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avreport’s diary

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 富士フイルムがフォトキナ2018向けに発表したカメラの新製品、APS-Cミラーレス一眼、X-T3(2610万画素)と中判ミラーレス一眼、GFX 50R(5140万画素)の解像度をチェックした。そして、もう1機種、コンセプト発表という形でフォトキナ2018の前日に発表された1億200万画素のGFX 100 MEGAPIXELS(価格は1万ドルくらいで2019年前半の発売)の試作機で撮った動画の集合写真もちょっと紹介しよう。こちらは解像度チャートでチェックしたものではないので、言うまでもなく、厳密な画質評価が目的ではないが、世の中には、もしかすると、このコンセプトモデルを凌ぐような、もの凄く高い解像度をもったカメラがとっくの昔から存在したと思わせるような集合写真もついでに紹介しておこう。昭和5年岡山県の津山高女で撮られた全校生800人の集合写真だ。

  まず、1億画素の集合写真を3枚見て頂こう。いずれも、動画から切り出したプリントだ。そして、参考資料として、今年のCP+2018の企画写真展「後世に遺したい写真」で紹介された岡山県津山高女の集合写真も見て頂こう。昭和5年に全校生徒800人を津山城に集めて撮った記念写真だ。撮影したのは、いまも現存する1873年創業の津山市・江見写真館。一人一人は豆つぶにしか見えないが、画面にタッチして拡大して見て頂くと800人全員の顔が識別できるはずだ。撮影に使われたカメラは8✖️10よりも大きかったそうだが、画素数は1億画素どころではなかったかもしれない。昨今はフルサイズミラーレス一眼にメーカーもユーザーも夢中になっているが、ニコンキヤノンのフルサイズミラーレス一眼とレンズはあまりにもコスパが悪すぎるので、来年辺りから、大中判フイルムカメラの見直し機運がもしかすると撮影分野によっては高まってくるかもしれない。

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全員が写っている。動画からの切り出しなのに、よく写っているが、昭和5年に撮られた津山高女の集合写真には全校生徒800人が写っている。

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上の写真の一部をトリミング。

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さらにトリミング。GFXの開発を担当している商品企画の大石氏の顔をアップ。

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岡山県津山高女の全校生800人が写っている。私が小学校に入学したときの集合写真も一人一人の顔が識別できるが、高校の同窓会などで撮ってもらった最近の集合写真はなぜか顔が識別できないことが多い。カメラが悪いのか、カメラマンの腕が悪いのか、よく分からないが、フイルムで撮ってくれよと言いたくなるくらいだ。

 

   GFX 50SとGFX 50Rの解像度を比較

 

  続いて、GFX 50Sと新発売のGFX 50Rの解像度を比較してみた。富士フイルムの説明によれば、イメージセンサーもイメージプロセッサーも同じものを使っているので、画質はまったく同じとのことだが、比較してみた結果は同じではなかった。どんなに精密な工業製品にも個体差があるからだと思うが、貸出機のメンテナンスが悪いと、同じ製造番号のカメラとレンズを使っても、同じ結果が出ないことはよくあることだ。ただし、50Sと50Rのテスト撮影の結果が違った原因がどうなのかは、よく分からない。

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GFX 50S F4   ISO100   JPEG   レンズ63mm

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GFX 50R F4   ISO100   JPEG   レンズ63mm

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GFX 50S F4   ISO100   JPEG   レンズ63mm

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 GFX 50R F4   ISO100   JPEG   レンズ63mm

 

 X-T3とX-T2、X-H1、ニコンD5600、ニコンZ7の解像度比較

 

  X-T3が搭載しているX-Trans CMOS という富士フイルムしか使っていない独特のイメージセンサーは、同社によれば、他社が一般的に使っている、いわゆるベイヤーセンサーの1.5倍に相当する解像度を有しているそうなので、2610万画素のX-T3は3915万画素のベイヤーセンサー搭載機に匹敵する解像度を有しているわけだ。また「他社の4000万画素クラスとも比較してみたが、遜色のない解像力があるという実験結果が出た」という説明もあった。勿論「APS-Cはフルサイズより優れている」と富士フイルムが言っているわけではないが「APS-Cでも素晴らしい写真が撮れるので、必ずしもフルサイズは必要ないだろうし、だから富士フイルムはフルサイズミラーレス一眼を作らないのです」という説明もしている。しかし、個人的には、富士フイルムもできるだけ早くフルサイズミラーレス一眼の土俵に上って勝負すべきだと1年ほど前から思っている。もし、フルサイズがどうしても嫌だというなら、X-Trans COMSの画素数を3000万画素以上にパワーアップして、4500万画素とか5000万画素のフルサイズベイヤーセンサーに対抗するしかないと思うが、ただ、高画素化によって偽色やノイズがさらに増えることにはならないだろうか。実は個人的な素人の感想だが、X-T1(1630万画素)がデビューした当時はあまり感じなかった偽色やノイズの多さが、X-T2(2430万画素)にバージョンアップしてから、とても気になるようになった。もし、かりにX-Trans CMOSセンサーの大型化や高画素化に限界があるのだとしたら、そろそろ、イメージセンサーの根本的な見直しも必要かもしれない。というのは、GFXシリーズのセンサーをご自慢のX-Trans CMOSではなく、平凡なベイヤーセンサーに切り替えてしまったからだ。この事実を知ったとき、とても残念に思ったが、GFXのセンサーをX-Trans CMOSにしなかったのは「5000万画素を越えたら、ベイヤーセンサーでも充分な解像度が得られるから」と、富士フイルムが考えているからだ。としたら、富士フイルムはもうAPS-Cサイズにも、X-Trans CMOSセンサーにも拘る必要はまったくないということになるわけだ。ただ、問題は「5000万画素を越えたら、ベイヤーセンサーでも充分な解像度が得られる」という富士フイルムの説明を鵜呑みにしていいかどうかだ。当ブログの読者なら、GFX 50Sのカラー解像度はX-T1やX-T2のカラー解像度よりも悪いということを既にご存知だろう。富士フイルムは判断が非常に難しい岐路に立たされているのではないだろうか。

