど、先週の土曜日に放映された王様のブランチをちょっとご覧ください。
『こちらは富士フイルムから今年発売になった最新鋭の業務用プロジェクター。至近距離から最大300インチまでの投射が可能です』
じゃあ、実際、どういうところに置かれているですが、既に、東京タワーのレセプションに4台設置されてます。置かれているのは天井です。いままでは空調のダクトがあるので、プロジェクターを置けなかったのですが、このプロジェクターは斜めにシフトできますので、いままで置けなかったスペースに置けるようになりました。
これは群馬のカルピスの工場です。非常にユニークでして、
壁の中にスッポリとプロジェクターを埋め込んで、頭の所だけ、出ています。
名古屋駅のレストランも非常に近距離で天井打ちでプロジェクションを下にという例です。
これはポルトガルの例ですけど、37台のプロジェクターが導入されました。天井が低い地下の墓地だそうです。天井から床に投影しています。
これはコンサートに導入した例です。従来は一番うしろの観客席からプロジェクターを打っていましたので、演者が影になりましたが、うちのプロジェクターは演者のうしろに置くことができますので、縁者の影が出ません。
通常、プロジェクターは、明るくする、専門化する、そういう競争で、各社横並びの競争が行なわれていましたが、我々は近距離から大型シフトで打つという、この1点でプロジェクター市場に参入しました。それを可能にしたのはフジノンのレンズです。このレンズをつくれるのは、うちしかありません。このレンズがないと、近距離の大型シフトはできません。
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次もガラッと毛色の違う商品です。我々はずっと監視分野はレンズだけを提供してきました。レンズをカメラメーカー、あるいはシステムインテグレイテッドに提供してきましたが、デジカメの技術を使って、レンズとカメラ、一体型の商品にしたのが、これです。
キャッチコピーは『1km先の車のナンバープレートがクッキリ見える』です。これは、ある建設会社さんの導入事例です。ダムの建設現場です。勿論、車のナンバープレートを見るのが目的じゃなく、ダム工事の建設現場の安全確認のためです。ダム工事の現場で作業されている方がチャンと命綱をしているかどうか、そういうことを監視するための導入例です。
これは東京タワーです。東京タワーにグッと寄りますと、ほぼ人の顔まで見えます。これ、お台場です。お台場で赤いところを注目してください。私ども、大宮に事業所がありますけど、5階から29km先の東京スカイツリーを近赤外という画像処理を施しますと、こういうふうに写ります。人間の目で見えないものが写ります。
一番関心がもたれているのは国境監視です。アメリカはメキシコからの不法移民を監視するために、遠くから国境を監視していますが、高いタワーの上に監視カメラを付けますと、風とか、色んな振動要因があって、上に行けば行くほど、従来のカメラですと、ぶれてしまいます。しかし、うちの監視カメラはデジカメの防振技術が入っていますので、ぶれません。そして、AFも速くなりました。従来の監視カメラはAFだけで6秒から7秒かかっていました。その間に対象物が消えてしまいます。デジカメの世界では、いま、AFが0.02秒というような領域に入っています。これもデジカメで培った技術ですが、こういう分野に生かせば、いままで撮れなかったものが撮れるようになります。これはイギリスのチェルシーのサッカースタジアムの導入例ですが、テロリストや怪しい人がいないかを、遠くから監視するための監視カメラです。怪しい人がいると、ズームで撮って、口の動きを読むこともできます。
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ここからはデジタルカメラの商品化戦略です。先ほどご覧頂きましたような、しんどい業界で富士フイルムはいま何をやろうとしているのかを少しご紹介します。
私どもの商品化戦略はまずは当り前のことですが、先ほどご紹介しましたレンズ技術と画像処理技術を使って撮影し、高画質で残す楽しみを提供することです。これは当り前のことです。多分、どこのメーカーさんも、こう言われるでしょう。
