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avreport’s diary

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          富士フイルムの最新 APS-C

コンパクトデジカメ、X100Vの

解像度チェック 

 富士フイルムの最新APS-Cコンパクトデジカメ、X100Vのモノクロ解像度とカラー解像度をチェックして、正直、マサカ ! 嘘だろーと思いました。言うままでもなく、チェックの結果が余りにも、お粗末だったからですが、実は、このお粗末さには、早くから、富士フイルム自身も気づいていたような気配があり、また、これを隠そうとしたような気配もあったことに皆さんは、お気づきになりましたか。多分、お気づきになった方が大勢いらっしゃると思います。なぜなら、不都合なことは隠したいというふうに見えてしまう言動が、第1回目のX Summitが中東のドバイで開かれた頃から、我々、メディアの目には異様に感じられるようになっていたからです。

 つまり、なぜ、ドバイで重要な発表会を少数の写真家だけを対象に開かなければいけなかったのか、不思議で仕方がない訳です。何かを隠すための隠れ蓑的な存在が、X Summitという、名前だけが大袈裟な見掛け倒しのイベントではないのか、という疑いを抱いてしまった訳です。

 ところで、皆さん、このX100Vが発表されたのは、いつですか。多分、殆どの方は日本時間の2月5日、午前5時、つまり、英国ロンドンでX Summit LONDON 2020が開かれた時間 ( 現地時間2月4日午後8時 ) だと思っていらっしゃるんじゃないでしょうか。

 違います。正しくは、日本時間の2月4日。つまり、富士フイルムの光学・電子映像事業部にとっては、令和2年初のビッグイベント、第3回X Summit がロンドンで開かれようとしていた前日ですから、呆れます。X Summitを完全にコケにした暴挙です。しかも、X Summit ロンドン2020に主催者代表として出席するはずだった飯田年久・光学・電子映像事業部長がドタキャン欠席ですから、常識では考えられません

 しかも、飯田氏は2月4日の東京の発表会も欠席ですから、要するに、富士フイルムにとって、X100Vは余り重要な商品ではない、ということなのかも知れません。

 ちなみに、2月4日に開かれた発表会の会場は東京・丸の内の富士フイルムイメージングプラザ東京です。開催時間は知りません。私には案内が来なかったからです。もしかすると、当ブログの辛口レポートが嫌われたのかも知れませんが、辛口レポートを良薬に変える前向きな気持ちがなくなってきたのかも知れませんね。本物の応援団と偽物の見分けがつかなくなってきたのでしょう。

 結局、X100Vはデビューの仕方からして、おかしかったわけですが、最近の富士フイルムの言動で特に気になるのは、カメラボディのデザインに対する異常な拘りと、極端な画質軽視です。ところが、X100Vのプレス資料や宣伝用のWEBサイトを見ると、X100Vの画質の良さを謳った目の眩むような宣伝文句で一杯です。

 例えば「機能美溢れる洗練されたデザインのボディに、新開発の高性能レンズを搭載。最新のイメージセンサー・画像処理エンジンも備え、独自の色再現による高画質を実現します。・・・」。 

 多分、最新のイメージセンサー・画像処理エンジンとは2610万画素の裏面照射型 X-Trans CMOS 4とX-Processor 4のことだと思いますが、ご存知のように、この2つのバイスは決して最新ではありません。2018年9月20日に発売された古いAPS-Cミラーレス一眼のX-T3に搭載されたデバイスです。決して「最新のセンサーとエンジン」ではありませんから、むしろ「古いセンサーとエンジンを使っていますが、画質には自信がありますので、心配ご無用」と、プレス資料には書くべきでしょうね。 

 最近、偶然目にしたユーチューバーもこう言っています。「富士フイルムマーケティング担当者は以前から自分の言葉に酔いすぎる傾向があるように思います。言うことがデカすぎると思います」

 つまり、謙虚さに欠ける発言が多いと言っている訳ですが、私も同感です。

 ついでに、もう一つ、プレス資料やWEBサイトの中身をチェックしてみたいと思います。新開発のレンズの性能です。プレス資料には「従来のX100シリーズのレンズは開放絞りではボケボケの写真になりますが、X100Vの新レンズは絞り開放から高い解像力を発揮し、・・・」、また、WEBサイトには「究極の写真画質を引き出す新レンズ」と書いてあります。

 しかし、以下に紹介する解像度チャートの写真をご覧になれば、プレス資料は大嘘だということが、すぐに分かります。むしろ、開放から最小絞りまで、ボケボケのレンズだということが、よく分かると思います。