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X-T3(2610万画素)  F4  ISO100  JPEG  レンズ35mmF1.4

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X-T2 (2430万画素) F4  ISO100  JPEG  レンズ35mmF1.4

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X-H1(2430万画素)  F4  ISO100  JPEG  レンズ35mmF1.4

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ニコンD5600(2416万画素)  F4  ISO100  JPEG  レンズ NIKKOR 18-55mmF3.5-5.6G VR

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 ニコンZ7(4575万画素)   F4  ISO100  JPEG  レンズNIKKOR Z 24-70mm f/4 S

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 X-T3 (2610万画素) F5.6  ISO100  JPEG  レンズ35mmF1.4。X-T3、XーT2、X-H1のカラー解像度は中判5140万画素のGFX 50SやGFX 50Rよりも高い。勿論、ニコンのエントリーモデル、D5600やフルサイズミラーレスのZ7よりも高い。

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 X-T2(2430万画素)  F4  ISO100  JPEG  レンズ35mmF1.4

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 X-H1(2430万画素)  F4  ISO100  JPEG  レンズ35mmF1.4

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 ニコンD5600(2416万画素)  F4  ISO100  JPEG  レンズ NIKKOR 18-55mmF3.5-5.6G VR。エントリーモデルだから、この程度のカラー解像度でも我慢できるだろう。

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 ニコンZ7(4575万画素)   F4  ISO100  JPEG  レンズNIKKOR Z 24-70mm f/4 S 。カラー解像度のお粗末さはとても40万円以上するカメラとは思えない。

                   

 富士フイルムAPS-CやX-Trans CMOSに拘らず、できるだけ早くフルサイズミラーレスに参入すべきだと思うようになったのは、Xシリーズの偽色やノイズが気になりはじめたからだけではなく、モノクロ解像度がニコン850やZ7は勿論、画質にまったく拘りがないように見えるソニーのα7シリーズでさえ、富士フイルムのXシリーズを凌駕するようになってきたからでもある。X-T3のモノクロ解像度はニコンのエントリーモデル、 D5600とあまり変わらないが、これはかなり恥ずかしいことだ。

 もう既に、色んなYouTuberたちが、フォトキナの新製品に尤もらしい解説を加えているが、納得できないのは、彼らが画質については、まったく触れることなく、例外なく、ソニーの瞳AFを褒めちぎっていることだ。像面位相差AFのために使うイメージセンサーの画素数を増やせば、AFが速くなり、瞳AFの性能が上がるのは当たり前のことだが、像面位相差AFのための画素数を増やせば、画質が悪くなることに、彼らは触れていない。勿論、ネット上で像面位相差AFと画質の相関関係について調べてみると、画質が低下するという問題はすでに克服されたという記述も見かけるが、最新のカメラをチェックしてみても、克服された気配はまだない。像面位相差の画素数を平気で増やすことができるのは、画質に鈍感なメーカーか、画質を犠牲にしてもAFの早さや瞳AFの性能を上げたいというメーカーだけだ。

 以下はフォトキナ2018の期間中に富士フイルムが開いてくれたカメラの新製品の説明会の詳報。ICレコーダーに録音した話し言葉を文章化したものなので、分かりにくい部分が沢山あると思うが、許して頂きたい。なお、この説明会では、カメラの説明の他に、カメラ・レンズのデザインとフジノンレンズの優秀さを生かした新規参入のプロジェクターの説明もあったが、長くなるので、今回は光学・電子映像事業部・商品企画の上野隆氏によるカメラの説明だけを紹介することにした。

                  

 上野「まず、9月6日に(東京で)発表させて頂きましたX-T3について、もう一度おさらいし、そのあとファームアップで追加する新機能についても簡単に説明させて頂きます。これは何度も皆さんにお見せしている我々のカメラのシステムがフォローする被写体の分布、対応図(省略)です。

 Xシリーズは大体このようなスナップから鉄道写真、ポートレート、スポーツなんかをカバーしているカメラでありますが、より高速、高性能へということで、日々、我々、努力をしている最中でございます。  

 この図の縦軸は解像度を要求するものでして、横軸がいわゆる高速性、高性能、パフォーマンスを要求するジャンルに当りますが、やはりネイチャーの一部、そして、コマーシャル、ファッション、こういったところは、より解像力が必要ということで、我々、GFXシステムでカバーしているわけです。よく、サンドイッチ戦法ですねと言われますけど、APSとミディアムフォーマットで両方を挟んで全領域をカバーしていこうというのが、我々、富士フイルムの方針です。