このレンズのテレビCMを見られた方もいらっしゃると思いますが、関東平野にゴルフボール1個分の凹凸もないというCMです。20cmの直径にわずか30nm(0.00003mm)の面精度です。野球中継をご覧になると思いますが、バックスクリーンにこういうレンズが置いてあります。これでバッター、キャッチャーミットがくっきり写ります。皆さんが観られる映像は107倍とか、100倍を超えるズームレンズで撮られています。いま、ご覧頂いているのは、1枚目のレンズ玉です。直径が200mm、研磨誤差が30nm、0.03μ、0.00003mmです。この面精度で私どもの工場の職人が磨いています。私どもの交換レンズで前玉の径が一番大きいのは、この約半分、99.5mm、XF200mmF2の頭のレンズですが、面精度30nmの技術があるからこそ磨けるレンズです。
それと、私どもが自慢できるのは何と言っても、撮って出しの技術です。今回、X-Pro3で新しいフィルムシミュレーションを開発致しましたが、RAW現像に頼らないで、なぜ撮って出しに拘ったかと言いますと、RAW現像をしている暇があったら、もっと写真を撮ろうよということです。これが私どものメッセージです。
カメラは非常に嗜好性の高い商品です。ですから、今度のX-Pro3は、持つ喜び、デザイン、質感、スタイル、そこに拘り抜いています。
我々のカメラにはXシリーズとGFXシリーズ、2つの軸があります。XシリーズはAPSの特性を生かして、高速性と小型軽量化を極めるシリーズです。そしてGFXシリーズは高画質を極めるシリーズです。フルサイズはむしろ中判くらいの感じじゃないかということで、GFXをラージフォーマットと呼び、APSがミラーレス時代のベストバランスのシステムということで展開しています。
スタイルはセンサーファインダーのスタイルとX-Pro3に代表されますレンジファインダーのスタイルのマトリックスで商品を展開しています。
他のカメラメーカーさんの商品構成はピラミッド式です。ピラミッドはセンサーの大きさで決りますが、私どもは撮影スタイルとお客様の嗜好に合わせた商品展開をしています。
今日は2つのテーマでお話します。一つはX-Pro3です。ピュアフォトグラフィーというキャッチコピーで展開していますが、写真の本質に迫るということです。そして、スマホを超える感動体験をして頂いたいということですが、大事なのは2割落ちている総需のパイを各社が奪い合うんじゃなくて、どうやって新しい市場、新しいユーザーを創造していくか、クリエイトしていくかということだと思います。
まず、エントリーの話をさせてください。なぜ、エントリーは落ち続けているのでしょうか。まず、一眼レフのエントリーが落ち続け、続いてミラーレスのエントリーも落ち始めました。これはGFKの売筋トップ10のなかに入っているエントリー機です。キヤノンさんを除きまして、全部、発売が2014年、2016年、2017年と、基本的に型落品が多いわけです。型落品が安くなって、値段で売られているという状況です。
直近の2018年、2019年、この2年間に出されたミラーレスのグラフです。エントリーはわずか3機種、ハイエンドは11機種です。やはり、エントリークラスのイノベーションに力を入れていないから、というのが私どもの見方です。
当然、型落品はセンサーもプロセッサーも古いわけです。そうすると、スピード、AF、動画性能も見劣りします。従来のセンサーはマイクロレンズがあって、カラーフィルターがあって、フォトダイオードがあって、この間にアルミ配線がありましたが、私どもはエントリーでは初めて、この配線を銅配線に変えました。銅の良いところは、電気シグナルを伝えるスピードが速いことです。アルミに比べて1.6倍くらい速くなります。その結果、AFが速くなります。それから、抵抗がありませんので、ノイズが少なくなります。暗所性能が上がります。4K動画の性能が上がります。従来、この銅配線はX-T20とかX-T30といった中級クラスに入れていましたが、これをエントリーのX-A7 にも入れました。
エントリークラスの富士フイルムのシェアはアジア地区で非常に高く、タイ辺りでは4割を超えています。その原動力はこのX-Aシリーズです。アジアではX-Aシリーズをスマートミラーレスというコンセプトで訴求をしています。何がスマート
