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avreport’s diary

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   リコーのGRⅢ と富士フイルムのX-T30の画質が非常に良いという、もっぱらの評判なので、当編集部でも、遅ればせながら、両機の貸出しをお願いして、解像度チャート(写真下)を撮ってみた。お馴染みの米国・Applied Image Inc 製のモノクロ解像度チャート「QA 77-P-RM」と電塾が考案・作成したカラー解像度チャートの2種類だが、今回のテストでは、GRⅢ と他のカメラ(8機種)の解像度をじっくり比較して頂くために、テスト撮影の結果を、GRⅢ vs GRⅡ、あるいはGRⅢ vs X-T30というふうに、対決させるような形で左右に並べてお見せすることにした。

 今回、比較のために選んだカメラは計8機種。➀リコーGRⅡ(GRⅢ の1世代前の機種)➁キヤノンEOS Kiss M➂ニコンD5600➃富士フイルムX-T30➄ニコンZ6➅キヤノンEOS RP➆キヤノンEOS R➇ニコンZ7の8機種だ。

 なお、左右に2機種ずつ並べた写真の左側は全てGRⅢ にしてあるので、比較に要する時間が短くなるはずだ。

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モンクロ解像度チャート

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カラー解像度チャート

 解像度テストに使った機種は下表の通り。

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 今回の解像度テストで最も衝撃的だったのは新製品、GRⅢの素晴らしさではなく、1世代前の姉妹機、GRⅡの画質があまりにもお粗末だということが、ばれてしまったことだ。

 そういえば、数年前に似たような経験をしたことがある。2015年5月のことだが、ニコンが1インチセンサーを採用したNikon1 J5(2081万画素ミラーレス)を発売したときのことだ。

 当時、私が取材用のカメラとして使っていたのは、J5より画素数の少ないAPS-C一眼レフのニコンD7000(1620万画素・2010年10月発売)だったが、画素数が少なくても、センサーがJ5 よりも大きいので、 画質は、当然、D7000のほうが上だろうと信じきっていた。そして、デジカメは1600万画素あれば充分だとも思っていた。ところが、解像度チャートを撮って、両者の解像度を比較してみると、J5 vs D7000の対決結果はD7000の惨めすぎる完敗だった。

 というわけで、カメラの画質評価に先入観は禁物だということを痛感し、以降「デジカメは〇〇〇〇万画素あれば充分」なんてバカなことも言わなくなったわけだが、残念なことに、写真業界の多くの専門家たちは、今もなお、画質の良し悪しには、まるで無関心だ。例えば、カメラ記者クラブ主催のカメラグランプリに選ばれるカメラの解像度をチェックしてみれば、画質に対する専門家たちの関心の薄さがよく分かるはずだ。

 さて、今回のテスト結果だが、GRⅢのカラー解像度はベイヤータイプの宿命とも言えるので、とても合格点をあげられるレベルではないが、モノクロ解像度の高さは、世間が褒めちぎる通り、確かに素晴らしいと、私も思う。

 例えば、GRIII vs GRⅡの姉妹対決では呆れるくらいの大差でGRⅢの圧勝だ。そして、キヤノンのベストセラーモデル、EOS Kiss Mとの対決でも、カラー解像度はやや見劣りするが、モノクロ解像度では、やはり圧勝だ。

 しかも、勝利はまだ続く。結論から先に言ってしまうと、比較した8機種のうち5機種に勝って勝率は6割2分5厘。GRⅢに勝ったのは画素数がGRⅢ(2424万画素)よりも多いX-T30(2610万画素)、EOS R(3030万画素)、Z7(4575万画素)の3機種だけだが、GRⅢが勝利した5機種のなかにも画素数がGRⅢを上回るカメラが2機種もあるので不思議だ。その2機種はニコンZ6(2450万画素)とEOS RP(2620万画素)だが、この2機種はセンサーサイズもGRⅢを上回っているので、本当に不思議だ。

 なぜ、この2機種がGRⅢに負けたのかよく分からないが、センサーを酷使する複雑な画像処理が必要な多機能カメラより、センサーの能力をフルに引き出すことができるシンプルな機能のカメラの解像度の方が高くなるような感じはする。

  最後にGRⅢとX-T30をテストしての感想だが、あと1年で2400万画素の時代は終わり、3000万画素が当たり前、できれば5000万画素が欲しいという人が増えてくるような気がする。 

 センサーサイズについては、ノイズの出やすいAPS-Cからフルサイズに移りつつあるようだが、APS-Cのコンパクトさは捨てがたい魅力があるので、ノイズの発生は画像処理でクリアして、フルサイズに対抗してもらいたいなと、個人的には思っている。 

 以下はテスト撮影の結果。

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【投稿日(posted date)】2019年3月31日(March 31 ,2019)  

【投稿者(poster)】有限会社エイブイレポート社・avreport's diary・編集長:吉岡伸敏(nobchan@din.or.jp)・副編集長:吉岡眞里子(marico@din.or.jp)/ AV REPORT Co.,Ltd.・avreport's diary・Chief Editor:Nobutoshi Yoshioka・Assistant Editor-in-Chief:Mariko Yoshioka