 まず、Xシリーズはジャンル別にこのような棲み分けになっています。スポーツのフラッグシップとしてはX-H1、ストリートスナップレンジファインダースタイル系、スタジオ、コマーシャルは中判のGFXという棲み分けです。それと、今回のX-T3も含めて、トラベル、ランドスケープと一部のスポーツはTシリーズ。そして、エントリーレベル、初心者の方、もしくはカジュアルに写真を楽しんでいる方向けにAシリーズがあるというようなラインナップになっています。

 X-T3はT1から数えて3代目になります。まず最初に、先日、9月6日にも説明させて頂きましたが、とにかく、この3つが組み合わさったものがXシリーズですと言っても過言ではありません。まず、どうしても小型軽量を追求します。ここは外さない領域として、一番、我々が大事にしているところです。

 これはフジノンレンズです。皆様にはもう釈迦に説法になりますので、細かくは説明しませんが、テレビ、シネマ、そして産業用途、勿論、今回発表したプロジェクター、車載、様々なジャンルにフジノンというブランドのレンズが採用されております。ご存知の通り、フイルムの時代、35mmは当然のこと、中判カメラ、そして大判用レンズ、SCMフジノンがありました。勿論、8×10のイメージサークルをもっているレンズもありました。ありとあらゆるフォーマット、35mmだけではなく、ありとあらゆるフォーマットに対応してきた、かなり希有なレンズブランド、これがフジノンです。それゆえ、非常に光学設計に対する知見、こちらが充分に高いものがあると認識してしています。

 そして、何よりも色再現、80年以上の歴史をもつフイルムメーカーとして、カメラというデバイスだけではなくて、中身である色再現。かつてはフイルムでやってきましたが、それをいまはデジタルで色再現をつくっているということで、この3つが合わさっているからこそ、Xシリーズ、またはGFXの特徴が際立っているというふうに我々は考えております。

 先ほど言いました最も重視したいと言っている小型軽量ですが、例えば、一般的なアマチュアさんとかが欲しがるシステムは何って考えたとき、まず単焦点の明るいレンズ、35mm、50mm、85mm、このF1.4クラス。それと、いわゆるズーム。F2.8とかそのくらいの24-70mm、70-200mmに相当するもの。我々ですと、こういうラインナップになります。これらの重さをフルサイズ版と比べます。実測するために、フルサイズのものを全部買って実測しました。やはり、2kg以上の差が出ました。この2kg以上の差があるものを持って、1日何10kmも歩かないといけません。これがフォトグラファーです。こうなったときの身体への負担ですとか、勿論、金銭的負担も凄く大きい。この二つで倍以上の金額差があります。そういったものを考えますと、先ほど、ちょっとイギリスの某報道メディアさんと会いましたけど、やっぱり、報道の現場でも、いま、小型軽量が求められています。とにかく、少しでも軽いカメラが人気なんだという話をされていました。そういった意味でも、この小型軽量はAPSフォーマットを採用するXの最大のメリットだと思っていますので、これからも追求していく予定です。

 そのレンズラインナップですが、現在、31本のXマウントのフジノンレンズがあります。レンズ交換式を始めて丸7年。2012年の1月にPro1を発表していますので、そこから駆け足でここまで揃えてきましたが、さらに、先日、3本のロードマップを発表しております。もう、ほぼ撮れないものはないという領域に差し掛かってきたと思います。そして、何より、注目して頂きたのはシネマ用のMKX(レンズ)です。Xマウントでシネマレンズというのをいち早くラインナップしたメーカーです。やはりレンズの富士フイルム、レンズのフジノン、というところを是非ご認識頂ければと思います。

 で、X-T3ですが、まずシステムが第4世代に移行しました。Xシリーズ史上最高のパフォーマンスを誇ります。最もその恩恵を被っているのがオートフォーカス、もしくは連写、バーストシューティング、それに連動するファンダー性能、というふうに考えております。

 そして、世界的に、ホント、驚かれている物の一つがやはり動画性能です。一気に4K60P、10bit、4:2:2、しかも、4K30Pまでですと、今度はオール・イントラフレームですとか、とにかくプロのニーズを徹底的に汲み取って、本格的な映画でも撮影できるレベルにまで達しているというふうに思っています。

 で、Tシリーズというのは、T1、T2、T3の写真にも見える通り、基本的に変えないことが最も重要なコンセプトだと、我々、思っていますが、実は操作性などは写真家のご意見を取り入れて、非常に多くの操作性改善を行っています。

 第4世代のデバイスの最もメインとなるのは、このセンサー(X-TRANS CMOS 4)とプロセッサー(X-Processor 4)です。何よりも、銅配線裏面照射型センサーはAPS-Cでは初となります。裏面照射オンリーですと、実は数年前にサムスンさんのカメラが発売になりました。日本では導入されませんでしたが、28メガピクセルのカメラがありました(編集部注:2014年秋に発売されたAPS-Cのミラーレス一眼、Samsung NX1)。

 でも、あれは通常のアルミ配線ですので、銅配線裏面照射のAPSでは世界初となります。画素数は2610万画素。基準感度を160まで下げています。フイルムから馴染みのある方は感度160といったら、やっぱり、富士のプロネガだよね、というところがお分かり頂けるかと思います。

 そして、位相差は全面位相差です。60Pが出るということは、当然、1コマ、1コマの各シャッターが短いということですから、ローリング歪みのない、動くものを動体で撮影したときにも、対応できます。勿論、60Pで撮って、24Pで再生すれば、2.5倍スローが4Kで撮れます。この辺が動画のクリエイティビティを非常に上げていると思います。