 ちなみに、2月4日に富士フイルムイメージングプラザ東京で開かれたX100Vの発表会では、新聞の株式欄のようなページをX100VとX100Fの両機で撮り比べた写真が紹介され、それを鵜呑みにしたアホな応援団メディアがX100Vの解像度は凄いと絶賛して、大恥をかきましたが、ご存知のように、X100Vは2610万画素、X100Fは2430万画素ですから、X100Vの方が綺麗に写って当然です。ですから、本稿ではX100Vと全く同じセンサーとエンジンを積んだ富士フイルムデジタルカメラ3機種、X-T3(2018年9月20日発売)、X-T30(2019年3月20日発売)、 X-Pro3(19年11月28日発売)にスナップ用の名機として定評のあるリコーのGRⅢ(19年3月15日発売)を加えて、X100Vの解像度と比較してみました。

 以下に紹介した解像度チャートの写真は液晶画面で拡大して見て頂きますと、解像度の優劣がよくお分かりになると思いますが、この拡大作業はかなり面倒ですから、X100Vとその他4機種との対戦成績を「何勝、何敗、何引分」という形で、予めご紹介しておきたいと思います。

 ★X100V 対 X-T3

 モノクロ解像度は13戦、3勝、7敗、3引分

 カラー解像度は13戦、8勝、3敗、2引分

  ★X100V 対 X-T30

 モノクロ解像度は13戦、0勝、13敗、0引分

 カラー解像度は13戦、8勝、3敗、2引分

  ★X100V 対 X-Pro3

 モノクロ解像度は13戦、3勝、4敗、6引分

 カラー解像度は13戦、0勝、10敗、3引分

  ★X100V 対 GRⅢ

 モノクロ解像度は10戦、0勝、10敗、0引分

 カラー解像度は10戦、10勝、0敗、0引分

  ★X100V 対 4機種

 モノクロ解像度は49戦、6勝、34敗、9引分

 カラー解像度は49戦、16勝、26敗、7引分

 

 結局、X100Vはトータルで49戦しましたが、モノクロ解像度では、わずかに6勝、カラー解像度でも16勝しかできなかった訳ですから、ボディデザインの自慢はできても、画質の自慢はできないはずです。

 ですから、X100Vの開発担当者たちは、X100Vをどうやってデビューさせるか、困り果ててしまったのだと思います。それで、X100Vのような平凡なカメラを宣伝するには、非常手段に訴えるしかないと考えたのでしょうね。そして、変質者のようなスナップカメラマンにプロモーション動画の制作を依頼してしまったのだと思います。危険を十分承知の上で、危ない橋を渡ってしまった訳です。

 そういえば、X100Vの切り札的なキャッチコピーは「The One and Only, X100V」です。唯一無二のX100Vという意味みたいですが、もしかすると、私がお借りしたX100Vこそ、いわゆる個体差からたまに生まれる希な不良品、まさに、唯一無二の不良品だったことを、切に願います。

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    次の2枚の表でX100Vの対戦成績を確かめてみてください。上の表でモノクロ解像度、下の表でカラー解像度の対戦成績が分かります。

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 本来なら、開放絞りから最小絞りまで、全ての絞り値で撮った写真を紹介したかったのですが、かえって、退屈なレポートになるのではないかと思いまして、F2.8、F5.6、F8の3点で撮った写真だけ、ご紹介することに致しました。

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   ところで、リコーの GRⅢですが、評判通り、あの小さなボディからは想像できないほど、高い解像度を発揮してくれる名機です。ただし、感心させられるのはモノクロ解像度のみで、カラー解像度はバイヤーセンサー機の宿命か、お粗末すぎて全く評価できません。それで、GRⅢの愛用者はモノクロ写真に凝るのかも知れませんが、いずれ、バイヤーセンサー搭載のカメラからもカラー解像度の高いカメラが出てくると思います。キヤノンの新しいカメラを見ていると、その可能性を信じたくなります。


【投稿日(posted date)】2020年2月15日(February 15th, 2020)  

【投稿者(poster)】有限会社エイブイレポート社・avreport's diary(avreport.hatenablog.com)・編集長:吉岡伸敏(nobchan@din.or.jp)・副編集長:吉岡眞里子(marico@din.or.jp)/ AV REPORT Co.,Ltd.・avreport's diary・Chief Editor:Nobutoshi Yoshioka・Assistant Editor-in-Chief:Mariko Yoshioka