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avreport’s diary

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   キヤノンの35mmフルサイズ型ミラーレス一眼の第2弾「EOS RP」(2620万画素・2019年3月14日発売・時価155,999円・月産台数不明)の貸出機で2種類の解像度チャート(写真下)を撮ってみた。米国のApplied Image Inc 製のモノクロ解像度チャート「QA 77-P-RM」と電塾が考案・作成したカラー解像度チャートの2種類だ。

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モンクロ解像度チャート

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カラー解像度チャート

 2号機のEOS RPは1号機のEOS R(2018年10月25日発売)よりも、画素数が2620万画素 vs 3030万画素と少なく、また、値段も155,999円 vs 192,667円と安いので、解像度テストの結果は、当然、1号機、EOS Rの圧勝に終わるだろうと思っていた。そればかりか、1号機のEOS RPは格下と言ってもいい普及型のAPS-C一眼レフ、ニコンD5600 (2416万画素・67,700円) にも負けるのではないかと思っていたくらいだ。しかし、EOS RPは私の予想に反し、僅差だが、D5600よりも高い解像度を見せてくれた。

 もっとも、EOS RPは155,999円。それに対してD5600は67,700円。だから、EOS RPの方が綺麗に写って当たり前だろうし、両者の大きな価格差を考えたら、僅差の勝利ではなく、大差で勝たないと、本当は恥ずかしいと言った方がいいくらいだ。

 おまけに、私が買ったD5600の値段は実は67,700円でなく、46,000円だったので、コストパフォーマンスはD5600のほうがEOS RPよりも圧倒的に良いわけだ。しかも、EOS RPとD5600の画質の差は大差ではなく、僅差なので、これからカメラを購入する人たちは、フルサイズミラーレス一眼にするか、APS-Cミラーレス一眼にするか、あるいは、APS-C一眼レフにするか、フルサイズの一眼レフにするべきなのか、あと3年くらいは、悩み続けることになるかもしれない。

 ところで、僅差で勝敗を分けたのは何かだが、ずばり、ノイズが出るかどうかの差だ。解像度そのものについては、装着するレンズの違いによって、EOS RPよりもD5600のほうが高くなることがあるくらいなので、D5600のクオリティにも敬意を表すべきだと思うが、D5600にどんなノイズが出るかというと、モノクロ解像度チャートの縦のストライプのなかに気味の悪い横じまが出るという現象だ。ただ、このノイズはよほど注意して観察しないと見落としてしまうくらいの僅かなノイズなので、EOS RPに解像度の低いレンズをつけて撮ると、D5600よりもお粗末な写真に見えてしまうこともあるはずだ。

 念のため、同じようなタイプの横縞のノイズは富士 フイルムのAPS-C型ミラーレス一眼の高級機、X-T3にも見られるが、原因は同じだろう。多分、イメージセンサーの大きさがフルサイズカメラよりも小さく、従って、ダイナミックレンジがフルサイズカメラよりも狭いからではないだろうか。もし、そうだとしたら、APS-Cマイクロフォーサーズタイプのカメラはある時期から突如として競争力を失うことになるはずだ。

 なぜなら、初心者はセンサーサイズが小さいというハンディを克服して、ノイズのない綺麗な画面を作る専門的知識を持っていないからだ。もちろん、APS-Cマイクロフォーサーズのカメラは小型軽量タイプが多いので、一見、初心者向きと思われがちだが、それは間違いだろう。初心者にとっては、誰が撮っても、どこで撮っても、光をたっぷり取り込めるフルサイズのイメージセンサーを搭載したカメラのほうが、使いやすいと思われるからだ。

 しかしながらだ。

 フルサイズのイメージセンサーを搭載したカメラのなかで、初心者が使えそうなカメラは残念ながら、現実には、まだ、どこにもない。ミラーレスタイプにも一眼レフタイプにもない。どれもこれも、重すぎて、しかも値段が高すぎるからだ。

 下の表はEOS RPの解像度テストのついでに作成したカメラとレンズの組合せ表だが、どう組み合わせても、軽くて、値段の安い組み合わせを見つけることができないではないか。それで、ふと思ったわけだが、もう、カメラメーカーには優れた頭脳を持った経営者やエンジニアがいないのではないのか、と思ってしまったくらいだ。

 3年ほど前、グーグルは優秀なエンジニアをスカウトするとき、支度金として5000万円用意すると聞いて驚いたことがあるが、もっと凄い話を最近聞いた。あのファーウエイの話だが、5Gで世界制覇を狙っているという中国のファーウエイはエンジニアのスカウトのために億単位の支度金を用意しているそうだ。としたら、日本のカメラメーカーから優秀なエンジニアがドンドンと、そして、ゴッソリと、いなくなってもおかしくないわけだ。そして、人手不足倒産の代わりに、エンジニア不足倒産という言葉が流行語になる日も遠くないぞ、と思った次第だ。

 

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カメラの重さはレンズつけて1kg未満にしてほしい。

 さて、肝心の解像度テストの結果だが、カメラとレンズの組み合わせを変えて、モノクロ解像度チャートとカラー解像度チャートを、それぞれ8枚ずつ撮影して、解像度の低いものから順番に紹介していくことにした。

 紹介する順番でちょっと迷ったのはノイズが出るD5600とNIKKOR 18-55mmの組合せで撮った写真の順番をどうするかだが、解像度そのものは、そこそこあるので、ノイズには目を瞑って、上から4番目、下から5番目に入れることにした。

 8枚の写真のなかで最も解像度の低かったのは、EOS RP+RF24-105mmの組合せだ。以前、EOS Rのテストをしたときも、RE24-105をつけて撮った写真はあまり綺麗でなかったので、RF24-105はアマチュアにはハードルの高いレンズなのかもしれない。EOS RP+RF24-105mmの組合せより少し良いのはEOS RP+RF35mmの組み合わせ。そして、3番目がEOS RP+RF50mm、4番目がD5600+NIKKOR 18-55mm、5番目がEOS R+RF24-105mm、6番目がニコンZ6+NIKKOR Z 24-70mm、7番目がEOS R+RF50mm、8番目(最高)がニコンZ7+NIKKOR Z 24-70mmの組合せだ。なお、カラー解像度チャートの写真を並べる順番はモノクロ解像度チャートと同じにした。

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EOS RP+RF24-105mm

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EOS RP+RF35mm

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EOS RP+RF50mm

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ニコンD5600+NIKKOR 18-55mm

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EOS R+RF24-105mm

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ニコンZ6+NIKKOR Z 24-70mm

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EOS R +RF50mm

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ニコンZ7+NIKKOR Z 24-70mm

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EOS RP+RF24-105mm

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EOS RP+RF35mm

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EOS RP+RF50mm

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ニコンD5600+NIKKOR 18-55mm

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EOS R+RF24-105mm

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ニコンZ6+NIKKOR Z 24-70mm

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EOS R+RF50mm

 

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ニコン Z7 +NIKKOR Z 24-70mm

【投稿日(posted date)】2019年3月11日(March 11th ,2019)  

【投稿者(poster)】有限会社エイブイレポート社・avreport's diary・編集長:吉岡伸敏(nobchan@din.or.jp)・副編集長:吉岡眞里子(marico@din.or.jp)/ AV REPORT Co.,Ltd.・avreport's diary・Chief Editor:Nobutoshi Yoshioka・Assistant Editor-in-Chief:Mariko Yoshioka