 プロセッサーですが、4コアです。クアッドコアで、処理速度が約3倍、高速化されています。RAWは16 bit処理の14 bitです。この高速化されたプロセッサーのおかげをもちまして、カラークロームエフェクト、これがダイレクトに気軽に撮影できるようになりました。GFXに初搭載しましたが、どうしてもプロセッサーに負担がかかる処理ですので、ブラックアウト処理が長い、連写で使えない、色んな制約があって、大体、カラークロームエフェクトを使う方はは、あとからカメラ内RAW現像でカラークロームエフェクトをかけるという作業を強いられていましたが、X-T3は直撮、連写でも大丈夫です。

 また、新世代のコーデックであるH.265に対応していますので、同じ画素数で撮りますと、ファイルサイズは半分で済みます。非常に高圧縮、高効率なコーデックを採用しています。で、先ほど申しましたように、4:2:2 10 bitという非常に表現領域の広いビットレート、10 bitをようやく実現しました。X-H1を出したときにも、かなり、ご好評を頂きましたが、やはり最後に、ビットレートが8 bitというところだけが、特にポストプロセスをやった場合の破綻が大きいということを言われてました。ま、プロセッサー上、どうしても10 bitができなかったものですから、X-T3は端から10 bitを前提に開発に取り組みました。

 これがX-Trans CMOS 4センサーの構造図です。裏面照射になったことで、具体的なメリットと致しましては、(構造図の)三角形をまず見て頂くと横に広がっているのが分ると思います。入射角が広がりますので、周辺の感度が上がります。結果、持ち上げる必要がなくなりますので、ノイズが下がるというようなメリットがあります。

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 もう一つは大口径レンズです。33mm/F1.0を、我々、ロードマップ発表させて頂いていますが、こういったものは非常に光を受け取りやすくなるということが言えるかと思います。

 これはXフォトグラファーが撮ったAPSでの写真(省略)です。我々のブースの作例コーナーをご覧になれば、これがAPSで撮れるんだと、そしてAPSって凄いんだっていうのが、すぐに分ると思います。

 色んなジャンルの写真が撮れるようになりました。特にオートフォーカス、位相差のカバー率が完全に100%になりました。位相差画素の数のみで216万画素があります。低輝度性能はいままでよりもさらに2段上がりまして、-3EVまで行っております。

 シングルポイントAF。シングルポイントってのは一番小さいやつなんですけど、あれを標準サイズでやると、実は1個のセンサーではなくて、あれを今回、240分割して検出しています。X-H1のときに60というお話をしましたが、さらに4倍、処理量を多くして、オートフォーカスを高速化しています。演算速度が上がっています。

 また、顔認識、瞳認識の精度もいままでの倍くらいの精度を誇るようになっていますので、充分、実践で使える瞳AF、顔認識が実現できています。あと、こちら(瞳AF)はコンティニュアスモード、AF-Cでも機能するようになっています。

 また、位相差画素の露出とスルー画の露出を分けて設定することができる仕組みになっています。その結果、低輝度でも、絞り込んだときにでも、位相をちゃんと検出して、精度の高いオートフォーカスを実現するようになっています。

 続いて、ファインダー性能です。電子シャッターを、今回、使用しまして、1.25倍、クロップします。画素数的には1600万画素くらいになりますが、そうすることで、最速30コマのブラックアウトフリー連写が可能になります。また、そのときのローリングスピードは1/60秒と非常に高速化されます。例えれば、X-H1は1/30秒でしたので、クロックにはなりますが、その倍のローリング速度で撮れますので、かなり動体を撮っても、あまり嫌な歪みにならないと言えるかと思います。

 また、プリ撮影機能と言いまして、シャッターボタンを半押しした段階から記録をもう始めてしまいます。当然、そのままやっていると、バッファが一杯になっちゃいますので、ある程度経ったものから捨てていきます。  

 で、今だって言うときにシャッターを切ったそこから遡って、例えば30コマ連写の場合だったら20コマ分を保存してくれます。そういう仕組みになって、シャッターチャンスが若干遅れたと思っても、画像が残っているということで、スポットグラフィー、もしくは鳥の撮影をされている方などから望まれていた機能をようやく積むことができました。  動画性能は繰り返しになりますが、4:2:2 10bit 4K60P、ダイナミックレンジは約12段になります。高速ローリングシャッターと高感度性能、そしてオール・イントラフレーム記録。あまり変化のない動画ですと、いままでの、いわゆるロング・グループ・オブ・ピクチャー、ロングジーオーピー(Long GOP)と呼ばれている記録方式でまったく問題ないです。そちらの方がファイル容量的には少なく済みますが、いわゆるポストプロセシングが多い、後処理の多い本格的な撮影になってきますと、オール・イントラフレームが望まれるようになりますので、こちらに対応したというふうにお考え下さい。で、それを象徴するかのように、ハリウッドの著名な撮影監督のマシュー・リバティーク(Matthew Libatique)さんに短編のスリラー映画を、全編、X-T3で撮って頂いてますので、是非、ホームページでご覧頂ければと思います。マシュー・ リバティークさんはブラック・スワンとかアイアンマンの撮影監督を務めたことでも有名で、ハリウッドを代表する撮影監督のお一人です。