なのかと言いますと、 スマートな背面液晶、スマートなタッチ操作、スマートなフォーカス、スマートな色再現です。そして、いまSNSの動画の市場がアジア地区で大きく盛り上がりつつあります。ここに対して、非常に小型、軽量で、お求めやすい価格のものを投入したのがX-A7です。日本市場でも10月末から発売になっています。
2つ目のテーマは何故レンズがどんどん重く、大きくなるのかです。最近、各社から発表発売されたレンズはとにかく大きくて重い。何故でしょう。従来、F1.8の50mmのレンズは大体150gから170〜180gくらいの重さでした。これがF1.4になりますと、若干重くなります。これは私どもの50mm相当ですが、187gです。35mmのF1.4という非常に小型のレンズがありますけど、大体、150g前後です。F1.2になりますと、私どもには56mmがございますけど、これが405gです。
これに対して、最近出てきたレンズはF1.4で800gです。いままでの常識の何倍も重いということです。フイルム時代のレンズは小型でした。何故かと言いますと、フイルムというのは非常に優秀な撮像メディアなので、光線が多少斜めから入ってきても、ちゃんと受光できたからです。しかし、今のセンサーは先ほどご覧頂きましたような溝があったりしますので、光線をまっすぐ取り込まないと、フォトダイオードまで届きません。そうすると、ドンドン、ドンドン、レンズの枚数を増やさないといけません。折角、ボディを小さくしても、レンズが大きくなって、ドンドン、バランスが悪くなります。これでは、ミラーレスもいずれ、お客様の心から離れていくと思います。
私どもは真のミラーレスのメリット、小型軽量を外しちゃいけないと思っています。ですから、APSに拘ります。左側がご好評を頂いております16-80mm、5倍ズームのF4通しです。右側はフルサイズの24-70mm、3倍ズームです。ワイド端は同じですけど、私どもの16-80mmはテレ端が120mm相当まで伸びます。APSの5倍ズームとフルサイズの3倍ズームがほぼ同じ大きさ、重さです。APSだから120mmまで焦点距離が
伸びるわけです。これはX-T3とのコンビですけど、これ1本で充分というシステムができあがったと考えています。
『スマホを超える感動』これが今年秋の新製品、X-Pro3のコンセプトです。ただ、商品の良さを知って頂くには、お客様の感動体験が必要です。その体験をして頂くのが富士フイルムイメージングプラザです。加えて、先日、東京・上野では『フジフェスト(FUJIFEST)』というお祭りも開催して、感動を体験して頂きました。
メーカーのダイレクトのイベント、そして常設のイメージングプラザ、ギャラリー、タッチ&トライ、アカデミー、それからアフター、レンタルサポート、サービス、こういうお客様の感動体験があってはじめて、我々のものがことに繋がって行くと感じています。
もう一つ大事なのはカメラ店様との連携です。これは先日行ってきた上海の地域別旗艦店の様子です。先ほど、GFXの販売の数字を見て頂きましたけど、一番売れている市場は中国です。この旗艦店は1店で月に25~30台、GFXをお売りになっています。その最大の秘訣は店づくりです。どんな店頭をつくるかです。店に入りますと、GFXの専用コーナーがあります。ここで実機に触ることができます。ここには、センサーサイズが比較できるGFXのセンサーとフルサイズのセンサーのダミーが置いてあります。高画質プリントやサンプルプリント帳もあります。こちらでGFXをお買い上げ頂いたお客様が私どもの上海のショールームに来て使いこなして頂くという連動が益々重要になってくると考えています」
【投稿日(posted date)】2019年11月24日(November 24th, 2019)
【投稿者(poster)】有限会社エイブイレポート社・avreport's diary(avreport.hatenablog.com)・編集長:吉岡伸敏(nobchan@din.or.jp)・副編集長:吉岡眞里子(marico@din.or.jp)/ AV REPORT Co.,Ltd.・avreport's diary・Chief Editor:Nobutoshi Yoshioka・Assistant Editor-in-Chief:Mariko Yoshioka