 その他の機能を紹介します。まず、デジタルマイクロプリズムです。70年代、80年代の一眼レフのスプリットイメージの周りにあったマイクロプリズムです。あれをデジタルで再現したマニュアルフォーカスアシスト機能です。こういったものを搭載したりですとか、もう一つはオート・ホワイトバランス・ロックという機能です。これはホントに私たちの肝いりで搭載したものですけど、特にこういう窓際からの自然光、反対側、部屋からはタングステン球。完全にミックス光状態ですね。このときのオートホワイトバランスの設定値というのが富士フイルムが一つ誇っている機能なんですが、これは実はマニュアルでケルビンを設定して、さらにそこから色のバランスに入って、グラフをいじってやっても届かない領域まで行くんです。ただ、その領域ってのは、オートホワイトバランスにしかその領域まで行ける機能がありません。普通、オートとマニュアルの違いというのは、自動でやるか手動で設定できるかで、結果をイコールにできるというのは、オートかマニュアルかだと思うんですが、これはオートでしか行かない領域、なぜなら、ハードウエア、プロセッサーにそういう機能を持たせてやってますので、ソフトウエアだけでは行かないんですね。そこのメニューでやっている分では無理っていうところまで行ってるんで、ここのバランスが良いんですが、ただ、こういうシチュエーションを撮ったことがある方ならすぐ分ると思うんですけど、やっぱり、この二人をもう少し左側に置きたいといってカメラを振ると、当然、ミックスの割合が変るんですよ。そうすると、ここで丁度少し赤みがかぶった絶妙なバランスなのになと思ったときに、もっと赤くなっちゃうとか、逆に窓際に行ったら、もっとデーライトになっちゃうというふうに変っていっちゃうんですね。なので、このホワイトバランスを維持したまま、アングルを変えたいんだというのがやりたくて、オートホワイトバランスをそこで決めて、ここだって言うときにロックをかける、そうすると、そのあと、アングルを自由に振れます。これがオートホワイトバランスロックの最大の強味です。

 次にファームウエア・アップデートに行きますが、HDRです。エテルナ(ETERNA)をベースにHDRの画像設定をできるようにしました。ノーマル比680%という高ダイナミックレンジの映像表現が可能になります。  

 その他、ファームアップを年内に検討しておりまして、まずはF-log撮影とフイルムシミュレーションを同時出力します。これもビデオグラファー、シネマフォトグラファーから非常に要望されていたことで、これを達成します。それと、現在、ちょっと我々のシステムの関係上、1ファイル4ギガに、一旦、ファイルが分割するという事象がありますが、これを改善して、連続で1ファイルに対応するように致します。

 それ以外に、X-H1につきましては、光学手振れ補正機構レンズとシンクロさせて、協調制御をできるようにするということと、あと、急激にカメラを振った場合にISがちょっとカタつくという現象がありましたので、それを直しました。補正は、大体、最大で5.5段から5段まで。いまの現状では、レンズ内手振れ補正が入っているものの段数は、そこでストップされてしまいます。上の白い字で書かれている段数ですが、それが協調制御することで、夫々のレンズで5段以上という数字が達成できることになります。X-T3については以上です。

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 引き続きまして、GFXの説明です。これがGFXの領域が大きく拡大していきす。   

 我々、富士フイルムのカメラというのは1948年のFUJICA SIXに始まりまして、様々なフォーマット、様々なカメラを作って参りました。そのなかでも、やはりレンジファインダーというのが、例えばGWシリーズであったり、GA、GFって、皆さんにも馴染みのあるカメラはずっとレンジファインダースタイルでした。なので、我々のファーストXもレンジファインダースタイル、しかも光学ファインダー搭載でX100、続いてレンズ交換式ということでX-Pro、どちらもレンジファインダースタイル、そして3番目の機種もX-Eということで、光学ファインダーこそないですが、ファインダー位置、カメラのスタイルを含めて、レンジファインダー型で作って参りました。それをいよいよGFXにも搭載ということで、レンジファインダースタイルGFX、これがGFX 50Rでございます。

 先ほど、Xのときにも言いましたが、中判デジタルでたったのボディ775gということで、非常に小型軽量な中判カメラに仕上がってます。先ほど、ビデオを見て頂いたように、スナップ、ポートレートの世界では、発表と同時に写真家から大歓迎のメールが続々と私どものところに届いております。

 性能的には、GFX 50Sとまったく一緒になりますので、特にここでとりたてて言うことはありませんが、先日発表しましたCapture One対応はミディアムフォーマットでは初かと思います。 ということで、いままで写真家の方からGFX 50Sを大変褒めて頂きましたが、ただやっぱり、普段のワークフローがCapture Oneであるとか、場合によっては、他社さんのフルサイズシステムと併用するとか。カメラが変ったせいで、ソフトウエアまで変えなきゃいけない。これは非常にプロのワークフローにはマイナスになりますので、そこを統一したいということで、一種のハードルになっておりましたが、そこをこのCapture Oneがブレークスルしてくれるというふうに我々は期待しています。一方、当然、AdobeさんのLightroomも今後も対応していきますので、これでソフトウエアに対する我々の心配はだいぶなくなった、というふうに考えております。

 新機能としましては、ハードウエア的にはBluetoothが入ったことや、USBが3.0になったことなどがあるかと思います。背面LCDは3方向ではなく、2方向です。重さとコンパクトを優先しました。ファインダーはパネルは一緒なんですが、ファインダー倍率が若干下がって0.7になっています。露出補正ダイアルはGFX 50Sとは異なり、アナログのメカニカルダイアルになっております。十字キーは廃止して、X-Eのコンセプトで作っておりますので、非常にスッキリして、グリップの良い背面をデザインしております。

 これがCapture Oneです。ちょっと複雑なんですが、テザー撮影までフルに対応するのはCapture One Pro。他社さんのカメラも含めて対応するのはCapture One Pro。富士フイルムだけで良いよというのであれば、Capture One Pro FUJIFILMをお使い頂ければ、フルスペックでCapture Oneが使えます。また、テザーはやりませんと、RAW現像だけですという方はこちらのCapture One Express FUJIFILM、こちらは無料になりますので、こちらを使って頂ければと思います。こちらの方はハイエンド機のみならず、すべてのXシリーズに対応しております。まだ、現時点ではフイルムシミュレーション現像には対応してませんで、こちらはCapture Oneのファームアップで、後日、対応すると聞いております。

 こちらが2018年度のGFXシステムになります。50Rは小型軽量、薄型のレンジファインダースタイル、50Sは大型グリップ、着脱式EVF、あと、アクセサリーが充実しています。 また、主にスタジオでクレーンですとか、三脚に載せて、固定して使うっていうときは、GFX 50Sはバッテッリーがサイドスロットになっていますので、三脚から外す必要がありませんが、50Rはなるべく端にはやったんですが、大きな雲台を使うと、もしかしたらバッテリーチェンジに干渉するかもしれませんので、そういったのを考えても、屋外に積極的に持ち出す50R、システムカメラとして考え抜かれた50Sということで、同じ性能でも使い分けられるというのが我々の考え方でございます。

 なんで中判カメラなのかと、よく訊かれます。これだけ発表しているのに、まだ訊かれるのでビックリします。で、フルサイズはやらないんですかって訊かれますけど、ここまで説明をしても、まだ訊かれるのか、ってところがありますが、やはり我々としてはイメージクオリティと言いますか、何よりも画づくりですね。我々、最近、特に思うのは違いですか。よく、中判と35ミリフルフレームの違いは何ですかと。フォーマットの違いで、被写界深度とかっていうのが、よく言われていますけど、やはり画角を合わせちゃうってことが、ちょっと違うんじゃないかなと、逆に我々思ってまして、レンズの表現力って、焦点距離に依存するところって、実は凄く多くて、それが長焦点になればなるほど、変ってくるんですね。なので、よく言うのは、中判の魅力は同じ画角であるとすれば、焦点距離が長くなるってことですよ、というふうに逆説的に説明します。

 どういうことかと言うと、かりに35mm判の110mmレンズのF2ってのがあったとしたら、こういうふうに写るんですが、そこを中判で撮ると、こう写りますということなんですね。要は110mmの圧縮感を持ったまま、広い画角で再現できるわけですね。これはやはり、中判ならではの画になる、さらに皆さん、フイルム時代を思い起こして頂ければ、やっぱり中判で撮ったものと35mmで撮ったものって、違いがもう一目で分かるじゃないですか。何なら、Lサイズプリントにしても分ったと、全然違うねと。でも、じゃあ、そこに解像力の差はありましたかといったら、どっちも同じプロビアの乳剤とか、ベルビアの乳剤を使ってんですから、乳剤にも解像力ってものがあります。だけど、それはベースと切る面積が違うだけで、同じ解像力を持った乳剤を塗ってたはずなんです。だけど判が大きいだけで、あそこまで見え方が変わったっていうのは、この原理なんですね。レンズとのマッチングでこれだけミディアムフォーマットってのは変るんだというところを分って頂ければ、また、それは表現の一つとして意識が変わるんじゃないかな、というふうに思っております。それを直すのは、こういうとこかなと、長焦点化による圧縮感の強調ですとか、ま、当然、判上に写る大きさってのは大きくなります。35mmフルフレームで人の顔を撮りましたら、センサー上で1cmの顔が我々だったら1.7cmで同じ顔を表現すれば良いわけですから、それだけ余裕があるわけですね。ここがミディアムフォーマットのメリットで、勿論、それはAPSとフルサイズの関係にも当たりますので、それはAPSとフルサイズを比べたら、フルサイズに余裕があって、そういう表現ができるのは当然です。なので、我々はフルサイズの方がAPSより優れているってのは認めています。ただ、その為には、それを再現するレンズが、絶対、重要になってきますが、そこで徹底してやってしまうと、大きなものが必要になるので、フルサイズをやらないだけです。フルサイズの方が性能が低いなんて思ったことは一度もないです。ただ、レンズとのバランスとか、色んなことを考えると、専用は専用で機動力はAPSに抑えた方が軽くできるし、値段も安くできるし、皆なハッピーっていう、そういう理屈だと思って下さい。

 以上が50Rですが、ここまでかと思いきや、皆さんには、こちらもご案内させて頂きました。100メガピクセルコンセプト。まだ開発中ですので、言えることが少なくて申し訳ないんですが、1億200万画素のセンサーを搭載しております。裏面照射型で民生用のミラーレスデジタルカメラとしては世界初の搭載になります。プロセッサーは第4世代です。像面位相差はカバー率100%の像面位相差を積んでおります。また、ボディー内手振れ補正を搭載しています。やはり、高画素になったが故に三脚を使わなくては撮れないっていうようなカメラが正直言ってあるかと思います。でも、それでは折角の機動力ってのが生かせない、ミラーレス化によって、折角、小型軽量に作れたんだから、手持ちでバンバン撮って欲しいというのを考えまして、我々はボディ内手振れ補正を入れようと、いうふうに思いました。

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 また、GFX 50Sを出したときに、動画系メディアの方から、もしくはシネマトグラファーから、これで4Kが撮れたら最高なんだけどと、いうふうに言われました。それを実現しましょうということで、今回、30Pですが、中判ミラーレスとしては世界初の4K動画を搭載しています。

 センサーの構造は先ほどお見せしたんで、特に言うことはありませんが、やはり同じように裏面照射CMOSになります。これは全面位相差です。なので、頑張ればと言いますか、動体撮影、スポーツ撮影なんかに中判でチャレンジするという写真家が現れるんではないかなという期待も正直ございます。

 こちらがボディ内手振れ補正機構(省略)です。ま、これだけの大きなセンサー、それ込みでデバイスがくっついているものを振って補正するわけですから、必然的にその周りの構造体が大きくなります。今回、X-T3にIS(手振れ補正機能)を積まなかった理由として、やはりキーはあのサイズを守ることが大事だということをお話したかと思いますが、それと同じ理屈で、この大きさになるので、あそこに飾ってありますモック、あの大きさになりますと、いうところが言えるかと思うんですが、あのサイズも某他社さんの一眼レフのフラッグシップ機とほぼ同等の大きさ、重さになるんじゃないかなあと、もしくは、ならないといけないなあという、まあ、最終的にはこれから開発しますので、分らないですけど、そういうところを逸脱してまでってのは考えてませんで、我々、勝算があるんじゃないかと思って、今回、このボディ内手振れ補正にチャレンジしたということです。   このGFX 100 MEGAPIXELSは先ほども申しましたように、動画も入ってますということで、革新的なカメラにしていきたいなあと思っております。1億画素というだけであれば、他社さんにも中判一眼レフであるのは、皆さん、ご存知かと思います。ただ、まあ、お値段も相当、高級車1台買えるくらいの値段がしますし、なかなか、それを使って仕事ができるという写真家、もしくはアマチュアの方も少ないかと思いますが、高いとはいえ、そちらに比べましたら、我々、先日発表したときは、大体、1万ドルくらいが目安じゃないかと、いう話をさせて頂きました。これも最終決定ではないので、どうなるかまだ保証はできませんが、ま、そういうターゲットを目指して、プロであれば誰もが買える、もしくは50メガでも皆さん、ご存知の通り、充分な画質を持つわけで、我々が目指したいのは、フイルム時代、プロ写真家で中判カメラを持ってないですというときに、少なくとも私はほぼ会った記憶がない、仕事に合わせて35mmを使う、ここは大判だから中判を使う、もしくは8×10を使う、ちゃんと用途に合わせて、カメラのフォーマットを切り替えて、ちゃんと、やってました。いま、なぜか、皆さん、35mmフォーマットばっかりで、じゃあ、ここ、大きなポスターなんですけどとか、ちょっと圧縮感のある撮影でお願 いしますっていったときに、じゃあ分りました、借りてきます。これ、写真家としてないんじゃないですかと。全員がミディアムフォーマットを持ってて当り前ですっていう時代を、我々、GFXでつくりたいなあ、というふうに思います。

 ご覧になった方も多いかと思いますが、こちらに飾ってあります写真(冒頭で紹介)は実験機でちゃんと1億画素のセンサーで撮りました。中央に写っているのは、うちのGFXを担当している大石ですけど、これが実は動画で、しかも、この集合写真から切り抜いたものです。私も端の方にちょっと偉そうに座ってますけど、これが我々がやりたい1億画素の画です。ま、集合写真ですけども、色んな所に高画素っていうのは、まだまだメリットがあると思ってますし、当然、エディトリアルの世界、もしくはプロが撮ったものをアートディレクターがトリミングをする、そうなったときでも、しっかり画素が戻って、作品として使える。こいうことを考えますと、1億画素は非常に期待してもいいのではないかなと、いうふうに思います。

 そうなりますと、最終結論的になりますが、Xが広がる、高性能になります、GFXも100メガでより高性能側にきつつ、低価格になりますので、下の領域、Xがかぶるところまで行くというところで、完璧に全撮影ジャンルをカバーしに行くというところができるのではないかと。なので、我々、富士フイルムにフルフレームは必要ありませんというのが趣旨でございます。

 ま、ボディだけあっても、しょうがないですね。レンズが重要です。GFXのレンズは現時点でここまで揃ってます。7本ありますが、ロードマップ発表もあります。来年度になりますが、2本出ます。望遠ズームとコンパクトプライムレンズ、50mmF3.5です。それと、特に日本の写真館さんからの要望の高い50mmから100mmの間を制御できる標準ズームレンズ、このエリアをまずは充実させてカバーしていこうというふうに思っています。  望遠ズームですが、非常に軽量に仕上がる予定でおります。当然、100メガ、1億の解像力を持って、リニアモーターも使って、静音で駆動します。手振れ補正が入ってますので、手持ち領域も充分使えるかと思います。

 小型標準レンズ。これは50Rに最適です。本来ですと、同時にお出しできれば良かったんですが、諸般の事情でちょっとずれます。開放でF3.5という充分な明るさを持ちながら、非常に小型に仕上がっております。それと、最後が中望遠系のズームレンズです。標準といったほうが良いのかなとも思いますが、準広角から中望遠までをカバーするズームレンズになります。開放F値は4一定です。

 Xマウントレンズも冒頭説明しましたが、現在、31本のレンズがあります。カバー率としては、35mm換算でいまや15mmから1200mmまでをカバーできるようになっています。

 これがロードマップの最新版(省略)です。やはり、33mmのF1.0辺りに大変期待が集まってるなあというのがあります。もう一方で5倍のF4通しズーム、16-80mm。こちらも非常にユーティリティの高いレンズになるかと思います。本年度のレンズは先日発表しましたこの2本。大口径望遠のXF200mmF2と世界最広角のワイドズームレンズ、XF8-16mmです。

 こういったサードパーティーさんのフィルターなんかでも対応できます。前玉が大きいので、ちょっと純正フィルターがつかないんですが、こういったものも考えています。また、コンパクトシリーズとしては、16mmのF2.8、そして先ほどご紹介しました16-80mmの5倍ズーム、そして33mmです。そこにモックアップがすべて飾ってありますので、是非ご覧頂ければというふうに思います」  

富士フイルムはなぜフルサイズミラーレス一眼をつくらないのか」をもう一度聞いてみよう。

 富士フイルムはなぜフルサイズミラーレス一眼を作らないのか。多くの人が不思議に思っているはずだ。その回答は上記のフォトキナの説明会で紹介された通りだが、実は9月6日に東京で行なわれたX-T3の事前説明会でも「世の中、フルサイズでないとカメラでないという勢いになってきたが、それでも富士フイルムはフルサイズミラーレス一眼をつくらないのか」という質問が質疑応答の時間に出た。以下は上野隆氏の回答。  

 質問「X-Tシリーズに搭載されている2400万画素クラスのX-Trans CMOSセンサーの解像度は3600万画素クラスのベイヤーセンサーの解像度に匹敵すると以前おっしゃっていましたが、X-T3のX-Trans CMOSセンサーは2610万画素になりましたから、解像度はもっと上がるのでしょうか」

 上野「X-Transの解像力増幅効果は同じです。我々もX-T2と撮り比べをやりまして、確実にチャート本数で言いますと、上がっているのを確認しております。X-transの解像力はベイヤーの大体1.5倍ですので、2400万画素のX-Transの解像力は3600万画素のベイヤーに匹敵し、2600万画素のX-Transは3800万とか3900万画素のベイヤーセンサーの解像力に匹敵するわけです。他社さんの4000万画素クラスとも比較してみましたが、遜色のない解像力があるという結果が実験で出ています」  質問「世の中、フルサイズでないとカメラでないと、いうくらいの勢いになってきていますが、なぜ富士フイルムAPS-Cに拘るのか、もうちょっと強くアピールできないのでしょうか」  上野「済みません。充分アピールしているつもりですけど、まだ足りてないということかと思います。先ほど、冒頭にライトサイジングという話をさせて頂きましたが、やはり、センサーが大きくなって、まあ、大きくなるだけなら、まだ良いんですけど、さらに画素も上がっています。それを解像しようとすると、確実にレンズは大きくなります。ましてや、画素ピッチがあれだけ小さくなったものに解像していくためのレンズの設計精度を考えますと、組立時間も伸びますし、硝材も大きくなります。それに非球面を入れたら、とんでもないことになります。となると、まあ、他社さんのことを私どもがどうこう言う立場にはございませんが、やはり(他社さんが発表なさった新製品のレンズの)金額とかを見ていると、まあ。かなり良いお値段だなと。ただ、あれは必然かなと。我々、作っている人間から見ても、あのセンサーの解像力通りの画像をちゃんと出せるレンズを作ったら、あの値段になりますよね。  じゃあ、フルサイズのカメラや値段の高いレンズがないと、良い画質の写真が撮れないのかというと、ここにサンプル写真が並んでいますが、これだけの写真が撮れて、何の不満があるのかなと思います。これだけの写真が撮れるのであれば、やはり小型で軽量で、いつでもカメラを持ち歩けるようにしたほうがいいと思います。どんなに性能が良くても、カメラを持ってなかったら、写真は撮れません。しかし、何キロもある荷物をいつも持ち歩けますかという話ですよね。写真にとって一番大事なのは、カメラを持っていることだと思います。そのために一番重要なのが小型軽量だと思います。で、なおかつ、イメージクオリティが大事ですので、小さすぎても駄目だと思います。勿論、もう少し解像力が欲しいんだ、というニーズがあるのも承知しております。それについては、我々、GFXという形で回答を提案しております。私が物づくりのコンセプトとして、いつも言っていることですが、専用に叶う万能はないと思うんですね。どんな道具でもそうだと思います。万能品って色々ありますけど、専用品になったときに、その専用分野で万能品は確実に勝てない、ということを考えると、我々は機動力でAPS、高画素・解像力でGFX、この2つを揃えて並べるのがベストだと思っています」

【投稿日(posted date)】2018年11月12日(November 12,2018)  

【投稿者(poster)】エイブイレポート社・avreport's diary・編集長:吉岡伸敏(nobchan@din.or.jp)・副編集長:吉岡眞里子(marico@din.or.jp)/ AV REPORT Co.,Ltd.・avreport's diary・Chief Editor:Nobutoshi Yoshioka(nobchan@din.or.jp)・Assistant Editor-in-Chief:Mariko Yoshioka(marico@din.or.jp)